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第63話「西からの来訪者・後編」

 第63話で御座います!


 今日はマシかと思われます。



side 藍


 前回、緑の「誰がんな事言ったよ?」発言により空気が凍った現場は、復活の兆しが一向に見えない。


「緑、この状況どうすんのさ。」


 仕方ないので、率先して空気を動かそうとしたのだが…


「誰も馬家をどうにかするなんて一言も言ってませんよ。孟起殿が残念だ、としか言ってませんが?」


 この発言に寿成殿が復活して大笑いした。


「はははっ、皆していっぱい喰わされた訳か。」


「まあ、そうとも言いますね。」


 この言葉に心配していた仲穎組と菊香ちゃんと清凛君が安堵の表情を浮かべていた。


「それでは、寿成殿の刑罰ですが…」


 と、緑が刑罰を読み上げようとしたら、孟起ちゃんが驚きながら声をあげた。


「ち、ちょっと待てよ!?許したんじゃないのかよ!!」


「人の話を聞いてなかったのですか?処刑と誰が言いましたか?と言いましたが無罪ですとも言ってないでしょうが。」


「でもさ!!お母様は病気を押して、詫びを入れる為に此処まで来たんだぞ!!」


 この言葉に寿成殿がキレそうになった瞬間に緑が一言呟いた。


「それを寿成殿が誰かに言いましたか?」


「っ!?」


 孟起ちゃんが、この言葉を聞いて、寿成殿が何をしようとしていたのか、漸く判った様だった。


「確かに寿成殿は病に犯されているのでしょう。しかし、寿成殿は断罪されるのを判った上で、幽州に来ています。その孟起殿の母様はそんな情けない事を言って命乞いをするような方ですか?私には、寿成殿はそんな方には見えません。故に公正に罪と罰を判断して言い渡す義務が、私にはあると思っています。」


 緑は孟起殿を目をじっと見つめながら言葉を紡いでいた。


「馬寿成。」


「はっ。」


「あなたから涼州の全ての権限を剥奪します。」


「ちょっと待ってくれ伯寧殿。」


「何か?」


「罰になってないと思うんだが?」


「続きがあるのにあなたが止めたんですよ?」


「え?あ、ああ。すまなかった続けて下さいませ。」


「気付いたからって無理に敬語に戻さなくて良いですよ、違和感しかありませんから。んんっ、そして剥奪した権限を馬孟起に譲り渡しますので、馬寿成はこれをしっかり管理する事。これが今回の刑罰になります。」


 皆が唖然とするなか、寿成殿が聞いてきた。


「なあ、伯寧殿。さっきまであれだけ嘆願を却下してたのに、一体全体どう言うことなんだい?」


「罪を見る事は既に行いました、あなたの罪は将軍でありながら都を攻めようとした反逆罪です。それと共に罰を与える際、あなたの人生を天秤にかけた時に少しだけ罪が重かったので、あなたが積み上げてきた功績を帳消しにした後、頭が少し残念な孟起殿をあなたの後釜として厳しく躾て貰うと言う事で丁度天秤は釣り合うはずです。孟起殿を躾ようとしたら、かなり大変でしょうしね。」


 この言葉を聞いても納得出来ない様だった寿成殿に、緑がとどめの言葉を言うのだった。


「あなたが漢の忠臣だと言うのなら、己と家族と民を慈しみなさい。そうすれば、民達も答えをくれるのでは無いでしょうか?」


「ちっ、小娘に此処まで言われるとはな…」


「親が天寿を全うできなかったら、子は後悔します。親もまた長生きしないと親不孝になると思いますよ?自分の親に顔向け出来ないでしょう?寿成殿。」


 この言葉に何か思った様で、寿成殿は頭を下げた。


「伯寧殿、忝ない。」


 声がおかしかったのは、きっと気のせいだろうね。


「寿成殿は体調が悪い様ですから、後で見て差し上げますよ。多少医学をかじってます故。」


 この世界に来ても緑の前世の才能である、多才な知識が発動しており、この漢で行える医療を修得していたりする。

 余談だが、うちの奥さんは、オーディンさん曰く知識の習得率と応用力は、準チート級なんだそうな。

 ふむ、確かに自分の奥さんだけど、知識量もさることながら利用する時もすっごい上手いからなぁ。

 ズルいと思ったことは無いけどね。

 だってどれだけ賢くても鼻にかけた事が無いし、何より可愛い奥さんだからね~気にならないよ~♪


 漸く空気が穏やかになってきた。

 寿成殿は縄を解かれて、緑の診察を受けつつ孟起殿に正座をさせて、心得を叩き込んでいるようだ。

 早速か、頑張れ~私は寝るわ~と、コソコソしながら謁見の間を出ようとしたら、肩を叩かれた。


「藍お姉様、どちらへ?」


 すんごい良い笑顔に怒りの四つ角を付けた焔耶さんが、私の肩を叩いた後掴んでいた。


「チョットハナヲツミニ。」


「ならワタシも付いていきますよ、早く謁見の間に戻りましょうね。よもや部屋に帰って二度寝なんて、するとは思えませんしね。」


 何故バレた…


「藍お姉様は今日がお休みだったのに、急遽謁見が決まったので休みがなくなりましたから、隙が出来たら部屋に逃げて昼寝をするんじゃないかと思ったんですが、違いますか?」


「流石だよ、焔耶。私の妹もついに一人立ちか、嬉しい様な寂しい様な…」


 誤魔化しながら逃げようとしたら、更に掴む力が増した。


「で、藍お姉様。言い残した事はありますか?」


「死にたくないです、ごめんなさい。」


 素直に謝りました。

 夜以外は焔耶にも近頃負けまくります。

 何故か自分の立ち位置が最下層な気がしてきたよ。

 気がしてるだけだよね?


 誰かそうだと言ってよ!?


 などと夢想しながら焔耶に説教喰らってます。

 そんな穏やかな時間に、またもや風雲急を告げる報が舞い込んできた。


「大変で御座います!!」


「何事か!!」


 比較的冷静な白蓮が一言で聞いていたが、兵の一言で場が騒然となった。


「袁紹軍が南に侵攻を開始した由、袁紹軍は直に官渡に到着する模様です!!」


 マジかよ!?


side 藍 out

 如何でしたでしょうか。


 急に暑くなったり、雨が降ったりでちとバテて来ました。


 2ヶ月連続投稿達成したら、1日置きにしようかなぁ…



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