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第89話「緑さんと藍さんのイチャラv…うん?誰か来たようだ」

 大変遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。


 シリアス話でなかなか話が進んでませんが、書き上がったのでご覧くださいませ~。

side 緑


 漸く軍備の大半が整い、後は前に届けた手紙の返事に対する『代価』と引き換えにして来るモノを組み込めば、いよいよ決着をつけるための初戦にして決戦を迎える事が出来る、というところまで準備が出来ました。


 憎いという感情は持ち合わせていない等と、聖人君子を気取る気ははなっから持ち合わせてなどいない。


 私的に言えば、藍を傷つけたと言うだけで、滅ぼし殺す理由は十分だから。

 公的に言えば、くだらない顕示欲で国を乱す阿呆をぶち殺して、ついでに邪魔する奴も抹殺出来れば、これに越したことは無い。


 …あら、あたしったらかなり酷い口調ね。

 自重しないといけないわ。


「あ~、なんて言うかさ~、その黒さ満開の顔を閨に持ってくるのはやめて欲しかったなぁ~、なんて思うんだけどね~、私的に…」


「そんなに黒かった?」


「私は泣きそうです」


 などと、あたしの隣で横になり向き合いながらあたしの黒さを語る藍。

 藍の言うように、今、あたしと藍は所謂寝物語に他愛ない話をしていた。


 はずだ。


 はずと言うのは、途中から意識がどっかに行っていたらしく、その行っていた意識で覚えているのは、顔良への明確な殺意くらいだった。


「悪かったわ、藍」


「いんや~、まあ、緑にも色々あるよね?」


 そう言ってあたしに笑いかけてくれる藍。

 その顔を見ながら、あたしは藍の肌に触れる。


「…ん、どしたの?」


「…何でもないわ」


 嘘だ、何でもない訳がない。

 傷だらけのボロボロの身体、愛しいあたしの大切な人の身体、それを傷つけた者をあたしは許さない。


 あたしの中では、未だに黒い炎が燃え盛っている。


 許すまじ顔良、許すまじ袁家。


 何?袁家は関係無いですって?

 袁家がくだらない顕示欲をひけらかさなければ、この国は緩やかな死を迎えるはずだった。

 お陰で先を知っていたが故、早めに手を下して、天下を掠めとるなんて言う荒技をしたけど、本当はもっと緩やかに事を進めて、白蓮には幽州の州牧、藍にはその筆頭将軍みたいに、今みたいな重責をましてや天下なんて持つことなく、穏やかに生きていける様にして行こうと思っていたわ。

 その為の手を打っていた所に、いらん事をする奴らが居たのも事実。


 例えば、眼鏡。


 例えば、猫耳。


 例えば、小娘。


 はっきり言えば、邪魔立てしたコイツラも抹殺したかったが、眼鏡の方は何故か眼鏡の上司が許して欲しいと懇願して来たし、猫耳の方はあたし達の家族の部下だから手を出すのをやめたし、小娘は幻城の援軍時、どさくさに紛れてヤってしまおうと思っていたら北郷が近くに居たため出来なかった。

 まあ、今の状態なら下手に動けないし問題は無いでしょうけど、天下三分の計なる愚計なんてやられたら、本気で困るから飼い殺しにする事は確定している。

 あの手は、膠着状態しか作れないから、結果的に自分達の首を真綿で絞めていることになるんだけど、どうする気だったんだろう。

 異民族と言う蔑視を付けた隣人に、得物を自ら差し出すなんて今世紀最大のジョークにしかならない。


 故に、あたしはあの小娘を封殺または抹殺したくてたまらないのだ。

 隣人も驚異だが、身のうちにある毒の方が余計に危険だからだ。

 故に、皇帝である菊香と皇太子である清凛に関しては、当たり前だけど常に兵を忍ばせている。

 清凛は何故かウチの兵ですら、見失う事があるので若干困り者だけど…


 正直、あのちびっ子共は信用ならない。

 真名を預けたから信用して欲しいと、目で訴えてきたが…

 もし、皇帝が玄徳の意にそぐわない事をしたら…


 もし、あたし達が玄徳の意にそぐわない事をしたら…


 あのちびっ子共は何をするか判らないのだ。


 特に孔明が駄目だ。

 士元もかなりマズいが、孔明は玄徳の理想が一番だと思っている節がある。


 それは、出来たらあの理想が一番なのはあたしだって理解している。


 だが、現実を見つめれば無理なことは、一目瞭然なのに理想を押し通そうと、今も躍起なのだ。


 裏で動いてるからね。

 ただ、今殺そうとしたら、間違い無く逃げて反旗を翻すのは目に見えている。

 玄徳は、お花畑に見えてそこそこ考える事が出来るのは判った。

 自分の理想を、ポンポン口に出す点は頂けないが、少なくとも理想と現実について考えているのは見ていて判る。


 あの君主となかなか肝を冷やしてくれる小僧は、まあ、藍に色目を使っている場面が何回かあったので、いずれ死ぬより辛い目に遭って貰おう。

 あたしってそこそこ強い嫉妬心を持ち合わせている。

 だから初めて会った時の焔耶や、華琳の時もそうだったし、緋焔の告白の時とか、白蓮の時もそう、星もそうだったわね、つい最近なら良蓮も居るし。

 今は、皆にとても感謝しているわ。

 あたしと藍の2人だけじゃ、オーディン様のお願いと言う名の強制を受け止めきれなかっただろうしね。


 だけど、北郷。


 あなたは駄目よ、寧ろそのままゴールインして初夜を迎えてそして、子供まで作ったら間違いなく、殺してしまうわ。


 藍と北郷を…


 あら?恐ろしく脱線した上に妄想まで入っちゃったわね。


 話を戻して今度、皆に相談するべきかしら…


 忌憚のない意見が欲しいわ。


 うん、一応聞いてみましょうか、今目の前に居る、あたしの旦那様にね。


「藍」


「な、何?てか、抱き締めるのは良いけど力抜いて!物凄い力で絞められてるから辛いです…!!」


 あら?あたしったらまた無意識の内に、やっちゃったみたいね。

 しかも、今度は藍に実害が出てるみたい。


「ごめんなさい。ちょっとイラッと来ちゃっただけよ。それより藍、聞きたいことがあるんだけど…」


 そう藍に聞くと、何時もの笑顔と共に返事をくれた。


「私に分かることならね~」


「助かるわ。もうじき袁紹との戦になるけれど、戦力差を差し引いても勝てる準備が出来ているわ。諜略も上手くいったし、後は初戦で快勝すればしぶしぶ付き従っている連中がこちらにつく様にし向けたから、向こうは雪崩をうって敗走するしかないでしょうね。ただ…」


 そう言って、言葉を切ったあたしを見つめる藍は、真剣な表情をしている。


「私がまた負けたら、エラい事になるだろうね~」


 口調と表情が合わないけど、雰囲気は真剣だから真面目には答えてくれているようだ。


「ええ、あなたが負けたら間違いなく前線が崩壊するわ。そして、そのまま大敗するでしょうね」


 この時代の軍制だと総大将や前線の司令官が倒れると、命令系統まで一緒に駄目になる。

 それを和らげる為に、階級制に少しずつシフトして行っているのだけど、準備が後手に回っているため全てをシフトするには至っていないのが現状だ。

 特に騎馬隊のシフトが上手くいっていないのだけど、正面の部隊ではないから後回しになっている。

 正面の部隊が崩れたら負けなので、ある意味仕方なかったんだけど今は関係ないわね。

 問題は、騎馬隊が脇から突っ込む時間を稼ぐ為に正面に置く、歩兵部隊のトップである藍が討たれた場合なのよね。

 藍はあれでいて、兵達から信頼されていると焔耶から聞いているし、草からもそう聞いている。

 と、言うことは、藍が倒れたら間違いなく動揺すると言うことだ。

 焔耶は言わずもがな、近頃藍に懐いた良蓮も動揺するだろう。


 …と言うか、多分あたし達全員が動揺するのは想像に難くない。


 あの緋焔だって、藍とは仲が良くなっているし、考えたくはないけど華琳だって暴走するかも知れない。

 絶対無いとは言い切れないからね。

 あたしはこの国の軍師なのだから、最悪の事態を常に想定しないといけない。

 例え考えるだけで気が狂いそうになっても…

 藍だけでなく、兵達や民達の未来も含まれているのだから。

 そう意識が暗くなって行くと、頭を柔らかく撫でる感触が伝わってきた。

 凄く気持ちいい、気持ちが安らいでいく…

 っ!?いけない、寝そうになった。

 などと思っていると、目の前の旦那様から優しく口づけを受けた。


「…んっ、ごめんね緑。何時も苦労かけて、でもきっと勝つからさ。月並みだけど…」


 最後の部分が無ければ格好良かったのに、うちの旦那様ときたら…


「分かったわ、信用するからね?」


 そう言ってあたしも口づけを返す。

 論とか理由とか、色々置き去りだけれど、やっぱり信用しないと始まらないこともある。

 そう思い直しつつ、軍師である自分と妻である自分の両方でモノ考えながらまどろみに落ちていくあたしだった。


side 緑 out

 幕間続け過ぎだったので、本編も進めないとなぁ~と思い書き上げました。


 やっと戦にいけるっす!!


 相変わらずの不定期更新が続くと思いますが、これからもよろしゅうに~。

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