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第50話「悲しみに花束を」

 第50話で御座います。


 記念すべき第50話ですよ!!


 サブタイ通りの内容なんですけどね…

side 顔良


 今私は、麗羽様の命を受けて、幽州の幻城で戦っている。

 はっきり言うと、こんなに手こずる何て考えられなかった。

 兵数は10倍だったからすぐに落として、薊城に進撃して皇帝陛下を譲り渡して貰う…。

 悪役と変わりませんよ?麗羽様…

 って言っても聞いてくれない所か、「白蓮さんが、皇帝陛下のお力になどなれるはずがありませんわ!!何進大将軍の姪であらせられる、劉弁陛下をこの私がお助けするのです!お~っほっほっほっほっほ。」なんて言っちゃってる以上、只でさえ権力争いの延長上の戦いである、この侵攻が民達の間で良い様に取られてない上に、洛陽に居た董卓さんを攻撃する理由がでっち上げだったと暴露されたので、麗羽様の名声は実質地に落ちているのに気付いていないから…

 正直な所、もうどうしようもない。

 麗羽様は嫌がってたけど、美羽様に幽州を南から攻めて貰う旨を伝えたけど、遠すぎるのが問題だし、これじゃ結局悪役だよ~。

 しかも簡単に落とせると思ってた、この幻城ってお城、すっごく攻めにくいんです。

 山の急斜面を背にしていて入り口が1つしか無い上に外門の堀に苦しめられてるし、間断無く矢の雨が降り続けてます。

 なんであんなに矢があるんだろう?

 とか私達には考えてる暇が無いんですよね。

 幻城の唯一の入り口のある箇所も湿地帯が広がってるから、陣を更に後ろに配置しないといけないんですけど、この陣の位置って騎馬が攻めやすい平地なんですよね。

 この城を設計した、多分満寵さんだと思うんですけど、此処まで計算してるんだろうなぁと感心してたりします。

 時々、と言うか近頃現実逃避したくなるんですよね。

 特にこの幻城攻めをし始めてからさらに酷くなりました。

 漸く城に入れたと思ったら、人が通り辛い迷路が目の前にあって思わず溜め息が出ます。

 隣に居る文ちゃんが「斗詩~何か良い匂いしない?」って言って来たので嗅いでみると、微かに香油…多分椿油の香りがしているので、内心「満寵さんって結構綺麗好きなのかも」なんて思った事を後で死ぬ程後悔しました、いえ、させられました。

 迷路の至るところから、公孫軍の兵が沸いてきて倒そうとしたら、地下に逃げるので追いかけたら、地下通路には罠だらけでウチの兵がかかって道を塞いでしまい、気付いた時には、公孫軍の兵は何処にもおらず、出口も塞がれているので、罠を回避しながら進むより、引き返して迷路を壊した方が早いと思って、壁を壊して休憩になったんですけど、夕日が見え始めた頃に、火が辺りを包み込んだんです。

 私と文ちゃんは何とか城を脱出出来ましたが、兵達はかなりの人数が火に飲み込まれていきました…

 3千、城に入って行って失った兵の数です。

 外門の攻防戦で5千も負傷者を出したので、この幻城を攻める為に約1万の兵を失った事になります。

 小城でこれほどの損害は有り得ないし、これじゃ薊城に行くなんて絶対無理です。

 改めて軍師の重要性を認識させられる現実でした。

 こうなったらせめて、守将を生け捕るか頸を上げないと帰れません。

 どなたかは判りませんが、覚悟してください!!


side 顔良 out




side 緑


 我々、公孫軍は現在幻城を攻めている、袁紹軍に反撃をするべく陛下の許可を仮にだが受けて行軍を行っている。


「はぁ、馬鹿だとは思っていたけど、まさか麗羽が此処までやるなんてね。」


「緑さん、大丈夫ですか?」


「…顔色が優れんな、やすm「そんな暇は無いわ」…そうだな。」


「ごめんなさい、緋焔。ありがとう、北郷殿。」


「しかし伯寧殿、我々も付いて来て良かったのですか?」


 この行軍には、沙汰を言い渡すと言っておいた北郷殿達もいるのだが、連れてくるに決まっているでしょう。


「関雲長あなた、その北郷とか言う男と張翼徳以外、信用出来ないから全員連れてきたのが判らないの?」


 華琳さんの知恵者である、王佐の才と謳われる荀文若が、正論に毒を混ぜて話しているが、気にならない。

 駄目ね、かなり逸っているわ。


「緑、落ち着きなさい。あなたは焔耶を信じて、幻城とやらに配置したのでしょう?公孫軍の軍師ともあろう者が慌てふためいてどうするの!!」


「…その通りですね、華琳さん。こんなに心がざわついているのは、後にも先にもありませんでしたから…ありがとうございます。」


「焔耶を任地に送るのは、初めてでは無いのでしょう?」


「ええ、ただ今回は、藍が幻城に行く予定だったのですが、藍を陛下達の護衛計画に参加させた方が良いと、焔耶に言われましてね。」


「なる程、焔耶の言うことも尤もね。」


「…ええ、なので焔耶に幻城の守将を任せてみたのですが、今こんなに不安になるなんて思いもしませんでしたよ。」


「緑さん、なら行軍を早めた方が良くないですか?」


「今白蓮と霞が騎兵を率いて先行していますが、本隊である我々と距離の差がつきすぎると作戦行動に支障が発生します。これ以上速度は上げられないのですよ…」


「そうだったんですか…」


「良蓮か藍達が、間に合ってくれていれば良いのですが…」


「緑、私達は私達に出来る事をするしかないわ。」


「そうですね。」


 無神論者ですが、初めて神様に祈ります。

 お願いします、あたし達の手が血に濡れている事は重々承知しています、利己的なのも判っています、それでもあたし達から焔耶を奪わないで下さい、お願いします…


side 緑 out




side 藍


 今私達は、私と、華琳から貸して貰った春蘭ちゃん・秋蘭ちゃんと、月ちゃんに貸して貰った恋ちゃんに、桔梗様の計5人で、地下道を正に飛ぶが如く駆け続けている。


「まさか、幻城とやらにこの様な地下道が通っておるとはのぅ。」


「緑が知恵を絞って作った城なんですよ、この地下道もその一端ですからね~。」


「藍。」


「何~秋蘭ちゃん?」


「焦るとここぞと言うときにしくじる可能性がある、冷静にな。」


「君になにが…ごめん秋蘭ちゃん、私駄目だわ。」


「藍にとって焔耶は大事な存在だと言うことは、皆が判っている。だから、指揮官のお前が冷静なら、成功すると思うぞ。」


「ありがとね。春蘭ちゃん、秋蘭ちゃん。」


「藍の辛そうな顔、恋見たくないから頑張る。」


「ありがと、恋ちゃん。」


「藍。突入後、暫くしたら儂等が暴れるから、焔耶を探し出してくれよ?」


「はい、桔梗様!!」


 そろそろ出口だ、お願いだよ…

 焔耶、私が言っても説得力が無いのは判ってるけど、無茶だけはしないで…




 地下道を抜けて幻城に着いた時の第一声が、酷いの一言だった。

 敵味方の区別が出来ない混戦だったのだろう。

 金色の鎧と白色の鎧の兵達が、所狭しと倒れている。

 金色が多いけど当たり前だね、相手の方が多いんだから。

 逸る気持ちを抑えて私は焔耶を探して回る。

 途中敵兵と幾つか衝突したけど、全て初撃で片付けながら進んでいく。

 焔耶、何処にいるの?

 今更だけど、私が倒れた時の焔耶の気持ちが判った気がした。

 気が狂いそうになる。

 焔耶、お願いだから無事でいてよ…

 そう思いながら幻城の中庭に辿り着いた。

 っ!?焔耶!!

 肩で息をしているけど無事みたいだ。

 首を回して辺りを伺っていた焔耶も、私を見つけて此方に向かおうとした、その時…



 焔耶の胸に、矢が突き刺さり崩れ落ちるのを見てしまった…



「焔耶ーーーっ!!」


 何も考えていなかった。

 只闇雲に焔耶の下に向かって、身体を抱き起こす。


「え、焔耶!!しっかりして!!」


「…うっ、お、姉、さ、ま…」


「焔耶…」


 笑ってる焔耶の顔が霞んで見えなくなる。

 言葉が出ない、何も考えられない、ダメダヨエンヤ、コンナトコロデタオレテタラ、ウチニカエロウ。


「…お姉、さ、ま。」


「あ、うぅ、え、んや…」


「ワ、タシ、は、お、ね、えさ、ま、の、おや、く、に、たて、ま、した、か?」


 何も言えなかった。

 役に立たなくて良いから、一緒に帰ろう。

 そう言いたかったのに、只、頷く事しか出来なかった。

 何で何も言えないんだろう。

 こんなに思いは沢山あるのに…


「よか、た、おね、さ、あ、あい、し、て、まっ…」


 焔耶の目から光が消えてしまった。

 一瞬何が起こっているのか判らなかったけど、のろのろと頭が働き出した。


「え、んや?焔耶?焔耶!!しっかりして、しっかりしてよ!!焔耶!焔耶ーーーー!!」


 私は只、冷たくなっていく焔耶を抱きしめる事しか出来なくて、後ろから来る敵兵に気付かなかった。


「大将首、貰ったぁ!!」


 ゆっくり振り向く事は出来たが、それ以上反応出来ずに、ただ呆然と振り上げられた剣が、私の瞳に映る。

 あぁ、これで焔耶の所に行けるのかな?

 そのまま、剣が振り下ろされるのを待ったが、敵兵は剣を振り上げたまま横に崩れ落ちてしまった。


「はぁはぁ、藍さん?藍さん、来てくれたんですね!!」


 敵兵を倒したのは、良蓮だった。

 戦い続けたのだろう。

 姿はボロボロで、所々血が付いている。

 息が苦しいみたいで、何時もの笑顔が弱々しくなっていた。


「藍さんは一体なにを…焔耶?焔耶!!どうしたの焔耶!!」


 すぐに私が抱きかかえる焔耶の側に良蓮が来たが、良蓮は何度か焔耶に呼びかけた後、俯いてしまった。


「えんやぁ、いっしょにとおのりいぐっでいっだじゃないかーっ!!」


 私と良蓮が、焔耶の側で泣いている時、急に辺りがセピア色に染まり、まるで時が止まったかの様になるのだった。


side 藍 out


 如何だったでしょうか?

 次話に…うん?


《何かね?藍さん、機嫌が悪そうだが?》


「…。」


《聞こえないので、もう少し声を張り上げてくれないか?》


「私達の焔耶を返せっ!!」


《ぬおっ、これじゃあ、私が悪者ではないかっ!?》


「返せ!!返して!かえしてよぉ…」


《…え~と、主役がこうなってしまったので、とりあえず次回をお楽しみに。》

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