9:駄目イドさん
「はい、私はアリシアと申します。御主人様の身の回りのお世話をさせて頂く事になりましたので、何卒宜しくお願いいたします」
アリシアと名乗った少女は再び深々と頭を下げた。
メイドだおっぱいだのに気を取られていてスルーしていたけど、この子とんでもないことをさっきから口にしてないか?
「えーと、御主人様って?」
自分を指差して聞いてみる。
「はい、私の御主人様は貴方様です」
確認のため後ろを振り返ってみる。
誰もいない。
左右を見回してみる。
誰もいない。
「え?」
自分自身を指差して問いかけてみると、彼女は当然だという表情で頷いた。
いまいち状況が飲みこめない。
「えーと、アリシアさん? なにかの間違いじゃないですか?」
「いいえ、私は貴方様のメイドです。それと、敬語はいりません」
「え、ああ、うん」
実は敬語がしっくりこなくて困っていた所だ。昔はあんまり敬語を使ったりしなかったのかな?
「あと名前も呼び捨てで構いません。アリシアとお呼び下さい。もし名前が気に入らないと申されるのなら、お前でもメス豚でも好きな様にお呼び下さい」
「め、メス豚!?」
驚いてメス豚という言葉を発したのだけど、何故か彼女は頬を赤く染め、
「はい、何でしょう御主人様」
恍惚の表情で顔を上げた。
へ、ヘンタイだー!
この人ヘンタイさんだ! なんかもう手遅れなタイプの人だ!
「いや、いまのは無し! アリシア! そう、アリシアって呼ぶから! むしろ、そうとしか呼ばないから!」
「そうですか……」
なんでちょっと残念そうなのさ!
なんだ、この子。ただのメイドさんかと思ったら、めちゃくちゃキャラ濃いぞ。
ホント、なんでこんな子が――って、あれ? 本当に、なんでだ?
「ねぇ、アリシア」
「はい、御主人様」
「何で世話をしてくれるの?」
「それは、私が御主人様のメイドだからです。所有物だからです。下僕だからです。性奴隷だからです」
うん、最後おかしいのあったね。
「いや、だから、そうなったいきさつを知りたいんだけど」
とりあえず、さっきのはスルーしておく。
「いきさつ、ですか。それは説明せねばなりませんか?」
アリシアは少し困った顔で尋ねてきた。
「うん、それはまぁ、急にメイドさんが現れて貴方の世話をしますって言われても困るって言うか」
「やはり、私の事は覚えてらっしゃらないのですね」
「え?」
2014/4/24 誤字修正




