第66話「朱に染まる官渡・後編」
第66話で御座います!
どんどん話が壊れてきた気がするのは気のせいさ、ベイベー!!
side 顔良?
幻城攻防戦での敗戦後、私は速やかにエン州を攻めるように麗羽様に進言した。
当然の如く麗羽様は拒否された。
曰く、華琳さんが居ない上に小さなエン州を取るより、私より目立っている幽州を潰す方が先決だと、私はその言葉を聞いた後、静かに一言麗羽様に言った。
誰のせいで、文ちゃんは死んでしまったのでしょうか?
この一言で麗羽様は押し黙った。
何故か私の顔を見る麗羽様が顔を青くして震えていたが、そんなものはどうでも良いことです。
文ちゃんの仇を取る。
この事を考えた時に初めに思ったのが、魏文長に私と同じ苦しみを与える事だった。
彼女を苦しめるにはどうすれば良いかを考えた時に、閃いたのが彼女が姉と慕っている、徐公明をいたぶりながら殺すことだった。
きっとこうすれば、彼女は嘆き悲しむはず。
そしてその後、魏文長をじっくりいたぶって殺せば、私の復讐は完成するだろう。
うふふ、完璧だね。
だって今の私は誰にも止められないし、勝てないもの…。
サあ、わタしのくるシみをあナたにも、あタエてあげマしょウ。
はっとして周りを見渡すと、廊下の壁に背中を預けていた。
近頃記憶が飛んだり曖昧になったりしているし、頭痛が止まらなかったりするけれど、こんなもので私は止まらないし止められない…
サア、マズはエン州のソウ孟トクを、ネラッテイル様にミセカケテ、エングンに来ルデアロウ、ジョコウ明ヲコノ手デ始末シテアゲマスヨ。
ギブン長ノナゲク姿ガ、メニ浮カビマスネ。
フフフフフフ…
ダ、誰カ私ヲ止メテ、下サイ…
私ハ、コンナ事を望ンデナンテ…
誰カ…助ケテ…
side 顔良? out
side 華琳
官渡の戦いは、何故か一進一退の攻防戦になっていた。
河に氷が張ってしまい、人が上に乗っても大丈夫な位に頑丈な物なので、物量で押してしまえば終わってしまう筈なのに…
まるで生かされてるみたいね。
まさか、本当にそれが狙いなのかしら?
そうだとすれば何故かしら…
目の前に居る袁紹軍の総大将は、あの顔良ね。
文醜を討ち取られて、顔良は怒りに燃えていると聞いているわ。
となると、エン州を攻めた意味は何?
仇は幽州にいるのに…
そして何故、私達をなぶる様な真似をするのか…
誰かを釣りだそうとしている?
なら誰を釣ろうとしている?
顔良にとって憎い仇は、焔耶のはず…
復讐心…エン州襲撃…そして焔耶…
まさか、標的は焔耶の思い人?
冗談じゃないけれど、復讐者は理屈じゃないから有り得るわね。
そう言えば、8万の内4万が動いていない点が気になるわね。
援軍の通る道は最短の道が1番可能性があるけれど、多分来るのが藍と緑なら1番は取らずに2番を取るわね。
っ!?丁度、袁紹軍の死角!?わざわざあんなに見える場所に?しかも麗羽はギョウから動いていないからこの場に居ない、実質動かしているのは顔良になる!?
拙い、あの位置に罠が仕掛けられている可能性がある。
しかも、餌は私達と言う訳ね…
舐めてくれるわね、顔良…
私を餌にしようとした事を、死ぬほど後悔させてあげるわ。
「稟、丁度袁紹軍の死角に幽州への道があるのだけれど、あの位置にある罠を炙り出せるかしら?」
「…出来ない事はありませんが、探し出すだけでも相応に時間が掛かります。」
「判っているわ。風、頼みがあるのだけれど?」
「判りましたー、では幽州の援軍がもうじき到着すると、袁紹軍に流しますねー。」
「なる程、では私は早急に罠を発見し、公孫軍に罠の位置を伝えておきます。」
ふふっ、流石に2人共優秀ね。
私の考えている事を汲み取ってくれるのだから。
さあ、顔良…あなたの罠を炙り出してあげるわ。
人の動きと言うのが、口より物を言う事を思い知らせてあげる。
「2人共頼むわね。」
「「御意!!(なのです)」」
さて、顔良もう少し私と踊って貰いましょう。
「桂花。」
「はい、華琳様。」
「稟と風の行動を、袁紹軍に悟らせないようにしておいて。」
「畏まりました華琳様。では、袁紹軍との化かし合いに油でも注いでおきましょう。」
「頼むわね。」
顔良、私や藍達を少々舐めすぎよ。
その驕り、叩き潰してあげるから、首を洗って待ってなさい。
side 華琳 out
side 藍
エン州の国境を越える前に、華琳の所の騎馬が私達の集団に合流した。
「まさか、もう援軍を出して下さるとは。」
「冀州の動きは常に監視しているし、華琳は私達の友であり同盟者なのだから、当然の行動だよ。」
当然走りながら話をしているため、手紙と簡単な配置を聞いて、使者の騎馬兵の為に私の名前で休息を取らせた。
配置通りなら、返したら殺される可能性があるしね。
「藍、2番目の道なんだけれど…」
「うん…」
配置を思い返してふと思う。
何故幽州への道に、しかも普段の私や緑なら選びそうな道に、これ見よがしに柔らかい所を晒している袁紹軍。
「怪しすぎる。」
「あたしもそう思うわ。」
2人して悩んでいると、雛里ちゃんが私達に進言してきた。
「あの…藍さん緑さん…」
「うん?どうしたの雛里ちゃん。」
「ここは最短の道を行くべきかと思います…」
私もそう思い始めたんだけど、根拠が無いから悩んでいたんだけど、雛里ちゃんは答えを出してくれたらしい。
「この道だと、防御を固めた後ろに飛び込む形になりますが、そもそも後ろから攻められれば、将が少ない袁紹軍は兵をまとめ直すのに時間を要します。なので、その時間を利用すれば、相手に打撃を与えつつ此方が引く時間は捻出出来るかと。」
雛里ちゃんが話している間、緑が雛里ちゃんを見つめていたが、話し終えると一度頷いた。
「なら二手に別れましょう。」
「誰を2番目の道に行かせるの?」
「緋焔と伯瞻殿かしら。」
「本気で言ってる?」
「当然よ?緋焔は罠を自力で食い破れるし、伯瞻殿は頭がかなり良いわ。それに2人が罠に掛かる必要もないしね。」
「なる程、罠の近くに出てくれるだけで、注意が罠の方にいくね。」
この事を緋焔と伯瞻ちゃんに伝えて、無茶はしないように釘を刺しておいた。
此処は無理はするところだけれど、無茶をする場面じゃないしね。
やはりと言うか、2番目の道には罠があると、2人目の華琳からの使者が伝えてくれた上に、罠の配置まで調べてくれたようだ。
これならいけるはず。
私達は戦力の4分の1にあたる、軽装騎兵2千5百と重装騎兵2千5百を緋焔と伯瞻ちゃんに預けて、袁紹軍の後ろに回るのだった。
結果だけ言えば、敵陣は3方向からの波状攻撃(公孫軍本体、曹軍、公孫軍別働隊の順)を受けて撤退を開始し始めた。
あれだけネチっこく華琳を攻めていた上に、袁紹軍は最初の内は必死に抵抗していた為、多数の死傷者が出ていたが、何故か途中で攻撃を止め逃げの一手に行動を変更した。
まるで、こうなるのが判っていたみたいに…
其処まで考えて次の行動を考えようとした時、心臓を鷲掴みされた様な圧迫感を…プレッシャーみたいな重苦しい感じを受けた。
そして…
「初めマシテ、徐コウ明さんとオ見受ケ死ます。」
壊れた笑みを浮かべたおかっぱの禍々しい何かを背負った紺色の外套かドレス?みたいな服装の女性が、見事な剣を片手に立っていた。
side 藍 out
如何でしたでしょうか。
近頃暑すぎて仕事がしんどいっす。
この状態で、話作れるのか私は…
ちなみに、顔良さんが衣装を金の鎧から、シャナンの服装に変わっております。
服装の名前が判らなかったんだ…
どなたかご存知ならご一報下さい!!