104:マッチでぇす
「第一問」
机の真ん中から並べられたマッチ棒がせり上がって来た。
「コノまっち棒ヲ三本動カシテ五ツアル正方形ノ数ヲ四ツニ減ラシテ下サイ」
主題されたのは知能クイズと呼ばれる、知識ではなく発想力が問われるものだった。
そして、マッチ棒を限られた回数動かして図形を変えるのは、その中でも比較的多く見られるもので、その問題自体もやはり何処かで目にしたことがあるようなものだった。
すぐに答えが思いつくほどではないけど、じっくり考えれば解けそうだ。
とは言っても、現在124秒のハンデがあるので、解答する権利すらない。
だから、答えを考えつつも様子を見るしかなかった。
「はい!」
ドゴンッ!
問題文読み上げから2秒くらいでアリシアがボタンを押した。
押したっていうか叩いた。
ボタンを押したときに鳴る音よりも、ボタン自体を叩いた音のほうが大きいって、どれだけ勢いよく叩いたらそうなるんだ。
「このマッチ棒を縦に裂いて、半分を真ん中に置きます!」
「縦に裂いて!?」
まさかの答えだ。
ちょっと発想柔軟過ぎないだろうか。
それに、マッチ棒って縦に裂けるような代物だっけ? 無理だよね?
当たり前というか、もちろん不正解の音が発せられる。
「不正解デス。裂イタリ折ッタリハ禁止デス」
「そういうことは出題時に言って下さい」
問題文の不備に不満を表すアリシア。
いや、普通はそこ注意しないといけないと思わないから。
「其レト今ノデぼたんガ壊レタノデ交換シマス。少々オ待チ下サイ」
さっきので壊れたのか。
アリシアの膂力に驚きを禁じえないけど、ある意味あの音からしたら壊れてもおかしくないよね、という納得もあった。
「交換完了シマシタノデ再開シマス。デハ、問題ガ分カッタ方ハぼたんヲ押シテ下サイ。タダシ、壊サナイヨウニ押シテ下サイ」
ボタンを強く押して壊さないようにって注意を聞いたのは初めてだよ。
「ボタンが脆すぎます……」
いいえ、貴女の力が強すぎるんです。
「三秒ガ経過シマシタ。狐々乃月ニ解答権ガ発生シマス」
アリシアがぼやいている間に1秒が経って、狐々乃月が答えられるようになった。
「もらったで!」
待ってましたと言わんばかりに狐々乃月がボタンを押す。
ちゃんと叩かずに押した。
さすがに狐々乃月まで馬鹿力というわけじゃないようだ。
「デハ解答ヲドウゾ」
「まずこのマッチに火をつけてやな」
答えを全て聞く前に不正解の音が鳴った。
「なんでや!?」
「なんでやじゃないよ!」
ブルータス!
「……まっち棒ヲ損傷サセルノハ無シデス。チャントまっち棒ヲ動カシテ下サイ」
もの凄く呆れた声で改めてイデアが注意した。
「燃やしたアカン言うてへんかったやん……」
狐々乃月もぶつぶつと不満をたらしている。
2人とも発想が自由というか物騒すぎる。
「ほんなら、どうしたらええねん……」
「これをこうして……いや、でもこれは……」
力技を封印されたせいで2人は本格的に唸り始めた。
そして30秒くらいが過ぎた時、アリシアがボタンを押した。優しく押した。
「これは引っ掛けですね!答えは『できない』です!」
「出来マス」
ややドヤ顔で答えたアリシアだったけど、間髪入れないイデアの返事に(´・ω・`)みたいな顔になってた。
これでアリシアの解答権は残り1つになった。
そして2人とも答えられないまま時間が過ぎ、124秒が経過した。
「124秒経過シマシタノデ、全員ニ解答権ガ与エラレマス」
いいのかなぁ、と思いながらボタンを押す。
「この棒をこうしてこうして、これをこうする……でどうかな」
「正解デス。正解者ニ10P入リマス」
ハンデとはなんだったのか。
3/27 誤字修正 始めて→初めて




