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第61話「幕間・覇王と魔剣」

 第61話で御座います!


 幕間ですが、彼女と此処で…



side 華琳


 明日、私は一度陳留に帰るため、藍達と楽しめる日が今日しか無かった。

 と言う訳で、前日から藍の部屋で藍を美味しく頂いているんだけど、やっぱり彼女は良いわ。

 何故か彼女と一緒に居るだけで、肌を合わせるだけで、唇を重ねるだけで、果てはまぐわい合うだけで、私達は溶け合ってしまう。


 藍が言ってたけど、私達は相性が良いのだろう。

 彼女と重なり合う時だけ、私は覇王を目指した者では無く、ただ愛しい人と重なり合う1人の女になれた。

 彼女も同じ事を言っていたから、本当に気持ちがいい。

 彼女を私1人のモノに出来なかったのは、ある意味良かったんだろう。 彼女を部下にしてしまったら、私は心を休める場所が無くなってしまう気がしたから…


 まあ、藍にはそんな事言わないけどね。

 何故かって?

 調子に乗るだろうし、彼女って虐めると可愛いのよ。

 藍の涙目顔って一度見たら、病みつきになるくらい燃えてしまうのよね。

 白蓮も藍を泣かせると可愛すぎて益々虐めてしまうと、言ってたから間違いないわ。

 現に私は彼女と床を共にした今、3回位泣かせてるからね。

 可愛い顔をしながら、可愛い声で泣きながら鳴く声は、ゾクゾクする位興奮するわ。


 今隣に藍が眠っている。

 調子に乗って泣かせすぎたわね。

 酷い顔になってるわ。

 駄目ね、藍の泣き疲れて眠った顔で滾って来るなんて…

 藍、我慢できないから、もう少し我慢しなさい。




 朝、藍からブツブツと言われてしまったわ。

 仕方ないじゃない、可愛いすぎるあなたがいけないのよ?

 普段なら、秋蘭に任せる髪を今は藍にして貰っている。

 服?ご想像にお任せするけど、藍の身体は傷もあるけど、結構綺麗なのよね。


「華琳の髪、艶やかでとても綺麗だね。」


 藍の言葉が不意打ちで私の心に突き刺さった。

 胸がドキドキしてくる。

 綺麗と言われただけで、ドキドキするなんて生娘じゃあるまいし、けど悪くないわね。


「ありがとう、藍。あなたの手入れも気持ち良いわ。」


 照れで赤くなった顔を隠しながら私は答えた。


「それで~、無理矢理休みを取らせた華琳様は、一体何がご所望ですか~?」


「あなたかしら?」


「散々滅茶苦茶にしておいて、まだ所望するか。」


「冗談よ、今日1日街を案内して欲しいわ。」


「はいは~い、判りましたよ華琳様~。不肖、徐公明がご案内しますよ~。」


「お願いするわ。」


 何時の軽口を叩き合い話す私達。

 他の者では味わえないこの感覚。

 春蘭達が嫌いになった訳じゃないから、多分これは…いえ、これが親友との付き合いなのかもしれないわね。




 私達は薊城の城下町に降りてきていた。

 そう言えば、個人的な理由で城下町を見るなんて、初めてじゃないかしら…

 ただ何時もの癖で、藍に街の注意点や問題点を聞いたり指摘したりしてしまって、恥ずかしかったわ。

 それに素直に答える藍を叱ったのだけれど、藍は「え?華琳って家族でしょ?」なんて言われたから、つい背中を思いっきり叩いてしまったわ。


「っく~、滅茶苦茶痛い…」


「き、急に変な事を言うからでしょう!?」


「何を慌ててるんですかいな?」


 完全に理解できないと言う顔で、首を傾げてたから思わず腹を殴ってしまったけど、今のは私の所為じゃないわ。

 間違いなくね。




 今は藍と2人で昼食を取っているのだけれど、店には居ないのよ。

 藍の作ったお弁当を小川を眺めながら食べようと思って小川の畔に移動したのよ。

 緑から藍は料理が趣味だと聞いていたから、作って貰ったのだけれど変わった物が多いわね。


「この具を挟んでる饅頭より柔らかい物は何かしら?」


「うん?ああ、パンだよ~。」


「ぱん…これって天の知識で作った奴よね?こんな物作って良かったのかしら?」


「パン自体は、かなり古い時代から西側の羅馬とかで作られてるから誤魔化したんだよ~。」


 こういう自分が興味のある所を徹底的にする点も、私は気に入ってるわね。


「けれど藍。肉や野菜を使ってるのに、桃の風味があるのはどうかしら?」


「やっぱそこ言っちゃうよね~、じゃあお嬢様こっちを食べみて下され。」


 誰も居ないのにキョロキョロしながら周りを見つつ、私の耳に呟きながら言ってきた。

 本当に彼女は、こう言う所でも冗談が先に出てくるわね。

 それでいて、真面目な時は私の心を平気でざわつかせるんだから質が悪いわ。

 と、渡された具を挟んだパンを食べたんだけど。


「っ!?見事ね、桃の風味が無くなって、少しピリッとするけど、丁度良い辛さ…辛さが消えた?」


 私が驚いていると、藍がニコニコ笑って私を見ていた。


「華琳って辛いの苦手そうだったからさ、辛みをタレで消すように努力してみました♪」


「美味しいわ、ありがとう藍。」


「どう致しまして~♪」


 興味があったので、どうやったのか聞いたら、牛の乳をタレに使って香辛料の辛みの緩和材に使ったらしい。

 この後も食事中に、この鹿肉の燻製を猪肉の燻製に変えたらどうか?と聞いたり、猪肉にすると値段が上がって庶民が買えなくなると言う話し合いをしたりしながら、昼食を楽しんだ。

 藍ったら、この技術を民にあげているらしい。

 まあ、だからこの街では多種多様な食が民や旅人を喜ばせているのでしょうね。

 藍と話をしながら食事をしつつ小川を眺めているとこういう時間の過ごし方もあるのだと思えたわ。

 心地いい時間ね。


 食事を終えて、今藍と共に本屋に来たわ。

 何でもこの本屋は、焔耶が勉強の為に本を良く買っている本屋らしい。

 私も本は興味がある事を藍が何処か、多分緑から聞いたのだろうけど、考えてくれたらしい。

 何だか嬉しいわね。

 藍が本を買おうとしてるみたいだけど、何を買おうとしてるのかしら?


「藍どうしたの?」


「っ!?ナンニモナイデスヨ~。」


 そう言ってそそくさと藍が本棚を離れて行ったので、見ていた本の箇所を興味本位で見てみたんだけど…


『彼女は女王様』


『澄まし顔時々照れ顔』


『夜の虐め方・虐められ方』


 この後、本屋から出た私が藍の向こう臑に一撃を放ったのは、間違った判断では無いと確信しているわ。

 私、やっぱり少し自重すべきなのかしら…




 その後、藍と貴金属店に来て、藍が私に首飾りを贈ってくれたわ。


「うん、華琳ってやっぱり何を付けても綺麗だよね、羨ましいよ。」


「あなたも負けてないと思うわよ?」


 これは本心よ。

 他の人間がどう思おうが関係ないしね。

 その後すぐに、藍に首飾りを贈って返礼したわ。

 例え親友兼家族の彼女であっても返すのは当然でしょう?




 そして夜また藍の部屋で一夜を過ごす。

 今日は本当に良い1日だったわ。

 そう思いながら、情事後の藍と口付けを交わす。

 ふっと、急にいやな感じが背筋を走るのを感じた。


「どうしたの?華琳。」


「…藍、気を付けなさいね。」


「へ?どしたのさ、急に…」


 流石に、いきなり気を付けろと言われた藍が驚いているが私は続けて話す。


「私と桂花と緑が話し合っていた、袁家が官渡を渡ってくる可能性があるから陳留に私達は戻るけど、何かあったら必ず助けに行くわ。だから早まった真似だけはしないで頂戴。」


 そう言うと、あの真面目な顔で藍が、私を見つめながら返してきた。


「なら、私達も華琳が危険に晒されたら、必ず助けに行くから諦めないでね。」


 夜話にしては物騒な話だけど、私達にとっては大切な話だった。

 正直に言えば不安が消えないわ。

 けど、私達の思いがそう易々と断ち切れないと信じて瞼を閉じた。

 願わくば、そうであるようにと…


side 華琳 out

 如何でしたでしょうか。


 流石に同盟者なので彼女も帰っちゃうんですよね。


 にしても華琳さんはカンが良いわ…



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