99:自由への扉
ギリギリ頂上に指が掛かり、跳んでいる勢いも合わせて身体を持ち上げた。
すると予想外に簡単に身体全体が壁を越えて、出口の扉前へと行くことが出来た。
「なんだ今の?」
人の身体ってそんなに簡単に持ち上がるものだっけ?
しかしその疑問を検証する間もなく、リリスから労いっぽい言葉が掛けられた。
「おめでとぉ。凄いじゃなぁい、特に最後のぉ」
「いやいやいや、最後大変だったのリリスのせいじゃないか!」
ハッキリと覚えている。
リリスの掛け声と共に引っ込んだ石を。
「あれが無ければもっと普通にクリア出来たのに!」
「まぁまぁ、無事にクリア出来たんだからいいでしょぉ」
「よくないよ! そもそも――」
「はぁい、文句はそこまでぇ」
こちらの台詞を遮って、パチンと指が鳴らされる。
「急がないとぉ、やり直しになるわよぉ」
「へ?」
「後ろ見てみなさいなぁ」
言われるがままに振り向くと、足場が削られるように壁側から無くなっていっていた。
「ほぉら、早くしないと落ちちゃうわよぉ」
「なにしてんのさー!」
叫びながらも体当たりするように扉を開けて、奥の通路へ転がり込む。
「はぁはぁ……お、鬼」
「鬼じゃないわぁ、魔女よぉ」
どっちでもいいよ。
息も絶え絶えに振り返ると、勝手に扉が閉まり壁と同化するところだった。
多分コレはもう壁を壊しでもしないと開けられない。
「にしても、いきなり何するんだよ危ないじゃないか」
「だって文句ばかり言うんだものぉ」
「だからって」
「大丈夫よぉ、ちゃんと先に進みさえすれば変なことはしないからぁ」
「でも……」
「また文句言うならぁ、どんどん床抜いちゃうわよぉ」
「行ってきます」
「はぁい、いってらっしゃぁい」
なんという暴君。いや、魔女か。
これ生殺与奪の権利まで握られてないか?
まぁそもそも治療を受けてる側としては、最初っから命を握られてるようなもんだけど。
なにせ薬と言われて毒を渡されても、こっちは確かめようも無いんだから。
いや、さすがにそんなことはしないと思うけど。
「また失礼なこと考えてなぁい?」
「か、考えてないよ」
「そぉ?」
相変わらず鋭いな。
あるいは顔に出てるのかな?
もうちょっと気をつけよう。
それから、普通の迷路が続き、ある程度進むと扉が出てきて、さらにその奥に進むと障害物のある部屋があり、さらにそれを越えると迷路があって、という風にパターン化された状況が続いていった。
なお障害物は色んなものがあり、水の上に浮かぶ一本橋だったり、一定時間経つと落ちる足場を跳んで渡ったり、正面からボールが飛んできてそれを避けるというものもあった。
1番酷かったのは後ろから大きな石が転がってきたやつだろうか。あれ最後には壁に当たって壊れたけど、完全にただの岩だった。多分逃げ切れてなかったら死んでた。
とまぁ障害物というよりアトラクションといったノリの難関をいくつも越えていった。
もちろん文句は言いまくったけど、全て無視された。
そしてついに最後っぽい部屋にたどり着いた。
「はぁい、ご苦労様ぁ。とうとう最後の部屋よぉ」
「やっと、やっと解放されるっ」
かれこれ3時間くらい彷徨ってる気がする。
あぁ、もうお腹ペコペコだ。早く帰ってアリシアのご飯食べたい。
そんな事を思いながら最後の扉を開いた。




