表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/91

第10話「出会い、別れ、そして誓い・後編」

 第10話で御座います!


 一応幼少編の山場にしております。


 10/30 修正しました。

side 緑


 私は今、村から少し外れた平野に立っています。


 他の人達に…

 家族にさえ聞かれたく無い話が、私にはあります。


 もしかしたら…


 でも…


 もう気になりだしてからは、気が気でなくなっていました。


 でも、聞くのが凄く怖い…


 彼女は、この世界に来て初めて心を許せる人だから…


 もしかしたらとも思うし、でも、とも思う。


 願わくば、『あたし』の予感が当たりますように…


side 緑 out




side 藍


 ちょっと、思い出に浸りすぎたな。


 そう思いながら星空瞬く平野を歩く。

 この世界に来てから、夜目がますます効く様になった。

 緑色の髪に、星の光を受けて白が映えて見える肌。


 そして、此方からだと少ししか見えないが、不安げな目。


 そりゃ不安だよなぁ。


「よっどうしたんだ?満寵、こんな夜中に、しかも出発前夜に話って、さ」


「徐晃、じ、実は…」


 彼女が、震えている。


 多分、私の事が『彼』なのか、半信半疑なんだろうな。


 正直な話、絶対混乱する。


 私、本来男だからね?


 そして此方は、確信を持って言えるんだが、彼女は間違いなく、私の妻『片桐小夜』だ。


 まあ、そろそろ限界だろうし、この世界での答えを出すか。


「満寵」


「な、何?徐晃」


「君の側に何時も一緒に居られない、こんな私だけど、側に居てくれないかな♪」


 前世って言うのだろうか、あの時のプロポーズの台詞を徐晃風にアレンジしてみたり…


 何で好きな女性に、中途半端な意地悪するかな?


 そう思っていると、顔に熱が集まってきた。


 冗談めかして言っておきながら、本気で照れるって私よ…


 落ち着け!今大事な時d…!


 自分の言った台詞で、赤面した自分を落ち着かせようとした時、私に向かって満寵が、抱きついてきた。


side 藍 out




side 緑


「君の側に何時も一緒に居られない、こんな私だけど、側に居てくれないかな♪」



 そう徐晃に言われ、言葉を反芻する。


 あの日の夜、一緒に車で出掛けて、星の見える丘で、さっきとほぼ同じ台詞と共に、指輪を渡された。


 忘れるはずがない、人に近付く事が出来ず、その上無愛想だったから、漸く就けた教職で孤立して、挫けそうだったあたしを、気分転換だと言って連れ出して…


 彼だって、暇なはずがないのに少ない休みをあたしの為に使ってくれた。


 おかげで大学でも、学生達にからかい口調で言われていた。


「一条助教授(小夜の旧姓)、近頃良いことありました?」


 同僚からも良い傾向だと言われた。


 目の前の人が、あたしを引き出してくれた。


 ふふ、変わってない。


 自分の台詞で赤面してるし。


 駄目だ、もう我慢出来ない。


 そう思った時には、もう徐晃に抱きついていた。


side 緑 out




side 藍


 勢いよく飛び込んできた、彼女を柔らかく抱き止める。


 伊達に身体鍛えてないよ。


 本来の意図と違うけど、こういう事に使っても問題ない。


 文句を言わせる訳が無い。


 私がそう決めたんだからね~♪


「『真之介』」


 涙声と胸に飛び込んできた為に、くぐもって聞こえるが、間違いなく私の名を言っている。


「『小夜』」


 そう言った途端、彼女から我慢出来ないと言わんばかりの大音量の泣き声が、私の胸に飛び込んできた。

 おう、結構ビックリした。




 彼女が落ち着くまで、髪を撫でていると、漸く落ち着いてきたのか、ポツポツと話初めた…


「『真之介』」


「ん?どしたの?『小夜』」


「何か変な感じだね」


「そう思うよ。気付いた時に、これは酷いと思ったもん」


 そう言いながら、笑いかける。

 この世界に来て私も変わったらしく、かなり大きな笑顔を出せる様になった。


「ふふ、昔はそんな笑顔しなかったからね」


「全くだな」


 そう言い二人で笑い合う。


「ねぇ、『真之介』」


「うん?」


「やっと会えたね」


「5年か、結構短かったな」


「長いよ」


「そうか?」


「あたしには、長い」


 そう『小夜』は言い、頭を胸にこすりつける。


 私も『小夜』の頭を撫で続けていると、彼女から、話を切り出された。


「『真之介』、これから何だけど…」


「うん、丁度よかった。私は三国志自体、三国志と言う名前と兵法書しか知らんからこれからどうなるのか、聞きたかった」


「極端すぎる」


「しかもだ、兵法については教科書に乗ってるのを覚えたり、論文に使ったりしたが、中身もう忘れてる!!」


 そう言いきると、『小夜』が、上目遣い+呆れの表情と言うコンボを繰り出して来て一言。


「威張っていうこっちゃない」


 ざっくりやわ~。


 此処でもう一回ボケようモノなら、暫く口利いてくれなくなるから黙る。



「はぁ、あなたってあたしと居る時だけふざけるよね」


「ふぅ、お前って私と居る時だけ表情豊かだよね」


 うぉ、しまった。ついノって…


 痛いです、『小夜』さん。

 抓らないで下さい。


「今日は凄く嬉しいから、許してあげる」


 よし、そろそろマジで行くか。


「それじゃあ、知ってる所で、今の『真之介』とあたしの立ち位置と、最初の戦の話をするね」


「よろしく」


「『真之介』の今の名前『徐晃』は、魏の曹操配下の将軍になる人なの」


「ふ~ん」


「興味無い?」


「私は私だしなぁ」


「ふふっ確かにね」


「それで、今の私の名前『満寵』は、同じく魏の政治家兼将軍だったはず」


「詳しいなぁ」


「助教授時代に、世界史の教授のところに小間使いに出された時ついでに、覚えたの」


「流石才女」


「教授の質問に答えられないのが、イヤなだけ」


「でしたね~♪」


 ちょっと口調が、軽くなったな。


 大丈夫そうだ。


「まあ、徐晃と満寵は、正史では単なる同僚何だけど…」


「けど?」


「正史を根本に置いた、歴史小説である三国志演義に、魏の敵である徐晃を友人である満寵が投降を促して、成功させた…みたいな、一説があるの。まあ、正史が根本にあるから、書いてあるのかも知れないけど、正史は仕事に含まれて無かったし、教授のセクハラが、イヤだったからさっさと纏めて出てったのよね」


 今、限りなく聞き捨てならん台詞が出たんだが…


「よく覚えてるなぁ。後、その教授蜂の巣にしたい」


「あなたの事言えないけど、人物についてはうろ覚えなのよ。うん、あなたに言うとそうなるから黙っちゃった、怒ってくれてありがとね」


 過ぎた事だとしてもイラつくな…


 まあ、話の途中だ…


 私、我慢しろ…




 よし、落ち着いた。


バッチこい!!


「とりあえず、あたしの覚えてる、この世界でのあたし達の関係はそんな感じかな」


「OK、理解した。次は戦場か?」


「うん、けどあたしも細かい所までは知らないから、その点は考慮してね?」


 いやいや『小夜』さん。


 知らない私からすれば、十分知ってるよ。


「良いかな?」


「いいとも!」


 私が悪うございました、だから本気で抓るの止めて。


「ずっとこうしてたいけど、時間が無いからちゃんと聞いて」


「ん♪」


「うっ、可愛い…」


 ふっ隙だらけだな、『小夜』。


「どうしたの?」


「何か聞こえた?」


「うっ、惚れそう。何て聞こえてないよ♪」


「脚色するな!!」



 痛い!?腹にグーはイカン!!ボディは後に響くんですよ!?




 ハァハァ、この体勢は、私が一方的にやられるじゃないか…


 判っててやってるから、タチ悪いんだろうな。


「ゴメンな『小夜』」


「今は、まだ賊がちらほらと出るだけだけど、いずれ賊や暴徒が集まり出して集団になるの」


 イエィ、無視られました。

 『小夜』が真面目に話してるのに、ふざけまくったからなぁ。


 時間も無いのは事実だし、真面目に返しましょうか。


「民衆や賊の不満を纏め上げる奴が、出て反乱を起こすって事か?」


「うん、それが大賢良師『張角』と黄巾党、そして彼等が起こす戦いが、『黄巾の乱』って言うの」


 学校の授業で習ったな。


「確か、その『張角』って宗教家だっけ?」


「まぁ、そんな感じ。色々な奇跡を起こして、信者を増やしていったらしいよ」


 ふむ、どっちにせよ、今はどうしようもないな。


 よし、そろそろ帰ろうか。


 おっと、その前にケリをつけないといけない話があるな。


「『小夜』」


「何?『真之介』」


「とりあえず、立ってくれないか?」


 そう言い『小夜』を正面から見据える。


「私はさ『小夜』、今の生活が好きになって来たんだ」


 少し溜めてから言葉を紡いだ。


「確かに、治安は悪いし貧乏だけど、『小夜』も含めて、この世界に皆が居る」


「父上は、母上に頭上がらんけど知性と優しさと厳しさを持った尊敬出来る人だ。母上は、無表情で剣技と関節技を駆使して、会話して来るけど、私の事を心配して大事にしてくれてる気持ちが伝わってくる」


「長老の爺様や婆様、村の大人達だって心配して毎回叱ってくれる」



「そして村の子供達と一緒に馬鹿みたいにはしゃいでるのが、今とても大切なモノになったんだ」


 そう、たった5年なんだ…


 けど、意識は初めからあるから家族や村の皆が、私をどれだけ愛してくれているか伝わっている。


 だから…


「『小夜』もう一度始めよう」


「『真之介』…」


「私の名前は、姓は徐、名は晃、真名は『藍』だ」


「あたしの名前は、姓は満、名は寵、真名『緑』だよ」


 『小夜』が泣いている、本当に私の我が儘ぶりは目に余る…

 けど、『小夜』。

 ちゃんと始めないと駄目だと思うんだ。


「さようなら『小夜』、これからよろしく『緑』」


 視界がぼやけてる。

 やっぱり自分の名前って大事なんだな…


「さようなら『真之介』これからよろしく『藍』」




 新しい~朝が来た希望の朝~…

 痛いよ緑…

 五月蝿いのは、判ったから地の文の邪魔は、ね?


 げほっごほん、おはようございます、藍です。


 今日は緑達が、山陽郡に帰ります。


 村の皆も総出で見送りに来てますね。

 緑は、目に少しクマがあるけど、元気に挨拶している。


「藍」


「はい、白夜おばさん」


 真名は、日課を早めに切り上げて家に帰った時に緑の真名呼んでたから、ご両親にも預けたんです。


 あんま、思い出したく無いがな。


 母上と白夜おばさんに、私と緑が真名で呼び合ってるの見られたら時、比喩じゃなく死んだと思ったんだもん。


 目で殺すって聞いたこと合ったけど、あれは、殺気で押し殺す、が、正解だよ。


「どんな事をしたのか知らんが、ありがとうよ。おかげで、緑は憑き物が取れたみたいだ」


「気づいてたんですか?」


「一応な、だが私は口下手で、母親なのに、緑の気持ちが判らなくてな…」


 悩んでるのは判ってたけど、聞き出せなかったか…


「緑はもう大丈夫ですよ。私が保証します」


「ほう、大きく出たな」


「はい♪」


「ありがとう、達者でな」


「はい、白夜おばさんもお元気で」


 次は、おじさんが来たか。


「何か全部言われちゃったな」


 はははっと笑う緑の父上『耕』さん。


「耕さんもお元気で」


「うん、藍ちゃんには感謝してもしきれないよ。緑の心を救ってくれて、ありがとう」


「大した事してないですよ」


「そう言う事にしとこうか」


「ええ、だって大切な人を守るのって普通でしょ?」


「はははっ確かにその通りだね」


「藍ちゃん、元気でね」


「はい♪」


 さてと~最後だね~…


「藍」


「な~に?緑」


 何となく、緑の言おうとしてることが判った。


「「また会おうね!!」」


side 藍 out

 書いてて足りてない所がチラホラ有ったけど、思いつかないんですよね。


 藍と緑のラブコメになってるはずですが、皆様如何でしたか?


 次回で幼少編終了です。


 期待してる人いるのか判りませんが、こうご期待!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ