プロローグ
何となく思い付いた物なので、更新は遅くなると思いますが、よろしければお付き合いください。
―突然だが、疑問に思ったり、理不尽に思ったりした事はないだろうか。なぜ、魔王が勇者に退治されなくてはならないのか。
魔王の手先である魔物が人間を襲うから?それを言うなら、人間の中にだって人殺しをする者だっている筈だ。そう言った時、殺した人間だけしか裁かれない。もし魔王が裁かれるなら、人間の王も裁かれるべきだ。
それに、人間がいくら蚊を殺したって罪になる事はないし、誰もそれについて咎める者はいない。それに、食べるために家畜を殺すことだってしている。魔物だって、殆どは食べるため、生きるために人間を仕方なく殺しているのだ。なのに、なぜ魔王だけが目の敵にされなければならないのか。
食べる以外で人間を襲っている魔物がいる?それは自己防衛だ。よく考えてみてくれ。森を歩いていて、目の前に武器や防具で身を固めた集団が現れたらどうする?誰だって警戒するだろう。それなのに、勝手に襲ってきたと言い掛かりを付けて、いきなり斬りかかってくるのはいつも人間だ。確かに魔物は人間より力が強いが、武装している魔物は殆どいない。誰彼と襲いかかるような魔物は殆どいないのだ。
だったら、魔王が勇者に退治されるという当たり前だった現実が、理不尽に思えてこないだろうか。中にははみ出し者もいて、それこそ村を趣味で襲ったりしている魔物もいるが、人間が犯罪を犯すように、魔王が全ての魔物を統治するなど不可能だ。それなのに、勇者はいかにも自分が正義だと言う顔をして、誇らしげに魔王を退治していく。
私はこんな理不尽な事が許せない。だから、今日魔王をやめる。―
そんな魔王の言葉に、魔物が大勢集まった広間が水を打ったように静まり返る。先程まで同士を討たれた事に対する不満の声を上げて、低く唸っていた大勢の魔物が、たった今聞いた言葉の意味を理解するまで、一様に口を閉ざしていた。
しばらくして、魔王の傍らに控えていた執事らしい、老いた魔物が恐る恐る、場を静めた本人に声を掛ける。
「あ、あの…魔王様…?一体何の冗談…」
「冗談ではない。という訳で、お前らは全員解雇だ。」
未だに信じられない、といった表情を浮かべている魔物の間を通って、元魔王、サタンは広間を去って行った。
出来るだけコメディタッチで進めていきたいと思いますが、もしかしたらシリアスになってしまうかも…(追記)タイトルをピロローグと間違えたので直しました。ピロローグて…orz