第90話「冀州攻略戦・戦前」
第90話で御座います!!
一週間で更新出来たー!!
side 藍
はてさて~、春を過ぎて漸く夏になったある日のことなんだけど、今日はとある会議が開かれたんだよね~。
一応私も出席してるって言うか、うちの国の重臣どころか現皇帝である菊香ちゃんや清凛君まで居るから、多分あの件について話すんだろうなぁ。
「藍、後でOHANASHI…いいえ、OSHIOKIしてあげるわね」
今回隣に座っている緑さん…
緑様が背筋を凍らせる笑顔を私に向けながら言ってきた為、恥も外分も無く逃げようとしたら、もう片方から腕を捕まれた。
「藍お姉様、一応とか多分などと言っているとそうなる事くらい予想できそうなものですよ?」
普通の顔で、焔耶がそう言ってきた上、力では到底焔耶には勝てないので大人しく席についた私が居た。
「焔耶、ありがとう。皆さんお集まりの様ですので、会議を始めたいと思います」
そう言って緑が、仕切りながら会議を開催した。
まあ、普段通りの集計報告やら秋の収穫予想、その他の事案、今回は公共工事などをどうするかを話し合った、そして…
「…こんなところでしょうか。月さん、其方からは何かありますか?」
「いえ、大体の事案は問題ないかと」
無表情で意見を聞いてきた緑に、微笑みながら答えを返す月ちゃん。
ああ見えて、2人はなかなかどうして、仲が良かったりする。
理由としては、緑が私生活で月ちゃんに相談することがあるからだそうな。
う~ん、私に聞けないことがあるって事なんだろうけど、ちょっと寂しかったりするけど、まあ、友達を増やすのは良いことだし深く追求することもないよね~。
などと、ぼ~っとしながら思考を脱線させていると、隣から軽く小突かれた。
「う~ん?」
まさしくぽやぽや~っとした表情でぼ~っとしてたんだけど、肘で小突いてきた焔耶を見ると、顔を青くさせながら顎で私の隣を指していた。
呆けた状態で私は隣を見たんだけど、視界に入ったモノを見た瞬間、背筋を正して入ったモノを見つめた。
うん、今の私は間違いなく顔が青から白に変わっていることだろう。
だってさ~、皆まで言わなくても分かると思うけど…
「藍?気分は如何かしら?」
「絶好調です!!」
すんごい黒いオーラが溢れ出ている緑様を前に、私は為す術もなかった。
当然ながら呆けは既に解消されたので、絶好調になりました。
「あらそう」
しかし、当然のことながら彼女はそんな答えを求めていた訳じゃないよね~。
「…OSHIOKIですかね?」
「藍にそんなこと、する訳ないでしょ?」
黒いオーラが消えた!?
あぁ、やっぱり信じるべきは可愛い嫁さんだよね~♪
「GOUMONに決まってるじゃない」
「いやー!!」
逃げようとしたら腰が抜けた為、椅子からずり落ちて小鹿のように震えている私が居た。
「今、なんの話をしてたか分かる?」
緑様は、未だに優しい口調だけど、あからさまに黒いオーラの勢いが増えてきた。
これまた当然ながら話を聞いてなかった為、対面に居る白蓮に救いを求めるべく見つめたんだけど、当の白蓮は肩肘を長机の上に乗せ憮然とした表情をし、冷たい目線を私に向けていた。
こっちは駄目だと確信したので、良蓮を見ると、良蓮は私の意図に気づいてくれたようだ。
良蓮にしては珍しいことだと思う人が居るかと思うけど、実際良蓮も成長してきている。
何というか、他の人達には何時も通りの天然っぷりだけど、私達の言ってた事ならまともに返せるようになったんだよね。
…まあ、簡単に言うと私達の前でだけなら、多少空気が読める様になったんだ。
なので、助けを求めたんだよ。
だけど、サインをくれようとした瞬間に顔を真っ青にした。
…はい、力関係も読めるようになった良蓮です。
威圧してるね、私の嫁さんが…
ならばって!?
白蓮と良蓮がダメだった時点で詰んでますよね~。
緋焔は当然ながら緑の味方なので目を瞑ってこっち見ないし、星も爪を磨いていてこっちを見ようともしない…
いや、顔が少し青い。
お前も緑に圧されてるんかよ…。
ん?棚上げ?
ナンノコトカナ~?
キコエナイナァ~。
はぁ、あんまり頼りたくないんだけど、此処は焔耶に頼るしかない!
情けない姉とか言うな!
そんな事言う奴は、一度緑様の圧力を受けてみたら良いんだよ!!
受け続けたらなんか終わる気がするんだぞ!!
と、言うわけで、焔耶に聞こうと顔を向けると、既に焔耶は隣に居らず席のかな~り離れた所でお茶ってか白湯を議場に居る皆に配っていた。
あ、目が合った。
うん?口でなんか言ってる?
『う・し・ろ』
読者の皆様には、長いボケにお付き合い頂きありがとうございます。
「気は済んだかしら?」
「は~い」
たんこぶを頭頂部に作って涙目になっている私と、拳に息を吹きかけている緑様の絵面がシュールですね~。
「藍の無駄な抗いのせいで時間が流れてしまいましたが、続けていきますね。次の事案が最後の、そして最大の事案ですが冀州攻略戦に関してです」
まあ、やることは分かってたから動揺はないけど、やっぱりざわつきはするよね~。
なんてったって、大軍同士のぶつかり合いになるんだから、参加するであろう者もそうでない者も緊張している。
「さて、今回の侵攻作戦ですが、初戦が全てと言っても過言ではありません」
そこに一刀君が質問してきた。
まあ今回は手を上げているし、彼にとっては意外なのかも知れないね~。
「はい、北郷殿。何か質問ですか?」
「あっはい、り…伯寧さん。初戦が全てってそれだけで戦が終わるんですか?」
その質問に緑が、月ちゃんに向けていた同じ無表情で答えた。
基本的に今世の緑は仕事中、冷静沈着な前世の様な状態になる。
まあ~、あの鋭利な視線と生真面目さに惚れたんですよね~。
「何か言われた気がしますが…んんっ、先ほどの質問ですが今回の戦は、初戦が全てと認識しております。打てる手を全て打ち、戦力を整えました。あとは開戦する機だけです。そしてその機なのですが…」
何時攻めるかは、秋だと言っていたので、皆そのつもりだったみたいだけどねぇ。
「秋になる前である、今から攻撃を仕掛けます」
普通に騒然となりました。
あったり前だよね~。
side 藍 out
何分割になるんだろう~。
予想では4話だろうか…
長くならないようにしたいっすなぁ。