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第64話「朱に染まる官渡・前編」

 第64話で御座います!


 また分かれちゃいました…orz



side 華琳


 現状は最悪と言って良いでしょうね。

 私や、春蘭・秋蘭・桂花の4人と少数の兵のみで幽州へ赴いたのは、臣下の礼を取る礼儀もあったけど、麗羽の目をエン州から遠ざける狙いもあったのよ。


 麗羽は派手好きだから、私の居ないエン州を狙うなんて有り得ないから。

 ところが、私が陳留に着いた途端に麗羽が攻めてきたのには、驚愕したわ。

 幽州の公孫軍に大敗して、まだ二月ほどしか経っていないのに、もう攻めてきた。

 ただそれだけなら侮蔑するだけなんだけれど、今回は幽州を攻めた時とは桁が違うくらい効率の良い攻めを見せたの。


 まずは、兵の数ね。


 その数、およそ8万。

 此方の数は3万が限度なのに対して、5万余分に持ってきた事に、驚きより恐怖を感じたわ。

 だって、考えてみなさい。

 彼らは今年藍達と戦って歴史に残る大敗を喫したのに、その二月後には此方がどう転んでも勝てない数で挑んできたわ。

 一番あって欲しかった麗羽が大軍を率いて来て、逆に兵糧が足りなくなる様に仕向けられればと思っていたのだけれど、数が私を踏みつぶすのに丁度良い人数で、且つギョウも守れる人数が残っていると言う、基本的な戦術を使っているのが拙い所ね。


「華琳様、袁紹軍に目に物をみせてやりましょう!!」


「残念だけど、野戦なんてしたら揉み潰されて終わるのがオチね。」


「何を言うか!!公孫軍はたった5千で5万の大軍を追い返したのだぞ!!」


「幻城で籠城して薊城からの援軍が間に合ってね。けれど、我が曹軍に援軍を送ってくれるところ何てあると思ってるの?」


「そんなものなど無くても、どうにかなる!!」


「どうにもならないから言ってるんでしょうが、この脳筋!!唯一援軍を出してくれそうな公孫軍だって、戦後だからすぐには動けないのよ!!」


「判っている!!だが、だからと言って降伏しろと言うのか、桂花!!」


「そんな事は言ってないでしょ!!」


「2人共、静まりなさい!!」


「「っ!?」」


 この子達の言うことも最もな事ね。

 最早一刻の猶予も無い状況で、もう一つ拙い事が発生している。

 幻城攻防戦は、収穫後の秋に発生したのよ。

 其処から二月経った…

 つまり今は冬になっていることだ。

 しかも今年は既に昼になっても寒かったりする。


 朝に井戸の水を汲み上げる為、氷を割らなくてはならない位に…


 今はまだ、川が凍りついたと言う報告は届いていないけれど、もし凍ってしまったら…

 この2つの事態が組み合わさったら、陳留まで8万の軍勢が到達する事になる。

 考えるのもイヤになるわね。


「稟、風。来て早々にこう言う状況なのだけれど、あなた達はどう思うかしら?」


 ウチに新たに入ってくれた、郭嘉奉孝こと稟と、程立仲徳から程イク仲徳に改名した風の2人も渋い顔をしている。

 彼女達は、星と緑が来ていたら是非引き入れた方が良いと、推薦していた子達だ。

 少し話したけれども、軍事なら稟・政務なら風と住み分けが出来る素晴らしい才を持った2人だった。


「星から華琳様への推薦が来たと思ったら、いきなりの出番ですから嬉しく思いますよ。ねえ、風?」


 流石に軍事で活躍出来る場が目の前にあるから、稟は意欲的になっているわね。

 風はどうかしら?


「…ぐぅ。」


「寝るな!!」


「おぉ、麗らかな日差しでついウトウトとー。」


 藍と緑の間合いに通ずるものがあるわね。

 前は何とも思わなかったけれど、今なら面白いと思えるわね。


「今は冬よ、風はどうかしら?」


「本初さんの所はなりふり構ってない様なので、相当厳しいかと思われますねー。」


「では、降伏した方が良いと?」


「此処で降伏すれば、漢の臣は与し易しと他の国でも同じ事が起こると思いますので、今の華琳様ならば、例え滅んだとしても意地を通すべきかとー。」


 皆が私を見ている。

 それぞれが覚悟を決めた顔になっているわね。

 ふふっ、なら私も主として、そして漢の臣下として、そして親友として答えると共に…


「打って出ましょう。」


『華琳様!』


 嬉しそうな顔や驚いた顔、皆が様々な表情をしているわね。


「あくまで、前に出るだけよ。このまま素通りさせたら、間違いなく私達は滅ぼされるわ。けれど、官渡で釘付けにすれば、後ろから必ず彼女達が来てくれるわ。」


「華琳様、お言葉ですが公孫軍も完勝はしましたがすぐに出てくれるとは…」


「安心なさい、桂花。緑がこういう事態に備えないなんて、有り得ないでしょう?そして、公孫軍の将達は味方を見捨てるなんてしないのよ。」


 こうして私達は、官渡に布陣し川を挟んで睨み合う事になった。

 私は命を捨てるなんて事はしないわ。

 藍、あなたの、あなた達の言葉は必ず守って見せるわ。

 援軍要請の騎馬を見つめながら、私は彼女達との誓いを思い返した後に、眼前の袁紹軍を睨み付けるのだった。


side 華琳 out

 如何でしたでしょうか。


 次話は幽州sideになる予定で御座います~。



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