表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/91

第34話「乱と『私』」

第34話で御座います!





「本当に大丈夫なんだな?」


「大丈夫、大丈夫!今日も絶好調の藍さんですよ?」


「調子が悪くなったら絶対にすぐ言え。君主としての命令だ。」


「は~い。」


 私達は今、主要な将軍に軍師が主力を率いて、冀州の黄巾賊の本拠地に向かっている。

 向かっている理由は当然、官軍の援軍である。

 豫州や冀州の州牧・太守達が、黄巾賊を追い詰めたので手伝えと、朝廷からお達しを受けたそうな。

 手柄が減るのに何でだろう?と思ってたら、お達しが来たと聞いた緑が鼻歌混じりに執務室に入っていた行った為、やっぱり緑は敵に回すと怖いなぁと改めて思った。




「…aま。」


「…」


「藍お姉様!!」


「っ!?な、何かあった!?敵襲!?」


「それ以上に悪い事です、お姉様…」


 天幕の椅子に座ったまま意識を失ってたらしい。

 周りに皆来ていたのに気付けないなんて、いよいよマズいね。


「藍、今回は外れてくれ。」


「あはは、流石に、今回は、何も、言えないや…」


「藍…」


「お姉様、大丈夫って言ってたじゃないですか…」


「…ご、ごめ、ん、っはぁ…」


「藍?」


 流石にこれ以上心配掛けられないから、せめて立ち上がって自力で寝床に着こうとしたら…

 立ち上がった瞬間に意識が遠くなっていく。

 両膝を地面についた後、何とか両腕で身体を支えているが力が全く入らない。

 周りから音が消えていく。

 何とか仰向けになった時に目に映った光景は、仲間達の涙顔だった。


 そして、私は…


 意識を…失った…






 異常に気付いたのは、緑と別れてからだった。

 時折何かにひびが入る音が、何処からか聞こえてきたのだ。

 そのたびに自分が少しずつ変わっていく感じがした。

 少しずつ『私』が女になっていく事も感じていた。

 自分の記憶はだけはある。

 『小夜』と一緒に食事をしたり、遊びに行ったり、部下達に嫁の事でおちょくられたり、趣味の歌劇の曲を聞きながら料理を『小夜』と作ったりしていた。

 だが、最初に忘れた物が致命的だった。

 自分の顔だ。

 自分と言う存在は覚えて居るのに、自分の顔が思い出せなくなったのだ。

 顔が思い出せなくなって少ししたら、自分の容姿すら思い出せなくなった。

 自分の意識が何かに取って代わられる。

 自分の後ろに誰か居て、肩を叩かれて振り向いたら『私』が消えるような気がして怖かった。

 それを意識してからは、意識が飛ぶ事が多くなった。

 『私』はどうなるんだ?

 ああ、『私』はやはり、この世界には余分なんだろうな。






 真っ暗だなぁ、1人で何でこんなとこに居るんだろ?

 あ、男の人が居るね。

 ちょっと道を聞いてみよう。


「すいませーん。」


「うん?おう、藍じゃないか。」


「どなた?私、父上以外の男の人に真名を預けた覚えが無いんだけど?」


 少し身構える。

 この状況だから少し迂闊だったなぁ。


「『私』が判らない…か、仕方ないかもしれないが、な。」


「ごめんなさい、悪いけど思い出せないから、真名を呼んだことを撤回して貰えないかな?」


 何故か懐かしい気だけはする。

 初対面じゃないみたいだ。

 けど、会った覚えが無い。


「『私』と会った覚えが無いのは当たり前だ。会ったことはないからな。」


「じゃあ、何で真名を知ってるの?」


「何時も側に居てやれない私だが、一緒に居てくれないだろうか。」


「な、なんでその言葉を…あれ?なんか忘れてる?」


「このプロポーズの言葉を知っているのは、『私』と『小夜』だけだ。」


「あなたは『私』?」


「完全には思い出せないだろうが、仕方ないさ。」


「ごめん、やっと少し思い出した。自分の顔を忘れるとかどうかしてるね。」


「無理するなよ?まだ先は長い。」


「うん、ありがとう♪」


「藍。」


「うん?」


「緑を頼む。」


「それは絶対。」


 その言葉を交わした後、『私』が私の身体を通り過ぎた時に身体が軽くなった気がした。




「知らない天幕、じゃないね。」


 周りを見渡すと、日が照っているのか天幕内が明るい。

 外が少し騒がしいね~。


「誰かいない?」


「っ!?公明将軍!?気が付かれましたか!?」


「うん、今戦闘中?」


「はっ、現在黄巾賊の主力20万と豫州の太守であられます、曹孟徳様率いる軍2万と合同で戦闘中であります。」


「ウチが4万だし、余裕そうだね。」


「公明将軍、何故勝てると思われたので?」


「20万って言ってもそれ総数であって、戦力数じゃないよね?」


「はっ!!伯寧様が仰るには戦える人数は多くても3万と仰っておりました!!」


「だろうね、今使える兵は何騎?」


「三千の騎馬がありますが、どうしました?」


「私も出る、準備を。」


「い、いけません!?公明将軍を戦場に出すなと、伯珪様と伯寧様の連名での御命令です!!」


「ヤダ。」


「は?」


「1人でも行くよ?」


「そ、そんな…」


「天幕から逃げ出して、単騎で黄巾賊に突撃かけようかなぁ。」


 そんな事を言いながらチラ見する。

 兵士君が苦悶の表情になる。

 やれやれ、判りましたよ。


「兵士君。」


「っ!?はっ!!」


「三千の内、千騎を緑の下に私の名前で送って。」


「はっ!!」


「んじゃ、私もう少し寝るから、援軍の派遣は絶対してよ?そうそう、残り九千居ると思うけど、五千の歩兵も一応準備しておいてね。」


「畏まりました!!」


「あ、兵士君。」


「はっ!!」


「我が儘言ってごめんね。」


「いえ、おやすみなさい。公明将軍。」


「ん、ありがと♪」


 そうして、兵士君が天幕から離れていくのを待って、装備を整えて天幕の裏から出て行った。

(天幕破ってゴメンね~。)


 少し慎重に移動した為、千騎の騎馬兵は出陣したようだ。

 さっきの兵士君、指示を伝えてくれてありがとね~。

 んで、私はと言うと厩に来ていたりする。


「やほー、君は厩番だよね?」


「はい、どちら…将軍様!?」


「すぐに出せる馬いる?」


「は、はい、此方です。出陣ですか?」


 そう言って彼は、馬の横に来て待ってくれる。

 (くつわ)はあるけど(あぶみ)が無いから補助がいるんだよね。

 まあよかった、やっぱり私が倒れたって話は周囲しか知らないか。

 好都合だよね~♪


「うん、ちょっと出てくるね~。」


「ご武運を!!」


 私は厩番の彼に右腕を上げて答え、馬を走らせていった。




 次話で戦闘描写か…


 鬱だ。


 とりあえず書いてみて駄目そうなら描写飛ばそう、そうしよう。(おいっ)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ