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32・妖精は眠りたいときに寝て、起きたい時におきる。
カノシタのふかふかの羽毛に包まれて、コキラは心地良く眠っていた。
「……ん、よく寝た」
コキラは窓の外を見た。
時刻は、夕の刻を過ぎた頃だろうか。空は赤く、ほのかに夜の気配に染まっていた。
「まだ、夜にもなっていないのか」
今日は雨だったので、コキラは一日中眠ると決めたのだ。
「……人間たちは、何をしているのかな」
眠りから覚めたコキラはカノシタの羽の間から起き出して、イグチ、ミカサ、オウギ3名の様子を伺った。