第76話「藍さんは姉としてどうよ?」
第76話で御座います!
ごっつ短いどすえ~。
side 焔耶
泉に辿り着いた…と言うか、馬に連れてこられて藍お姉様を発見したが、何故全裸なんだろうか?
馬が脱がせるなんてあり得ないし、自分で脱いだとしか…
藍お姉様と付き合い始めてかなり長いが、藍お姉様の奇行には驚かされるばかりだ。
などと冗談を考えながら太陽の位置を確認する。
藍お姉様は、ああ見えて真面目な人だからな、ワタシも近頃は何故かお姉様を叱ったりしているが、昔は優しく諭してくれていたからな。
ああいう風に、諭せるようになりたいものだ、緑姉さん達に虐められる所はいらないが。
やはりお姉様は、この泉が報告のあった場所だと理解したから、探索を1人で行ったのだろう。
其処まで考えながら、藍お姉様を抱きかかえて、呼吸をしているかを確認する。
どうやら疲れて気を失っただけの様だ。
ホッとしたのもつかの間、急に冷や汗が出てきてしまった。
どうやらワタシは、藍お姉様が無事だと判って安心してしまった様だ。
それと同時に後悔もしている。
何故お姉様を1人で、馬に近づかせてしまったのだろうか…
確かに、藍お姉様がまさか馬に浚われるなど、想像すら出来ないが、それでもワタシは、藍お姉様の護衛だったのに…
「おや?此処は天国?」
「藍お姉様?」
「と思ったら、私の妹じゃない。どうしたの焔耶?」
「ワ、ワタシは…」
嬉しさが出ると同時に不甲斐なさも噛みしめていた。
藍お姉様に言われた悪い癖だ。
真面目過ぎて気にしすぎるのは良くないと言われるので、直そうとは思うのだが、ワタシの好きな人が突然目の前で消えてしまったら、こうなっても仕方ないんじゃないだろうか?
「季衣ちゃんも来てたんだ?」
「うん、あの馬がボク達を此処まで連れてきてくれたんだ。」
季衣の言葉を聞いて横を見ると、少し離れた場所で、ワタシ達を浚った巨馬が平然と草をはんでいた。
「ちょっと寒いかな?」
「裸ですからね。」
「おう、忘れてた。」
「藍お姉様…」
お姉様に気を使われている…
その事が判るから、尚更惨めな気分になる。
いっその事、こんな不甲斐ないワタシを叱りつけてくれた方が気が楽だと思ってしまったのだが…
「季衣ちゃん。」
「な~に、姉ちゃん?」
「そろそろ帰るからあの馬さんを連れてきて貰えるかな?乱暴は無しでね。」
「は~い。」
返事をして季衣が馬の前に歩いて行った。
「焔耶。」
「お姉様?」
「心配してくれてありがとね。」
柔らかな笑みを浮かべてワタシに向けてくれている。
こんなワタシに藍お姉様は笑みを向けてくれているが…
ワタシが気落ちしている間に、藍お姉様は服を着ていたので、帰ることになった。
何故か、ワタシ達を浚った巨馬でだ。
何故こうなっているんだろうか?
ちなみに、季衣、藍お姉様、ワタシの順で馬に乗っており、季衣は藍お姉様を背もたれに使い眠っている。
安心しているようだった。
「別にこの馬さんは敵意を持ってた訳じゃないし、私も自分専用の馬が欲しかったんだよね。」
「まさか、この馬を?」
「うん、格好良くない?」
格好いいとは思いますが…
「焔耶も私の事をちっこいしひ、ひ…」
「お姉様?」
何故かマズい気がしてきた。
藍お姉様に溜まっていた何かが吹きだそうとしている?
「貧乳と言う気か?」
何故かこの後、ひたすら季衣が起きない様に配慮しながら、藍お姉様の胸とワタシの胸との違いについて、と言うか愚痴を陳留に着くまで延々と言われ続けた。
藍お姉様をこの時一瞬だけ、面倒だと思ったワタシは間違っているだろうか?
side 焔耶 out
如何でしたでしょうか。
馬と妙な指輪ゲットして来た藍さん。
実は、幽州と言う馬の名産地に居ながら、なかなかフィットする馬が藍さんに居ませんでした。
他の皆は、移動用や戦闘で使う為、自分のお手馬を持ってるのに…
身体の小ささが致命的になってたりします。