第79話「血の滲む努力と言うより、それ何て無理ゲー?」
第79話で御座います!
藍さんの修練編であります!!
途中で若干暗い描写が御座います。
side 藍
修練を初めてひと月が経った。
私、生き残ったよ?
誰か誉めてくれ!!
と、自分に課した修練とは言え、本気でそう言いたくなる程の修練だったと、少なくとも私はそう思っている。
華琳・緋焔・星・春蘭・翠(翠は馬超の真名で、修練を続けている内に、何時の間にか預けられた。勿論、馬岱こと蒲公英の真名もね。)の5人の同時攻撃を回避と受け流しを、同時に行う事で漸く様になってきた。
「…藍は、相変わらずだな。」
「正直、あの攻撃を避けるなんて信じらんないな。」
「確かに。しかし、ある意味流石は藍殿と言った所でしょうな。」
「うむ、久しぶりに良い修練が出来たな!」
口々に、お褒めの言葉を頂くが、私は集中が切れてヘロヘロになっていた。
掠ったり、傷ついたりすると、修練終了後座談会と言う名の裁判が行われて、ひたすら…
あれ?目から熱い何かが溢れてきたよ?
あ、生きてるって素晴らしいなぁ~。
「今日も、話し合いが必要かしら?」
「メッソウモゴザイマセン。」
華琳様からの発言を、緊急回避する私が此処に居るけれど、私は決して悪くないと確信している。
「話し合いが必要な様ね。」
おぅ、華琳様の素敵な笑顔と共に死の宣告が…。
私の頭の中身が溢れているのかしら?
近頃は、心配顔の焔耶や良蓮にまで見透かされている、藍さんです。
「ほら、藍。馬鹿な事を考えてないで、彼女が来たわよ?」
「は~い。」
華琳だけでなく、この場に居る皆(焔耶・緋焔・星・良蓮・春蘭・翠と見学に来た緑達軍師組)が若干心配そうに後ろに下がって見守る。
「…藍、大丈夫?」
「勿論だよ~、さあ、恋。始めようか~。」
まあ、最初とは若干変わったけど、擬似流星剣の修練後に、本気の恋と戦闘をすると言う、頭が弱いか、基地外な行動を修練の締めにやっているんです。
最初はもう一瞬で吹き飛ばされて、終了してたからねぇ。
今は何とか、攻撃を受け止められる所まで来たよ。
反撃は出来てないけどね…。
無理すぎるからね、ヘトヘトの状態で恋に勝つとか…
これは、敢えて窮地の状態を作り出して、その時に自分が何を出来るかって事を考えられる様にする修練なんだよね。
勝つのが最終目標だけど、今は無理っすね。
「…藍、お腹空いた。」
「判ったよ~…。」
と、ズタボロにされて本日の修練も終了となった。
恋は基本的に優しい性格をしているので、自分でズタボロにしてしまった私を見て心配してくれている。
「単純に怪我したら、美味しい物が食べられなくなるからじゃないかしら?」
「私ゃ給仕か!!」
ガバッと起きて、華琳の言葉にツッコミを入れると、何処からともなく笑い声が聞こえてくるのだった。
「ふぅ、ちかれた…」
所変わって、陳留の自室で寝台に突っ伏している私。
1人になると、頭の中が否定的な考えで一杯になっていく。
これで、良いんだろうか?
これで、彼女を救えるのだろうか?
私は、皆を蔑ろにしていないだろうか?
私は…存在して良いんだろうか…
などと考えてしまう。
緑に、覚えている限りのこの地の歴史を聞いたときに、私がやったせいで歪んだモノが沢山あると思った。
白蓮が死ぬ筈だった事や、華琳がこの地を治める大国を作る筈だった事、そして…焔耶が文醜を殺してしまった事だ。
そもそも、私が4人で幽州に行かなければ…
いや、焔耶や華琳、白蓮と会わなければ…
その前に、私がこの世に居なければ、こんな事にはならなかったんじゃないだろうか…
誰かに話したら、きっと説教を喰らう内容の悩みと言うか、恐れだと思う。
懸命に生きてきたつもりだったけど、私のしてきた事は間違っていたんじゃないだろうか…
そんな自虐的で自身を否定するような事を考えながら、意識が遠のいていく。
こうして、また、眠るんだね…
「…n、ら…」
う、誰かが呼んでる?
意識が浮上して来て、目を開けるとそこには、心配そうな顔した緑が居た。
「藍、大丈夫?魘されていたみたいだけど。」
「…判んない、ごめんね。」
寝台の上で仰向けになって、私は緑に返事をした。
「藍、悩みがあるなら…」
「何にもないよ、ただ…」
「ただ?」
「今日は一緒に寝てくれないかな?」
そう言うと、緑は静かに頷いてくれた。
そして、私は暗闇の中、緑の胸の中に顔を埋めて、もう一度眠りに就くのだった…
side 藍 out
如何でしたでしょうか。
今更ながら、藍さんが走ってきた道を振り返ってしまい、自分を否定しそうになってきています。
藍さんも葛藤するんですね。
「私だって人間じゃ!!しかもまだまだ乙女だっつーの!!」
次話も頑張ります!!
「無視か!作者ぁ!!」