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第31話「嵐の前の…」

第31話で御座います!

side 緑




最近、藍が冷たい感じがする。

いや、はっきり言えばもっと構ってくれても良いんじゃないかと思う。

という冗談を思いながら目の前の状況から、意識を逸らす。

まあ、逃避と言う奴ですね。


「あの伯寧さん?」


「何ですか?北郷殿。」


「あの言われた所を書き終わったんですけど。」


そう言われ、北郷殿に渡された書簡に目を通す。


「漸く、読める文になりましたね。」


「はあ、よかった…」


「文法が合っているだけです、文字をもっと綺麗に書いて下さい。間違った指示になる可能性がありますので。」


「はい、頑張ります…」


はあ、この位で落ち込んでどうします。

あたしは今からあなた達4人分の書類に目を通しながら、自分の奴もやらないといけないと言うのに…


「皆さんとりあえず終わりにして構いませんよ。」


「本当なのか?伯寧お姉ちゃん!」


「ええ、あくまで今日は、ですが。」


「良かったよ~…」


「た、助かった。」


「やれやれ。」


「あ、あの本当に良いんですか?まだ明るいですけど。」


「これ以上根を詰めさせても、効率が落ちるだけですから仕方ありません。」


「はあ、そうですか…」


「皆さんは書類仕事などやったのは初めてでしょう?ですから、すぐに出来るようになれなどと言う気はありません。毎日進歩して下さることを信じておりますから…」


「「「「伯寧さん(お姉ちゃん)…」」」」


あたしも甘いですね。


「やほ~どんな感じ?」


「あら藍、どうしたの?」


「うん、調子はどうか見に来たんだけど、元気なさそうだね。」


「たった一月、書類仕事をして貰っただけなんだけどね。」


「伯寧さん、俺達が書類仕事している間、自分の仕事終わらせるから流石に焦るんですよ。」


「別に今すぐ出来るようになれって言われてないでしょ?」


「そうなんですけど。」


「なら、気にせず頑張んなさい~♪」


「公明殿。」


「何~?雲長殿~。」


「仕事を終わって良いと言って貰えましたので、一手手合わせ願えませんか?」


「ヤダ。」


「うぅ…星や張燕殿とはやっておられるのに…」


「星は約束、緋焔は家族、あなたは単なる部下。」


「で、では、私とも約束を!」


「緑から半殺しにされた後、仕事量を10倍にされても良いならね。」


「あら、藍。あたしはそんな事しないわよ?」


「あれ?そなの?」


「半殺しはするけどね。」


「するんじゃん。」


「その後、4人の仕事量が100倍になるだけよ。」


「愛紗、公明お姉ちゃんと戦うのはやめるのだ!!」


「愛紗ちゃん、これ以上仕事が増えたらわたし達殺されちゃうよ!」


「ひゃ、100倍…」


4者4様の落ち込み具合ですね。


「公明お姉ちゃん!」


「な~に~?翼徳ちゃん。」


「戦わなくて良いから、また今度ご飯作って欲しいのだ!!」


「良いよ~♪」


「へ~公明さん料理出来たんですね?」


「単なる趣味だよ?」


「公明お姉ちゃんの料理、すっごく美味しかったのだ!」


「ありがとね~翼徳ちゃん。」


「へ~なら俺も良いですか?」


「あ、わたしも食べてみたいです♪」


「私もお願い出来ますか?」


「ちょい人数多いけど判ったよ~。」


あらあら、仲が宜しいことで。

そう言う約束を4人とした藍を、夜にあたしの執務室兼自室に呼び出した。


「緑、遅くなった?」


「いえ、ちょうど今一段落した所だから入って。」


「話ってやっぱり?」


「ええ、彼女達の事です。」


「まあ、この時代にそぐわない行動とか、発明みたいな事はしてないしねぇ。」


「ええ、気をつけてますから大丈夫だとは思うんだけど、やっぱり彼が…」


「北郷君ねぇ、話を聞いてる限り三国志にも詳しそうだね。」


「ええ、厄介極まりないわ。」


「そうだね。それに玄徳ちゃん達も居るから…」


「いずれ起こるであろう黄巾の乱が鍵の一つになるでしょうね。」


「そろそろだっけ?」


「豫州・冀州の賊の動きが更に活発化してきているわ。」


「戦…かなぁ。」


「ごめんなさい、藍…」


あたしは、公孫軍の筆頭軍師(一人しかいないが)

藍は、公孫軍の筆頭将軍になっている。

あたしは、前に出て藍を守れないし藍は筆頭将軍だとしても最前線に立つだろう。

…家族や友を守るために。


「大丈夫、大丈夫。緑や焔耶に緋焔に白蓮、良蓮、更には星も…守りたい人が沢山増えたもの、死ねなくなった。」


「あたしも、他の誰もいらなかったけど…」


「焔耶に緋焔に白蓮に良蓮?」


「あら?星とも最近買い物に行ったのよ?」


「へぇ~仲良くなったねぇ。」


「ええ、だから藍の為だけに生きられなくなっちゃった…」


涙が溢れてくる、藍の事は大事なのに他の子達も大事だから、どうして良いか判らない。


「緑、私も一緒だよ。」


「藍も?」


「けどさ、私と緑だけが力を合わせても出来ることは少ないよ。」


「ええ。」


「一緒に生きるって言ってくれた、焔耶達の気持ちは本物だよ。隠し事みたいな事してるのが心苦しいけどさ。」


「判ったわ、あたしも皆を守るための…あたし達の家族皆が死ななくてすむ方法を考えるわ。」


「期待してるよ。」


「任せて。」


灯りが灯っているが尚暗い部屋の中で、二つの影が一つになり、やがて明かりが消えていった。


藍に愛されるのは久しぶりだから、今日は甘えさせてもらおう。




side 緑 out

すぐに出るわけではありませんが、緑さんが考える方法かなりヤバくなりそうですが、身内の人間が死なずに済む方法を考えます。

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