表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/91

第54話「報告会ってオイシいの?あとスタンプは勘弁」

 第54話で御座います!


 文章の書き方が変わっております。



side 藍


 何とか袁紹軍を追い返したし、黙祷もそろそろ終わらせて、城の事後処理をしようかとしたら、何かが落ちた音がした。

 まさか、まだ袁紹軍が居たの!?

 そう内心で呟き焦る。

 黙祷は私の最後の礼儀だと思ってやったのが裏目に出てしまった、とまで思って辺りを見渡すと焔耶が倒れており、血の気が引いていく思いがした。

 良蓮も気付き一緒に慌てながら焔耶を抱き起こすと、静かに寝息を立てていた。

 気を失っただけだったかぁ~、焦らせないでよ、もう~。

 ちょっと憤ったが、それ以上に頑張った私達の焔耶を少し休ませてあげようと思い、暫くそばに居ながら事後処理を良蓮と行うのだった。

 暫くすると追撃を行っていた、緑達が幻城に入ってきた。

 まあ、合戦後だから休まないといけないし、当然だけど全軍は入らないから、偉い人が主に城に入った訳だね。

 私は後で外の陣地に陣中見舞いがてら、兵達の様子と軽い宴会用に軽食を用意するつもりだ。

 酒はウチの、特に私が指揮する部隊では、軍事行動時に絶対飲ませないからね。

 悪いけど、戦勝祝いは薊城に戻った後になる。

 私の部隊は何時もそうだから、きっと皆理解してくれるはずだ。

 この瞬間が、勝ったと思ってる今が、一番怖いと常に言ってきたからね。

 まあ、後で見に行った時に判るよね~ってな訳で、事後処理を含めた現状の整理の為に、幻城の執務室に主だった人間が集まっている。


「結果、焔耶は気を失って倒れたわけね?藍。」


 我らの緑さんが、無表情で焔耶の様子を聞いてくる。


「うん、流石に連戦だったから厳しかったみたいだし、今は大事を取って部屋で休ませてる。」


 流石に私もこの報告会でボケたりはしないから、真面目に答えてるよ~♪


「後で、焔耶と良蓮の2人と生き残った城兵達に恩賞と、亡くなってしまった兵の遺族に見舞金を支払いましょう。…今回の戦闘での死傷者数が、約3千8百人ですか…数が10倍だったのに対して相手の被害は4万の内死者が4千を超えたのが驚きですね。」


 緑さんが、資料を読みながら話しているが、確かに凄い人数が死んでいる。

 多分舐めていたのと、落とさないといけない理由があるから、引けなかったんだろうね。


「物資が明らかに多かったもんねぇ。」


 袁紹軍の陣地を調べた所、糧食や武器、矢などの軍需物資がかなり多かったのだ。


「白蓮様、予想になりますが、袁紹軍は幻城を即座に落として足掛かりとし、更に戦力を投入して薊城に向かうつもりだったようです。」


 そう緑さんが締めくくったが、私の予想もそうなるんだよねぇ。

 薊城攻めるには、5万は少なすぎるからねぇ。

 最低でも12万以上は投入しないと私達と数の差が埋められないからね。


「ふむ、ウチの総戦力は確か7万と月達の5万を貸して貰えたら12万だしな。確かに幻城に5万も持ってくる理由は、それくらいしか思いつかないな。」


 白蓮もかなり総大将然としてきて、格好良くなったよねぇ。


「白蓮、質問良いかしら?」


 流石物怖じしない女、華琳様。

 一応軍議なんだから、当然協力関係にある華琳は、聞いておきたいことがあるよねぇ。


「ああ、構わないぞ。なんだ?華琳。」


 大体聞きたいことは判るけど、聞きにきた以上は促さないとねぇ。


「白蓮はこれからどうするのかしら?」


 と、ニヤリと笑いながら、白蓮に尋ねる華琳。

 まあ、当然だよねぇ。


「…緑、この幻城で西の守りは十分なのか?」


 と、白蓮が緑に尋ねるけれど、なる程、確かに幽州の防衛にしろ、冀州を攻めるにしろ、冀州の国境沿いという位置にある幻城をどうするのか聞いておきたい所だね。


「そうですね…攻めるにせよ守るにせよ、幻城の修復は急がせますが、幻城だけでは無理なのは今回の戦闘ではっきりしました。なので、もう一つ城を建てたい所なのですが…」


 緑の表情が、一瞬苦虫を噛み潰した顔になった。


「資金か…結構きついよなぁ、幻城みたいに凝った物は無理だぞ?」


 白蓮も内情を理解しているので、苦笑いしか出来ないようだ。


「そうなんですよね。この冀州沿いに城を建てた場合、ここ以外適当な山が無いので、間違いなく大型の平城になってしまうため、資金が幾らあっても足りません。」


 金金金、世の中世知辛いよねぇ。

 緑も眉間に皺が寄っちゃってるし、私も流石にこればっかりはどうしようもないなぁ。


「まあ、無い物ねだりをしても仕方ない。緑、ウチは冀州を攻めるべきか?または攻められるか?」


 苦笑いから一転して真剣な表情になったねぇ白蓮。


「実際問題ですが、すぐに冀州攻めは得策ではありません。今期は幽州の北が、少々不作だったので、確保出来ると予想される糧食量では、途中で息切れしてしまうので、今は見に徹するべきかと。」


 緑が淡々と話している。

 実際はすぐにでも攻めたいんだろうけど、腹が減ってはなんとやらだしねぇ。


「なる程、糧食問題か…今回の袁紹軍の痛手も、来年に持ち越すと無くなってしまうな。」


 そう言いながら白蓮は困った顔をして、右手で頭を支えている。


「あの、さっき藍さんが言ってた軍需物資を使っても糧食って足りないんですか?」


 と、北郷君が疑問を聞いてきたが、緑がそれに答えた。


「北郷殿、意見質問の際はせめて一言を…確かに藍は結構な量の物資だと言ってましたが、あくまで全部が糧食では無いので、これを転用しても足りません。」


 と、緑は北郷君の近くに行き、資料を見せながら説明している。

 近くにいる、孔明ちゃんと士元ちゃんも背伸びをして見ようとしていたので、それを横目で見た緑が、少し資料を下に下げて見やすくしてたのが印象的だったなあ。


「ふぅ、暫くは見に徹するしか無いみたいね。」


 華琳は目を瞑って少々困った顔をしながらそう告げて、周りもそれに頷いていた。


「まあ、今回は相手に多少の痛手を与えたので、この部分を利用して相手の切り崩しを行いつつ、隙を伺うほかありませんね。」


 緑も華琳の意見に乗っかって来たので、そろそろ解散かな?


「はあ、とりあえず他の連中とも話し合わないと行けないけど、今は動けないから皆そのつもりでいてくれ。」


 こうして総大将の締めの言葉を頂いて、報告会は解散となったのでした。

 と、思ってたら、何やら怪しい雰囲気になってきた。


「ところで藍…は、止めておきましょう。緑に聞きたいことがあるんだけれど。」


 流石にその言い方はおかしいっす!!


「異議アリ!!何で私に聞こうとして急に緑に振るの?それじゃあ、まるで私がまともに、答えないみたいじゃないか…」


 『それじゃあ』の辺りから、こういう時は私が信用されないと悟り勝手に四つん這いになった。


「藍…何自分で異議申し立てをして勝手に気付いて自爆してるのよ…それで、華琳さんが聞きたい事は何でしょうか?」


 緑が私を見て呆れた後、眼鏡の真ん中を右手の薬指で直して華琳に聞いている。


「今回見せてもらった重装歩兵とこの城よ。実に素晴らしい出来だったわね。」


 素直に賞賛しているようだ、華琳は緑ともあの一件以来仲が良くなったので、友人として、誉めているのだろう。


「そうですか、誰も判ってなかったみたいで何よりですね。」


 と、ニヤリと今世紀で一番嫌な笑い方をしている緑さん。

 皆が困惑している中、私と城の建築に携わった業者しか知らない、最後のネタが暴露される。


「誰も言ってないと言う事は、誰も気付いていないと言う事になるんですが、どなたか何か気付いた事があったら、仰って貰えますか?」


 この台詞に誰も答えられないらしい。

 かの有名な王佐の才に伏龍・鳳雛がいるのに、皆が考えているけれど判らないようだった。


「この城の近辺は雨が少ないんですよねぇ、とっても…」


 この台詞にいち早く気付いたのは、孔明ちゃんだった。


「ま、まさかあの湿地帯って伯寧さんが作ったんでしゅか!?あうぅ、ここでも噛んじゃった。」


 舌を噛んで、涙目の孔明ちゃんの顔を緑が優しく掴んで上を向かせ舌を出させている。

 孔明ちゃんの舌を見ながら、緑が肯定する。


「この辺りには水気が無いので、苦労しましたよ。確かに藍達が鍛えた重装歩兵ですが、流石に湿地帯を進めるわけが無いじゃないですか。因みにもう一度言っておきますが、この城の名前は幻城、『まぼろしの城』何ですから…」


 と、意味ありげに微笑みながら皆を一瞥して、孔明ちゃんの舌に緑お手製の軟膏塗っていた。


「藍、お前って確かこの城の建設に携わってた筈だし、お前も知ってたって事だよな?」


 四つん這いから復活していない私に白蓮が聞いてくる。


「そうですね~知ってましたよね~。」


 そう投げやりに言っている私を、軟膏を塗り終えた緑が、あろうことか私の後頭部を踏みながら慰めってこれは慰めじゃないぞ!?


「何時まで落ち込んでるんです?踏みますよ?」


 緑の足を振りほどいて立ち上がり私は大声で突っ込む。


「言う前に踏んでるわい!!!!」


 と、私が言うと緑が黒くなって来た。

 へ?私何かしたっけ?近頃は何も…

 緑の目を見ると、前世でもお馴染みの目をしていた。

 あ、そっすね。

 確かに何にもしてなかったわ。

 そりゃ機嫌も悪くなるわなぁ。


「えと、緑。後でちょっと相談があるんだけど?」


 とりあえず、下手に出ているフリをして、緑にOKのサインを送る。

 え?何時の間にそんな事が出来るようになったんだって?

 それはですね、私と緑の前世って、最初私の家、片桐家に住んでたんだけど、私には姉が1人と妹が2人居たんだよ。

 姉は完全超人だったので、空気を判ってくれたんだけど、下の次女がねぇ。

 三女が抑えてくれようとするんだけど、次女は私が言うのも何だけど、天才なんだわ。

 しかもディザスター(天災)っつ~2つ名付きの中学生だったよ。

 まあ、私と緑の部屋に忍び込んでくる次女に嫌気が差した私達は(緑も基本的には、ウチの3姉妹や両親を気に入ってくれていたが、これだけは別だった。)家を離れて2人で住んでても、姉妹は3人とも遊びに来てくれたんだけど、次女は高校生になっても変わらなかった。

 私達の営みを観察するのが趣味って言った時に流石にカチンと来て、手を上げてしまったんだけど、逆に関節を決められましたよ…

 その後、すぐに長女が次女をボコにして三女が次女を説教する流れだったんだけど、この時に私と緑のブロックサインならぬアイサインが完成したのだった。

 それを使って次女を封殺…とまでは行かなかったけど、結構ごまかせたのと長女が次女を黙らせてくれた。

 あん時の緑の荒れっぷりと、解決した時の乱れっぷりと、次女の生み出す混沌っぷりと、長姉の偉大さにある意味疲れたよ。

 ゴールしても良いよね?パト○ッシュ。


「ら、藍。大丈夫か?」


 白蓮が流石に心配してくれたが、かなり酷い顔になってるらしい。

 華琳とか北郷君とか、言っちゃえば全員から『大丈夫?』って目で見られているのです。


「うん、遠い昔の地獄がちょっと克明に脳裏から出てきて世界に絶望しただけだから~。」


 そう言うと白蓮が憐れみたっぷりな顔で言ってきた。


「うん、お前もう良いから部屋で寝てろ。」


 この白蓮の台詞に全員(緑以外)が頷くのだった。


side 藍 out

 如何でしたでしょうか?


 藍さんちってマジヤバいっす。

 緑さんちも大概ですけどね。


 尚、片桐3姉妹はオーダーが無い限り、後一回だけ登場予定で終了です。

 あっても過去編しか出ませんが、興味のある方は、感想にでもお書き添え下さいませ~。


 余談ですが、実はこの長姉がこの物語の最初の主人公だったりしました。


 面白みが無さ過ぎて止めたんですけどね。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ