第23話「白色と藍色は苦労色?」
第23話で御座います!
誤字と文章に足りない箇所が合った為修正致しました。
side 公孫賛
ある意味変わってて、それでいて優秀な奴らがウチに仕官を申し出てきた。
『あの』完璧超人と名高い曹孟徳の紹介状を携えて来たってだけで驚いたんだが、今幽州はかなり疲弊していて妹の良蓮(公孫越の真名)と少ない武官達や文官達と必死になって事に当たっている。
はっきり言って北の端っこである私の所に仕官しに来るなんて、変わってるな~とか思ってたんだが、私の所は冷害と匈奴の略奪のおかげでかなり貧乏になってしまっていた。
ウチの経済状況を話すなんて恥になるが、彼女達に掻い摘んで話したのに、それでも構わないと言ってくれたので彼女達を招き入れた。
曹孟徳からの紹介状があるって事に家臣達は訝しんだが、私は彼女達を信じてみる事にしたんだ。
まあ、結果としては、私の予想を良い意味で裏切ってくれたってところか。
内政面で、徐晃は文官達の平均を少し超える程度だったが、これに兵の調練が出来るし本人もかなり強いので、十分逸材だった。
基本的に真面目なんだけど、口調にやる気が有るのか無いのか判り辛いのがなぁ…
次にって言うか何でウチに来たのかが、本気で判らないのが満寵だ。
文官達と同じ仕事を振り当てた所、やんわりと内容の駄目出しをされた上できっちり仕事をしてきた。
正午までに…。
そして正午からは、彼女が必要と思った献策を練っていた様で、それが出来ると私や良蓮と文官達が居るときに、必要だと思った献策を訴えてきたのだ。
初めはやんわり伝えてきたが、その後徐々に彼女の雰囲気に飲まれて私を含めた皆が前のめりになってしまった。
それからと言うもの、満寵に私や文官達が質疑応答をするのが恒例となった。
初めは取っつきにくい雰囲気があったが、皆と仲良くなってくれて良かった。
あれで徐晃が来た時に使い物にならなくなるのが無ければなぁ。
魏延に関して、仕事はそこそこなんだけど、街の警邏や近隣の村の見回りをして帰ってきた時の報告が的確で、疑問点を聞いてきたりするから疑問に答えたりしている。
真剣に考えてるから、私も触発されて真剣に答えるんだが、結構楽しいんだ。
後、真面目なんだけど空気が読めない良蓮と仲がいいのも嬉しい。
魏延も徐晃に頭を撫でられたりすると使い物にならなくなる。
徐晃…お前達の反応面白いし仕事中にしないから良いちゃ良いんだけど、何者なんだよ。
最後は、張燕だな。
彼女はバリバリの武官だったので、調練を任せたんだが…
任せた兵達をその日の内に全員ぶっ飛ばして一言二言告げて終了させてしまった。
任せたのが間違いだったかと思ったんだが、次の日にはぶっ飛ばされた全員がきっちり集まっていたのには驚いた。
何でだよ!!と突っ込みたかったが、兵達の目の色が変わっていて、調練中は陣の組む速度が速く、兵達1人1人と剣や槍を交えながら長所や欠点を伝えていた。
言葉数が少ない代わりに行動で、示していたのだと気付いたときには彼女もやるなと思ったものだ。
満寵が来たときに崩れる点だけどうにかして欲しい。
そんな4人を臣下にして暫く経ったある日、朝廷から勅使が1通の通達書を携えてやって来た。
幽州の州牧への勅命…
ちょっと待て、太守ならなれるかもしれないが、今度作られた州牧制度の州牧に私が抜擢って明らかにおかしいと思ったんだ、どちらかと言えばあの劉虞がなるはずだろう…
ふと、金が無くて簡単な任命式になってしまったが、式で任命を受けている時に満寵の笑顔が黒かったのを見てしまった。
そして思い出す。
劉虞にちょっかいを受けて悩んでいると満寵に漏らしてしまった事を…
「はぁ…」
部下に愚痴を言うのも問題だが、その部下が讒言を行い皇族の一員を貶めてしまった。
その事が頭にこびりついて離れない。
「寝よう。」
今日はもう疲れた、これからどうするかは明日考えよう。
そう思い部屋に戻って床に就こうとした時、扉から控えめに声がした。
「伯珪殿?」
「公明か?」
「もう寝てるかと思ったよ。」
「寝るつもりだったんだけど、とりあえず入れ。」
流石にずっと扉越しで話すのも何だし、部屋に招き入れた。
side 公孫賛 out
side 藍
夜までささやかながらもお祝いの席があったんだけど、伯珪ちゃんの様子がおかしい。
悩んでるのかもしれないなぁと思ったんだけど、なかなか席を空けられずにずるずると来てしまう。
宴もたけなわになった所で解散となった。
すぐに席から消えてしまった、伯珪ちゃんをお酒を持った状態で探していると、暗い顔で部屋に帰る伯珪ちゃんを見かけたので、声を掛けて部屋に入れて貰った。
「すまないな、水しかないよ。」
「あ~お構いなく~てか、お酒持ってきてるから一緒に呑も♪」
「いや、今はそんな気分じゃ…」
「呑も?」
ちょっと上目遣いで言ってみると苦笑しながら杯を受けてくれた。
誰にでもって訳じゃ無いけど、この手は使えるなぁ。
「何に乾杯するんだ?」
「う~ん、州牧就任?」
「いや、それは…」
悩みは其処か~。
伯珪ちゃん判りやすいけど、気持ちを言えないんだよねぇ。
領主の時から先頭に立って頑張ってるのに、普通って何時も言われてるみたい。
伯珪殿は、精一杯頑張っているし結果も出しているのだから…
蔑む奴は許さない。
そんな事を考えながら伯珪殿に告げる。
「伯珪殿との出逢いはどう?」
「私?乾杯の音頭にならないだろ。」
「なるよ、私も伯珪殿もこの世に1人しかいないんだから。」
「そ、そうか…」
伯珪殿は顔を赤くして照れている様だ。
「乾杯しよ?」
「ああ。」
「「私達の出逢いに乾杯。」」
「にゃ~こ~め~、私は~ど~したらいいんにゃ~。」
溜まってたのだろう、酔っ払ってしまった。
なんて、私を騙せると思ってるのだろうか?
伊達に前世で泣き上戸だった緑の相手はしていない。
タイプは違うが、酔っているが正気も保ったタイプの酔っ払いだと把握した。
「ふざけて話そうか?本気で話そうか?」
少し真面目に話し掛ける。
「本気で…話してくれるか?」
「伯珪殿の悩みは、劉虞殿を押しのけて州牧になった事だね?」
「…」
顔を酒で赤くなっているが、真剣な表情になった。
しかし、其処で黙られると話にならないんだけど。
「部下には話せませんか?」
「…」
あ、目線が一瞬下がった。
んじゃ、話しやすくしてみようかな~。
上手く行くかは知らんけど~。
「伯珪殿。」
「あ、ああ。何だ?」
「私の真名、藍を友達として受け取ってくれないかな?」
「おい、何で今言うんだよ!!」
「今だから言ったんだよ。」
「今だから?」
「伯珪殿の努力が実って州牧になったから。」
「あれは、満寵の…」
「まさか緑の讒言で、州牧になれたとか思ってるの?」
「そうじゃないのか?相手は皇族で私は1領主なんだぞ?」
「違うよ。」
「じゃあ、何でなんだ?」
「その理由が判ったら、友達として受け取ってくれる?」
「…理由に納得できたらな。」
「それで良いよ。
まず最初に言っておくけどね、州牧の任命自体は、劉虞が有利だったんだ。」
「そりゃそうだろう。」
「うん、皇族だったしね。
仕事もいい感じでやってたんだけど、ただ…」
「ただ?」
「女癖がスッゴい悪かったの。」
伯珪殿が、スッゴい勢いでガックリ来た。
まあ、理由がなぁ。
「そ、それが理由なのか?」
「みたいだね、伯珪殿もお尻触られたりしt…「されてない!」ありゃ?」
「けど結局、劉虞の失敗で代わりに私が州牧になったんだな。」
伯珪殿が苦笑いをしながら、そう言った時にカチンと来てしまった。
「伯珪殿!!」
「っ!?な、何だよ?」
「あなたは、自分だけでは無く私達配下の努力すら、否定されるのか!!」
「あっ!?」
「伯珪殿は、今までに色々言われてきたと他の家臣達に聞いています。
蔑みの言葉もその中に合ったでしょう。
そんな事を言われ続けたら、自分に自信が無くなるのも判ります。」
「…」
「だからって、自分で自分を諦めないで欲しい。」
「…私ってさ、私塾に行ってた時からそこそこ色々と出来たんだ。」
「うん。」
「けど、私の周りにいる奴らは、私以上に出来る奴が多くてさ。
普通って言われてきたんだ。」
「うん。」
「普通ってなんだよ。私これでも頑張ってるんだぞ。他の奴は凄いけどさ、比べないでくれよ…」
「今度伯珪殿を馬鹿にしたり蔑んだ奴は、私が許さないよ。」
「何でお前は私の為に…」
涙のダムが決壊寸前です。
他人に自分を否定されるかの如き扱いを受け続けたら、自分を信じるなんて出来なくなるに決まってるよ。
だから…
「私の信じた人だもん。」
安心させてあげたくて、自分に出来る言葉を紡ぎ、笑顔を見せる。
「公明!!」
そう言われて思いっきり抱きつかれたのだが、酒が回ってきたのか支えきれずに頭を打ってしまった。
あ、伯珪殿が泣いてるけど私は意識が…
「…え、…さん、お…ま…」
はれ?何か聞こえるなぁとか思ってたら次の瞬間元気な声に正気に戻された。
「姉上!!公明さん!!おはようございます!!」
え~と、今は…
うわっ、伯珪殿がしがみついてる!?
「朱関ちゃん、これは違うの!!」
「はい?良く判りませんが、姉上そろそろ時間になりますので起きてください!!それでは私も準備をしてきます!!」
そう言い残し彼女は走り去っていった。
すっかり唖然としてしまった上に本人不在だが、一応紹介しておこう。
彼女は伯珪殿の妹で、名前を公孫越、字を朱関と言う。
髪色が伯珪殿の妹と言う事もあり同じ赤色をしておりその髪を短くボサボサにしている。
ある意味野生児みたいな雰囲気である。
まあ、性格はさっきみたいな感じである意味何が合っても自分を崩さない真面目な性格に空気が判らない性格を併せ持っている。
そんな人物紹介を頭の中でしていると、伯珪殿も起きたらしい。
「う~、頭いたっ…っ!?お、おはよう。」
「おはよ~良い朝だね~。」
「この状態で言われてもなぁ。」
「朱関ちゃんが起こしに来たよ。」
「ああ、もうそんな時間か…見られた?」
「うん、けど朱関ちゃんだし大丈夫じゃない?」
「馬鹿!!良蓮は聞かれた事には素直に答えるんだぞ!?私を起こしたら部屋に藍が居たって言うに決まって…」
何だろう、扉越しに寒い気配がする。
扉越しから声が聞こえた。
「すみません。伯珪殿、先ほど朱関さんから此処に藍が居ると聞いたのですが…」
怖い…緑さんが扉越しに優しい声色で殺気を隠さず話しかけてきてる。
「とりあえず、真名預けたからね、伯珪殿。」
「わ、私も私の真名、白蓮を預ける。」
「んじゃこれから、初めての共同作業だね、白蓮。」
「お断りさせて貰う。」
そう言い放ち逃げようとした白蓮を捕らえてこちらも言い放つ。
「一緒に死のう?」
「その覚悟はお見事ですね。あ、伯珪殿、あたしの真名は緑と申します。今後とも宜しく。」
許可されてないが扉が前に倒れて開いた。
え?それは開いたとは言わない?
何とでも言ってくれ、決定された私刑喰らうのは私達なんだよ!!
「私達って私を巻き込むな!!」
《おっと地の文に白蓮がメタ発言か。by.作者》
「お祈りは済ませましたか?」
「「にぎゃー!!」」
この後、私と白蓮は緑の私刑によってボロボロにされたが、仲良くはなったようで、色々気さくに話せるようになった。
ちなみに、焔耶と緋焔と良蓮の真名交換時にも一悶着あったがカオスだったとだけ言っておきます。
主に私と白蓮が。
side 藍 out
一応、良蓮の設定です。
姓 公孫 名 越 字 朱関 真名 良蓮
(しゅかん)(りょうれん)
性別 女性
史実では公孫賛の従弟、演義では弟とされている人物。
袁紹に関わりがあり、彼は史実及び演義の両方で袁紹に殺されている。
この物語では、マイペースでハイテンションな真面目ちゃんとして登場している。
真面目だが空気が判らない為、どんな時でもテンションが高い。
その上純粋過ぎて下ネタなどを恥ずかしがる羞恥心も無い。
容姿 赤色の髪を短くボサボサにした真面目な野生児のイメージ。
服装は騎馬が主体なので白蓮さんと同じ。
武器 普通?の槍
騎馬用に特注した槍なのだか、何故か同じ槍使いの緋焔の一撃を受けても折れなかった。
(但し持ち主は目を回していた。)
ボーイッシュキャラです…
こういうキャラも好きですよ。