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第22話「幽州への旅程で」

第22話で御座います!




朝、爽やかな雀の鳴き声と共に目を覚ました。

ある事に悩みすぎて爆睡してしまい、焔耶にギョウが駄目な理由言うの忘れてた。

ボーっとしている頭でそんな事を考えていると、扉の前から声がする。


「…藍、起きているか?」


「あぁ、っ!?ち、ちょっと待った!!」


慌て身支度を整える。

以下、藍の準備の際の混乱風景。


うわっ、髪が纏まらない!?

ひぃ、涎垂らして寝てたのか!?

ぐはっ、替えの下着が乾いてない!?

いやぁ、櫛が髪に引っかかった!?

えっ、手拭い何処仕舞ったの!?

無いわ~、香袋の中身買い忘れるとか!!




「どうぞ~。」


「…大丈夫か?」


「あ~大丈夫じゃなかったけど大丈夫。」


「…そうか。」


悩みの原因が、こっちに来てくれた。

顔も些かスッキリしているみたいだ。

良かった、道中辛そうだったのは判ったんだけど、理由どころか取り付く島すら無かったから、何が悩みなのか判らなくて悩みまくったのだけど、自分で解決したのかな?


「…藍、すまん。」


「はへ?」


緋焔は謝った後に、昨日の事を語ってくれた。

掻い摘むと、私が緑とキスした日に私に嫉妬して緑には思いが届かないと思った。


それから私が執拗に話しかけてきてウザかった。


焔耶が緑と緋焔に説教して、仲を取り持った。


こんな感じかな。

確かに、嫉妬相手が話掛けまくってきたらウザかっただろうなぁ、そこは反省だね。


焔耶が2人に説教か~、後であの子は、かいぐりフルコースだね。

今回の1番の功労者のご褒美を考えると笑いがこみ上げてきた。


「…どうした?」


「ああ、焔耶が頑張ったんだなって思ったらさ、ご褒美あげないと駄目でしょ?」


「…怒らないのか?」


「緑が好きで、緑を守るって誓ったんでしょ?」


「…ああ、わたしの命に代えてもな。」


「緋焔。」


「…何だ?」


「命に代えるのは絶対駄目、死んだら緑が悲しむでしょ?」


「…確かに。」


「私も同じ気持ちだし、大歓迎だよ~♪」


「…ありがとう。」


ただこれだけは言っておく。


「緑を、悲しませたら殺すよ?」


「…ああ、そっちこそな。」


こうして2人で殺気を出し合いながら誓いを確認し合うのだっだ。




その後、緑が泣きながら謝ってくるわ、焔耶が生意気言ったと怯えてたから、かいぐりフルコースで気絶させたりと色々混沌としてたが、何とかギョウを出発して、街道を歩く。


「藍お姉様。」


「うん?あっとギョウの件?」


「はい、出来れば。」


「市場が結構盛り上がってたよね~。」


「そう思います、ただ街全体と言いますか…」


「違和感でもあった?」


「はい、市場の雰囲気の割に民の様子が…」


焔耶が成長している。

人の気持ちを察したり、難しい事を考えるのが苦手だったあの焔耶が。

相変わらず駄目駄目なお姉さんと一緒に居るのに…

凄く嬉しくなったので、焔耶に横から抱きついて頭を撫でる。


「お、お姉様?!」


「全く~、私の見てない所で成長してくれちゃって~このこのっ!?」


「ワタシは、成長できてますか?」


「当たり前でしょ?街の様子だけじゃなく、住んでる人の事まで見てた。前は見てなかったじゃない。」


嬉しかったのか、顔を赤らめて照れている様だ。


「話進めて良い?」


「は、はい!ごめんなさい、緑姉さん。」


「別に~良いんだよ~。」


緑も嫉妬を隠さなくなったなぁ。

と、いう事で緑も抱きしめようとしたら…


緑が急に離れた…んじゃなくて緋焔だと!?

緋焔が小さくニヤリと笑う。

ひっ緋焔も変わったなぁ。


「んんっ、焔耶の見てた部分は良いよ~後は理由が判れば直ぐだね~。」


「そうね、袁家の手も有りだから否定はしないんだけどね。」


「袁家の手、ですか?」


ちょっと難しいかもしれないけど、どうだろ?


「ええ、袁家はある意味正しい手、袁家だから出来る手を打ったわ。」


「袁家だから打てる手…」


「袁家の持ってるモノ、色々あるけど大きなモノが3つあるわ。」


「3つ、1つは名声ですね?」


「そうね、4代に渡って3公を輩出したのはとてもすごい事よ。」


「次は資産ですね。」


「高位の人間にはお金が掛かるものよね。」


「最後は…」


「袁家って1人で彼処まで大きくなったのかな?」


「っ!?人材の多さ!!」


「そうね、ちょっと簡単すぎたかしら?」


「その3つのうち1つを袁家は使って直ぐにギョウの経済を立て直したかのように見せかけてるんだよね~。」


「直ぐに…3つの中で直ぐ使えるモノなんて、資産しか…」


「簡単すぎて問題にならないわね。」


「しかし、資産は判りましたが、どう使うんですか?」


「単純に宝の類を貴金属の店で売って、売った金をあらゆる店に流したみたいだね。」



「貴金属の店は酷い目にあった様ですが、それ以外の店は息を吹き返しました。」


「っ!?ですがそれだだけだと何も変わらないのでは?」


「お姉さんはスッゴく嬉しいよ、焔耶~。」


「焔耶ボケしてるのは放っておいて。」


「酷いっす、緑。」


「まあまあ、しかし民に対する施しが無いと言うのは…」


「多分、袁家の臣下の者達は、色々献策してるとは思うんだけどね。」


「残念ながら、当主様が現状をあまり理解してないんだよね~。」


「高札を見ても仕事のしの字すらないありさま。」


「しかし商人が息を吹き返したなら、甦るのでは?」


「税率が落ちたらねぇ。」


「た、高いのですか?」


「都と同じだとどうなると思う?」


焔耶の顔が青くなる、ギョウも大きい都市だけど、都と比べるとやはり小さい。

なのに税率をいじってない状況で資産を投入するんなら思いっきり、全ての事に着手するべきだったはずだ。

それが出来る位、袁家の力は大きかったのだから。


「名声、金、人材。人が大きな事を成すときに必要な物が3つもあるのに、それをしない、または出来ないのは問題以外の何者でもありません。」


「時が、無かったかもね~。」


「時、ですか?」


「困ってる人間が居るときに力を貸せば、少なくとも相手の信用を得られますこの場合は住民になりますが、前任者が滅茶苦茶だったので、余り信用を得られてないわ。」


「ギョウから一歩外に出た時の賊の溢れ方もね~。」


「突っ込むのが虚しくなるわ。」


「む~。」


焔耶が眉間に皺を寄せて考えている。

こう言う時に考える事は良い事だ。

あ~冀州に来たのも無駄足じゃなかったから旅って判らないものだな~♪





焔耶かぁいいなぁ。


とか思いながら書いてます。

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