第59話「オーディンさんの説明会・後編!!」
第59話で御座います!
強引&ある意味超展開になるんでしょうかね…
side 藍
暫く時間が経って焔耶が泣き止んできた。
と思ったら、いきなり目を瞑った焔耶に口付けをされた。
触れているだけの、ただそれだけの口付けだ。
私は焔耶にされるがままになった。
私で焔耶が満足するなら別に構わないからね。
「すいません、藍お、お姉様。」
ただ何も言わずに頭を撫でる。
野暮は言わない方が良いからね。
「とりあえず、オーディンさんは私達2人に言いたい事があるんだよね?」
『うむ、要件を済ませないとならんのぅ。』
再びオーディンさんが、真面目な顔で私達に要件を告げる。
『お主ら2人が死んだ後何じゃが、そのまま輪廻転生が出来なくなってのぅ。』
「「はい?」」
『儂等の想定がおかしくなっておるんじゃよこれが。』
いや、てへっじゃないよ。
「確か武器がどうとか言ってたよね?」
『うむ、お主らが乱世を生き延びる事が出来るようにと渡した、魔剣ミストルティンと聖弓イチイバルなんじゃが、転生前の調査ではただ性能が良い武器だったんじゃが、転生後のお主らには相性が良すぎた為に、魂が別物になってしまったんじゃ。』
うわぉ、人間じゃなくなったって事ですか?
そりゃ無いよねぇ…。
「まさか、エインへリャルになってしまったとかですか?」
険しい顔で聞いている緑に、オーディンさんは頭を振って否定した。
『お主の博識には舌を巻くのぅ、じゃがそうではない。』
「そうではない?」
『うむ、お主らは嬉しくないじゃろうが、神格化しつつあるんじゃよ。』
「「へ?」」
2人揃って間抜けな声を出してしまったけど、仕方ないよね?
だって神格化って神様になっちゃったって言うの?
冗談きついわ。
『まあ、お主らの事じゃ、冗談きついわとか思っとるんじゃろう?』
「流石に突飛すぎませんか?」
緑がガチガチになりながら聞いているが、胆力があってもこれを受け止めるのは無理ですよ。
『確かにのぅ、しかしほぼ決定事項じゃから、拒否出来んからそのつもりでな?』
「うへぇ、冗談きついわ。」
『口に出しよったよ。まあよい、そこで焔耶よ、聞きたいことがある。』
「ワ、ワタシですか?」
泣いてた上に突飛な発言で呆然としていた焔耶が聞いている。
『焔耶よ、お主。死んだ後、藍達の従者をせんか?』
「へ?いや、へ?」
大分混乱してますね。
いや、私でも混乱するわ。
一応渦中の人間である私達は混乱の真っ只中ですよ。
「ワ、ワタシに務まりますか?」
『お主なら、必ずや役に立つじゃろう。お主の2人に対する思いは既に信仰に近いモノがあるからのぅ。』
「で、では、ワタシは…」
い、いかん。
新興宗教の信者勧誘の図と変わらん。
流石に考えさせないと、思考停止中の人間に餌ぶら下げたら飛び付くっつの!
「焔耶!?駄目だよ、一度深呼吸してよく考えて!!」
「や、やっぱりワタシは藍お姉様達のお役に立てませんか?」
「いやいや、そうじゃないよ!そこで、うんって言ったら死んだ後…どうなるんでしょう?」
全員コケました。
良く考えたらどうなるか判らんわ。
「んんっ、藍のおかげと言うのも何だけど正気に戻ったわ。」
なんか酷い言われ様だね。
「焔耶、よく聞いてね。」
「は、はい。緑姉さん。」
真剣な表情の緑と焔耶を見て思う。
私っていらなくね?
「もし焔耶があたし達について来ると、言ってしまうと二度と死ねなくなるわ。」
「死ねなくなる、ですか?」
「ええ、残念ながら不老不死とか言うのになった事がないから、想像でしかないけど自分だけ生きているのに、周りが死んでいく様子を見るのは、キツいと思うわ。」
少し止まって冷静に考えているらしい。
「…オーディン様、藍お姉様達も同じなのですよね?」
『若干違うが似たようなもんじゃな。』
「緑姉さん。」
「何かしら、焔耶。」
「ワタシは、藍お姉様達の従者になりたいです。」
「「焔耶!?」」
だ、駄目だよ焔耶。
ロクな目に会わないよ。
多分だけど、実際やってみないと判らないけど、ロクな目に会わない予感がバリバリしてますよ。
「だって、藍お姉様達だけ苦しい道を行くなんて我慢できません。ワタシもお供させて下さい、お願いします!!」
どうしたら良いんだろう。
全然判らないよ。
一緒に行こうなんて身勝手に思えるもん。
どうしたら…
拒否したって、焔耶が傷つくし、許可したら私達が…
世の中理不尽だねぇ…
「オーディンさん。」
『何かのぅ?藍や。』
「焔耶は従者じゃありません。」
「ら、藍お姉様!?」
焔耶を見て微笑む、焔耶が傷付く位ならさ。
「この子は私達2人にとって家族ですから、従者じゃありません。」
「藍お姉様…」
焔耶のダムが再び決壊しました。
焔耶が傷付く位なら私達が傷つくよ。
それで丸く収めるさ~。
『いいんじゃな?』
「正直言ったら良くねぇよ、ふざけんな!!って言いたくなりますけど、今更私達2人の道は変えられないだろうし、焔耶も…自分で決めたって思いますから…」
緑も頭を右手で抑えながら、頷いた。
「頭が痛くなってきましたよ。」
「緑、約束したじゃない?」
「…此処でそれを持ち出した以上破ったら死んでも恨むからね?」
「あら、私達は知らない約束かしら?ねえ?白蓮。」
「そうだな、聞いた事がない。」
え?この人達、何言ってるの?
「オーディン様!!自分はどうしたら藍姉様達と一緒に行けますか!!」
この言葉に慌てたのは焔耶である。
「良蓮ちょっと待て!?藍お姉様達やワタシは遊びに行くんじゃ無いんだぞ!!」
「判ってる!!けど、焔耶は初めて出来た友達なんだ!!」
「良蓮…」
「良く姉上も言ってたよ!!友達に手を差し出さないのは公孫家の女にあるまじき行為だって!!今まで自分は友達出来なかったけど焔耶は自分を見てくれたんだ!!その友達を助けないで何が友達だって言うんだ!!」
此方では、熱い友情物が展開中です。
「…緑、わたしもついて行くぞ。」
「ちょっ、緋焔!?」
「…言った筈だ、何処までもついて行くとな。」
「緋焔…」
あちらではラブコメ展開中です。
「藍殿。」
「せ、星?どうしたの?」
「神の居る土地のメンマはどんな味なのか、死んでからも楽しみですな。」
「ちょっと待ってよ、皆ついて来る気かい!!」
「「「「「当たり前だ!!(よ)(です)(ですな)」」」」」
え~と、なんだろう。
持つべき物は友達何だろうか?
「オーディンさん?」
『皆、まとめて連れてくれば良い。』
そう言ってオーディンさんはニヤリと笑った。
「確信犯か!!」
『優秀な人材を獲得する好機を無碍に出来んのも、事実じゃろ?』
暴露したよ、この神様…
頭を右手で抑えたままの緑がジト目で、オーディンさんを見つめながら言う。
「計算づくとか、食えない爺さんですね…。」
「緑、流石に思っても言っちゃ駄目だと思う。」
私は頭の後ろにデカい水滴を出しながらツッコむ。
気持ちは判るけどさ。
「どうせ、心の中も覗けますよ。それよりオーディンさん?」
『なんじゃな?』
「皆を物扱いしたら、絶対許しませんよ?」
『当然じゃ、引き込もうとしとる者を、軽んじる事などせんよ。』
「どうだか…」
なんか殺伐としてきたなぁ。
この状況下で、オーディンさんが動いた。
『では、お主ら全員が来るという契約の証を渡しておこうかのぅ。先ずは藍と緑と焔耶は既に渡してあるから飛ばすぞい。』
「へ?ワタシは貰って…」
「ごめん焔耶。スワンチカがそうなんだ。」
あ、そうなのかと焔耶は納得してくれた様だ。
酷い姉だよね、ついて来るの判ってて釣り上げた形だよ?
自分で自分が許せなくなるよ。
私達2人が神様の所に行くのは、構わないんだけどね。
『先ずは、そうじゃのう。良蓮に渡そうか。』
「じ、自分ですか!?」
あ、ちょっと目がキラキラしだした。
新しい玩具じゃないんだからね?
『お主には、地槍ゲイボルグを渡しておこう。槍じゃから使いこなせよう。』
「ありがとうございます!!」
ブンブン振り回しちゃ駄目だからね~。
私の部屋が滅茶苦茶になるから~。
『次は、華琳に渡しておこうかのぅ。』
「私にも武器かしら?」
『いや、お主ら実力があるからいらんじゃろ。故にこれを渡しておく。』
「指輪?」
『うむ、それはシールドリング、盾の指輪と言ってのぅ、お主の守りを補助してくれる代物じゃ。』
「なるほどね。」
華琳は指輪をつけて珍しいそうに眺めている。
『次は、星じゃな。』
「拙者は何かな?」
『お主には、スピードリング、疾風の指輪とでも言おうかの、これをやろう。』
「ふむ、文字通り早くなれると言うことですかな?」
『そう言うことじゃな。』
星は頷きながら指輪を眺めている。
『続いては、緋焔じゃ。』
「…ああ。」
『お主には、ライブリング、生命の指輪をやろう。』
「…生命の指輪?」
『これを身につけておれば、傷の治りや体力が回復しやすくなる。』
「…使えるな。」
それだけ言って、緋焔は壁に背を預けて目を瞑った。
『最後は白蓮、お主じゃな。』
「私も指輪か?」
『いや、お主には聖剣ティルフィングじゃ。』
「…凄い剣だな。」
『お主も死なせるわけには、いかんのでなぁ。』
「藍と緑の為か?」
『まあ、そんなところじゃな。』
「とりあえず貰えるものは貰っておくさ。」
白蓮は剣を見た後、口元で笑みを浮かべて此方をみている。
『それが、契約の品じゃ。まあ、死んでからじゃから、人生を謳歌してくれぃ。』
「なんか腑に落ちないなぁ。」
『尚、この空間は自動的に消滅するぞい!!』
「なっ!?」
こうして私達全員の理不尽な1日が終わるのでした。
ちなみに、朝になったら起きれたよ。
部屋荒れてたけどさ。
とりあえず、死んだら真っ先にオーディンさん殴って良いよね?
side 藍 out
如何でしたか。
昨日の蚊取り線香事件から調子が悪いっす…
次話も書かにゃならんのにしんどいよぅ…orz
自業自得ですけどね。