第17話「覇王様との邂逅?」
第17話で御座います!
覇王様とおでこちゃんの台詞が、若干怪しいけど気にしないで欲しいかな?
大丈夫だと思いたいです。
side 藍
常山を出てから幾日が過ぎ、漸く大きな街に着いた。
名を陳留、曹孟徳なる人物が治めている土地である。
なんてカッコいい言い方してるけど、私が知ってる事って統治者と街の名前だけなのよ。
歴史は知らないけど調べる手は結構あるからね。
だか緑はこの街に余り来たくなかったようで、渋々この街で補給を行う旨と、補給が済み次第さっさと出て行く事を言われた。
緑がこんなに嫌がるなんて、一体何があったんだろう?
そんなこんなで、宿に荷物を置いて、私達は食堂で昼食を取っている。
「流石って言うか、もう買い物が終了するとは思わなかったよ~。」
「まあ、ね。」
「緑姉さん?」
「…気分でも悪いか?」
「そうじゃ、無いんだけどね。」
此処に行くと決めてからこっち、緑の調子はずっとこんな感じだ。
一体何が…
「何か、嫌な物でもあるの?」
「無いわ。」
「私達には言えない事?」
「大丈夫だってば。」
「じゃあ、これだけ教えて?」
「何?」
「言うと面倒事?」
「…」
「じゃあ、聞かないけど何時でも助けるからね?」
「緑姉さん、何か困り事なら言って欲しい。」
「…全くだ。」
「ありがとね、皆。」
少しだけど笑顔が戻ったね。
けど、大切な人が苦しんでる姿を見るのは辛いなぁ…
そう思っていると、後ろから声を掛けられた。
「あら?満寵、久しぶりね?」
声を掛けられた途端、緑がかなり大きく震えた。
大きな『ビクッ』とか擬音が付きそうなくらい。
後ろを振り向くと、小さな縦髪ロールの少女と、おでこの輝く赤チャイナな女性に、水色髪のクールそうな青チャイナな女性が立っていた。
「失礼、私は徐晃、字は公明と申す者です。緑は大切な旅の仲間なのですが、あなたは?」
周りの雰囲気から緑以外が立ち上がり礼を取り私が代表として質問したのだが。
「おい、緑の女!華琳様がお声を掛けて下さっているのに、無視をするとは何事か!!」
お~い、私の質問は?
「止めなさい、春蘭!!徐公明、私は曹操、字は孟徳よ。話を遮ってごめんなさい。」
彼女が曹孟徳か、隣のおでこちゃんが、「華琳様~」とか言いながら涙目で、水色ビューティは、「ああ、姉者は可愛いなぁ」とか言ってる。次からは、水色シスコンだな。
『びくっ』
急に私は、何かに全身を舐める様に見られている感覚に襲われた。
曹孟徳…アイツか!?そう思っていると、曹孟徳が緑に話し掛けていた。
「大丈夫?顔色が悪いみたいだけど?」
「平気です、そろそろ宿に戻りますので失礼させて頂きたいのですが?」
「あらそう、あなたとの話はとても楽しかったから、是非また話たいと思っていたのよ?」
「申し訳ありませんが、ご辞退させて頂きたいのですが…」
青い顔をした緑が、何とか穏便にこの場を切り上げようとした時に、おでこちゃんがキレた。
「貴様!!華琳様が、話をしたいと言っておられるのに、何様のつもりだ!!」
そう言い放ち、何処から出したのか判らないが大剣で緑に斬りかかった。
「…良い攻撃だが、性急すぎる。」
大剣が緑を捉える寸前で、緋焔がおでこちゃんの大剣を大槍で受け止めていた。
「お止めなさい、春蘭!!」
「しかし華琳様!!」
「私は止めろと言っているのだけれど?」
「うぅ、華琳様~」
「あと徐公明も秋蘭を離しては貰えないかしら?」
「な!?貴様!!」
緋焔がおでこちゃんの大剣を大槍で止め押し返し始めた為、水色シスコンが剣を構えかけた際、水色シスコンの右手を即座に捻ったのだった。
緋焔が槍を引いたので、私も水色シスコンの手を離して、少し離れた途端、おでこちゃんが私をターゲットに変え、斬りかかってきた。
「貴様!!死ねぇ!!」
あ~避けるのも受け止めるのも出来るけど、抵抗して目を付けられるのはイヤだなぁ…
て、事で私が選択した行動は…
おでこちゃんの一撃を受けて吹き飛ぶ事だった。
side 藍 out
side 曹操
徐公明が、春蘭の一撃を受けて吹き飛び食堂の壁に激突する。確かに春蘭は私の陣営で最強の武を誇るが、それに並びうる秋蘭を一瞬で無力化出来るほどの武力を持った徐公明が何もせずに吹き飛んだ事に呆然としてしまった。
「藍!?」
「っ!?ら、藍お姉様…」
満寵が一瞬遅れて走っていき、それに続いて前髪が白い女がのろのろと徐公明に近づく。
最悪だ、礼を取り先に自ら名乗り出て、私に質問をして来た者の話を無視した上に、旅の連れの調子が悪い事に気付いていながら文句を付け、挙げ句此方から剣を抜き、果ては、無抵抗の者を斬る…
典型的な暴君と変わらないではないか…
怒りに歯を噛み締める。
「春蘭!!」
「は、はい!?華琳様!!」
「直ぐに城に戻り医者の準備を、その後あなたは、部屋に戻って沙汰を待ちなさい!」
「か、華琳様!?」
「秋蘭!」
「…はっ。」
「春蘭に徹底させなさい!!」
「はっ!!」
「華琳様!!」
「姉者、流石に今回は申し開き出来んよ。」
「うぅ…」
2人も呆然としていた様だ、唯一緋色の髪の女だけが表情を変えておらず、ゆっくりと徐公明の下に向かって行った。
私も遅れて徐公明の下に向かい謝罪をしようと口を開いた瞬間、満寵が涙を流し唇を噛み締めながら此方を睨むと同時に弓を構えて私の眉間に狙いを定めている。
前髪が白い女も剣を抜き放ち、憤怒の表情で今にも斬りかかりそうだったが、その前に立ちはだかったのが、緋色の髪の女だった。
「…藍は大丈夫だ。」
「何故そんな事が判る!!」
「…わたしが一番近くで見ていた。」
「何を見ていたんですか?」
先に前髪が白い女が吠え、満寵が底冷えするような声で話す。
私も無事な理由が判らなかったので、黙って聞く事にした。
「…赤服の一撃を喰らった時に、一撃の勢いに乗って後ろに飛んでいる。」
「本当に?」
思わず口をついてしまった。
「…絶妙の間だったからな。赤服すら手応えが合っただろう。藍の立っていた所を見てみろ。」
緋色の髪の女にそう言われ、徐公明が立っていた場所を見ると足跡があるが…
っ!?左足の前の部分に踏みしめた後がある。
彼女は腰の左側に剣を携えている事から右利きなのだろう。
踏ん張るなら左足になるから…
それを見ていたのね、春蘭の一撃を捌き細かい部分も見極めた、この者も相当な使い手ね。
うちの陣営に4人共…
どれだけ恥知らずなの私は!!
今は出来る事をしないといけないわね。
「あなた達、本当にごめんなさい。彼女の治療の為に城に来て貰えないかしら。」
そう言って答えを待つ。
命令口調に近いが、これ以上態度が崩せなかった。
「判りました。焔耶、宿に戻って荷物を。」
「っ!?判った、緑姉さん。」
当然だが2人は怒りの表情のままだ。
緋色の髪の女は静かに徐公明に近づき、彼女を横にして抱きかかえた。
「この食堂を利用していた者達よ。場を騒がせた事を心から謝罪する、ついては此処での今日の料金は私、曹孟徳が持つ。これをもって謝罪としたい。」
金で解決などしたくないが、本当に徐公明が大丈夫か判らない以上、急ぐ必要がある。
「店主、店の修理代は城に請求して欲しい。」
「は、はい。」
「衛兵!!」
「はっ!!」
「民達を不安にさせてしまったわ、後で説明をしに来るから落ち着かせて頂戴。」
「はっ!!」
街が、落ち着きを取り戻せていない中、2人を伴って城に向かうのだった。
side 曹操 out
side 藍
火、火、火、辺りが燃え盛り、壁が崩れている箇所すらある。
此処は…辺りは危険な状態だ、緑は…緑って誰だ?頭が惚けている様だ…
確か、歌劇を鑑賞してレストランで食事を…そして…っ!?思い出した!!ホテルに帰った時に、挙動不審な男達を見つけて…誰かを突き飛ばして…凄まじい衝撃が身体を突き抜けて辺りが火の海に…小夜!小夜は!?頭だけ動かし探すと小夜が少し離れた場所で仰向けで倒れていた。
私は、立ち上がろうとしたが、足が反応しない。身体を確認すると下半身が…
私は、上半身だけで小夜の下に向かい声を掛けた。
「さっ!?」
既に彼女の瞳に光は無く、横たわった彼女の瞳は私が倒れていた場所を見つめているようだった。
「さ、よ…」
彼女のすすで汚れた頬に触れ私は…私達はそこで…
「う、ん?」
目覚めると知らない天井が見える。
何か何回もある描写だね?
《シリアスな場面でメタるな。by.作者》
寝床で、周りを見渡すと緑と焔耶が椅子に座って寝床に身体を置いて眠っていた。
2人の姿に安心すると声を掛けられた。
「…何か見たのか?」
「ほへ?」
壁に背中を預けて休んでいたらしい緋焔が、自分の目の部分を上から下へなぞった。
私は自分の頬が濡れていることに気付いて慌てて顔を擦る。
「いや~何て言うか。」
「…色々ある、寝てろ。」
聞かないでくれるらしい。
語る訳にもいかないし助かる。
「どれくらい寝てた?」
「…それほど眠っていない、昨日の昼からだしな。」
今明るいし…
「昼に寝て、朝起きただけ?」
「…ああ、だがああいう受け方は止めておけ、緑や焔耶が発狂しかけてたぞ。」
「うん、頼まれてもしないよ。」
「…此処に来るまでに手合わせしたが、手を抜かれているとは思わなかったぞ?」
「緋焔相手に?冗談でしょ~手合わせとは言え結構本気なんだよ?」
「…ふん、どうだか。」
「緋焔の力かなり強いんだよ?受け流さないと死んじゃうもん。」
「…その藍の技術を盗ませてもらったおかげで、助かったんだがな。」
「何かあった?」
「…赤服の一撃を捌いた時のやり方だ。」
「あ~通りで見たことあると思ったよ。」
「…ふん、緑をこれ以上心配させるなよ。」
「判ったよ、緑も焔耶もゴメンね?」
「「藍(お姉様)。」」
流石に聞き耳立ててたしねぇ。
「藍、怖かったんだからね?」
「うん、ゴメンね。緑。」
「藍お姉様を、お守り出来ませんでした…」
「あれは仕方ないって、でも心配させてゴメン。」
そう言って2人の肩を抱くと、2人共大声を出して泣き出した為、2人が落ち着くまで抱きしめ続けたのだった。
side 藍 out
4人を均等に出すって難しいですね。
もしご覧になっている方々が居られましたら、オリキャラ3人+この物話の焔耶で誰が魅力的か聞いてみたいんですが、構わないでしょうか?
突っ込み所等も有りましたらどしどしお願いします。
過去の話を修正しないとなぁ…