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第28話「龍と魔剣と」

第28話で御座います!




緑達が無事に帰還してから忙しくなってきた。

本城になる幽州中央部の城「(けい)」城と幽州の西側である冀州の国境付近に位置する「(げん)」城の2つの城の建設に着工したのである。


当然の如く、白蓮や白蓮の家臣団は忙殺されているが、民の生活自体は安定してきていた。


冷害は防ぎようがないが、略奪に関しては即応出来るようにしているからだ。


しかし内政と軍事の両立は難しい。

緑が冀州(主にギョウ)との商業優遇措置を取ってこなかったらと思うとゾッとする。

取ってくるつもりだったらしいんだけどね。

おかげで、資金を遣り繰りしながら、これまた袁紹さんの所からせしめた資金を合わせて城を建築して行くのだった。


そんな慌ただしい日々を送っているさなか、何やら1人の武芸者が客将として仕官させて欲しいと願い出てきた。


「お初にお目にかかる。拙者、姓は趙、名は雲、字は子龍と申す。以後お見知り置き下され。」


「ああ、私は姓は公孫、名は賛、字は伯珪だ。これから宜しく頼む。」


緑が子龍ちゃんの名前を聞いた時に、一瞬驚いていたって事は彼女有名人なんだろうねぇ。


「緑、子龍ちゃんって有名なの?」


「確か常山の昇り龍って通り名が付く、いずれ建国される蜀の英雄の1人…だったはず。」


などと小声で話していると、白蓮に紹介を促される。


「彼処にいる奴らが、今ウチで将軍をやって貰っている連中だ。」


「初めまして、私は姓は徐、名は晃、字は公明と申します。これから宜しくね~♪」


「私は姓は満、名は寵、字は伯寧と申します。」


「ワタシは姓は魏、名は延、字は文長だ。宜しく頼む。」


「…姓は張、名は燕、字は伯明だ。」


「ほう、なかなか…」


私と緋焔が名乗っていた時に、子龍ちゃんの目が光った気がするんだけど気のせいかな?


そんな事がありまして~いまなんでか~私は~


「藍お姉様、本気で嫌そうですね。」


「藍さん!!焔耶から強いって聞いてたので楽しみです!!」


「私は、戦場でもあまり見たこと無いから楽しみだな。」


「…諦めろ、楽しみにしている。」


「藍。」


「り、緑は止めてk…「潰しなさい。」緑様!?」


やっべ~、やっぱりここ一週間致してないかr…

緑様睨まないで…


「漸く受けてくれましたなぁ、公明殿」


「漸くってちみ、7日間もしつこくされたら嫌にもなるよ?」


「しかし、武芸者なれば強者と武を交えてみたいと思うものでしょう?」


「全然。」


「なっ!?し、しかし今こうやって調練場に来てくれたではありませんか!?」


「君のおかげで私が現在進行形で苦しんでいると言うのに…」


「こ、公明殿?」


あれ?子龍ちゃんが震えてる?

まあど~でもい~や。


「子龍ちゃん?」


「は、はい。」


「私、ちょっと…ちょ~っと機嫌が宜しくないから~。」


「はい。」


かなり顔色が悪いねぇ~。


「怪我で済めば良いね~♪」


そう言ってミストルティンを抜いて自然体になる。

彼女は武人なのだから、武を振るう以上強者と武を交えるのは楽しいのだろう。

緋焔が言っていた強くなれる喜びだったかな。

けど、私にはそれが判らない。

多分、私にとって、武芸は大切なモノを守る手段でしかないから。

故に剣を持っても熱くならず寧ろ冷める。

少し動揺していた、子龍殿が笑みを浮かべて叫ぶ。


「趙子龍参る!!」


「徐公明がお相手しよう。」





「はい、はい、はいっ!!」


子龍殿の高速の槍が私に襲いかかる。

ただ、狙っている箇所が急所の為、危険なものは剣で弾き、それ以外は避ける。


子龍殿の連撃は速さを増すが、それでも私は意に介さない表情をしているのが、余裕に写った様だ。


「流石は公明殿。私の攻撃をこうも容易く捌かれるか。」


「早く終わらせよう。面白くないから。」


そう言うと、子龍殿がカチンと来たのだろう。

怒気の混じった声で言い放つ。


「ほう、私では相手にならないと?」


私はその言葉を無視して無言で構える。


「あまり舐めないで貰いたい!!」


そう叫び飛びかかってきた子龍殿の姿が消える。

早い…これが趙子龍の全力か!?

そう思った瞬間、私の心が凍りつく。

左斜め後ろかな?

そう思い剣を振るうと、剣が子龍殿の槍を弾いて後ろに下がらせる事に成功したので、接近し剣と槍を混じり合わせ鍔迫り合いの形にした。

そして驚愕の表情をしている子龍殿が居た。


「まっまさか、見破られるとは…」


鍔迫り合いの状態で子龍殿が話してくるが、私はそれも無視した。

頭が冴え渡り、心が凍りつく。

ミストルティンを握るとこんな感じになっていく。

感覚と(すべ)をミストルティンが教えてくれているのだ。

知りたくもない、人を斬り殺す為の感覚と術を…

鍔迫り合いの状態から私が子龍殿の槍を押し返す。

緋焔相手だと絶対出来ない芸当だが、子龍殿の力は私と同じ位の様なので、動揺している今なら後ろに押し返せるのだ。


「ここだね。」


動揺している彼女の隙を突き押し返した後追撃を掛ける。

当然子龍殿はすぐに動揺を振り払うが、体勢も同時にはいかない。

崩れた体勢の子龍殿の槍に狙いを定めて、ミストルティンを逆袈裟より少し真っ直ぐにして切り上げる。

体勢が崩れた状態で切り上げられた為、槍を弾き飛ばされる子龍殿。

子龍殿は槍を弾き飛ばされた勢いで尻餅をついた形になる。

私はその勢いのまま剣を振るい彼女の首元で寸止めにする。


「ま、参った。」


子龍殿の言葉を聞いた瞬間、私はすぐに剣を収める。

そして無言で子龍殿に手を差し出す。


「いや、お強いですな。公明殿。」


差し出した手を子龍殿は掴んで立ち上がる。


「公明殿は、武を競うのはお嫌いなのですかな?」


「うん、大嫌いだよ。」


「理由を伺ってもよろしいか?」


「私にとって武は人殺しの術でしか無いからだよ。」


「しかし、武を振るわねば民を守れませぬぞ?」


「でも、斬る相手にも誰かがいるかもしれないよ。」


「そうですな、しかしやらねばやられますぞ?」


「そうだね、自分の隣や後ろに居る人を守る為に剣を振るって相手を斬る…私はそうしないと守れない自分が嫌いだし、理に適った人殺しの技術も嫌いなんだよ。幻滅したかな?」


「そうは思いません。」


「そう思う?」


「ええ、公明殿はお優しい方ですな。」


「甘いだけだよ、自分の身内がそうなったら多分私は…」


「公明殿、その様な悲しい笑みを浮かべないで下され。」


「私、笑ってた?」


「ええ、胸が痛む程の。」


「ごめんね、別に武芸を重んじてる人まで嫌ってる訳じゃないから、勘違いしないで?」


「ええ、判っております。ただ…」


「ただ?」


「出来ればまた手合わせ願いたいのですが…」


子龍殿の真摯な瞳が私を見つめる。


「お互いが暇な時で良いならね。後、私基本的に武芸を磨くの嫌いだからね?」


「判り申した、公明殿。それでですな、あなたの武と心に敬意を表して私の真名、星をお預けしたい。」


「私みたいな奴に預けて良いの?」


「あなたの様な方だからこそお預けしたい。」


何処かの誰かに言われた台詞に笑みが零れる。


「ふふっ。」


「どうかしましたか?」


「ごめん、私の友達にも言われたんだ。あなただから預けたいって。」


「公明殿…」


「私の真名は藍だよ。宜しくね、星♪」


「ふふっ、何時もの調子に戻られましたな。私こそ宜しく藍殿。」


「星、呼び捨てで良いよ?」


「いや、藍殿の方がしっくり来るので。」


「判ったよ、任せる。」


そう言い笑い合ったのだが、忘れてはいけない事があったので、笑いながら星を羽交い締めにする。

当然星はびっくりする訳で。


「な、何を為さる藍殿!?」


「星、この7日間しんどかったんだ。」


「それは謝りますから離して貰えませぬか?」


羽交い締めにされながら、後ろを振り向き頼む星。


「私は許すんだけど、もう一方が許せないらしいんですよ。」


「もうひとかt…ひぃっ。」


まあ、この後誰かが星の前に現れて星と何故か私をフルボッコにしていかれたのですが、奥様が止められません。





原作に無い部分の描写の方がまだ作りやすいですね。


さて、いよいよと言うか星さん出てきましたね、此処からが大変ですが頑張りますよ~。


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