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厳しい世界

湖畔に向かった俺たちは雑談をしながら歩く


「すごーい、めっちゃ綺麗じゃん!」


綺麗に配置された木々、鳥の鳴き声、整備された川。

画素数の低いゲームがこんなに綺麗な世界に変わっているなんてな。


「敵はいきなり現れるはずだから気をつけてな」


と言っている側から魔法陣が現れる。


「正面に4つだ!後ろは!?」

「何もない!」

「オッケー、じゃあ周囲を警戒しながら見ててくれ」


現れた敵はコバルトが4体

ゲーム内だと最弱キャラだけど注意して戦おう

とりあえず敵の懐に入って切る、離れて様子を見てもう一度踏み込んで切る。

それだけでコバルトは一体消滅した。

次に攻撃を受けてみることにした。

コバルトは木の棒を持っていてそれを振り下ろしてくる。

それを短剣で受けることに成功。

ファイターの盾じゃなくてもガードは出来るんだな。

そのまま胸に短剣を突き刺して2体目を処理。

余裕だな。

俺は後ろに下がってみんなと合流する。


「感覚は掴んだからもう大丈夫、ウォーターバレットを撃ってくれるかな?」

「…任せて」


シルクが不思議な言葉で詠唱をしている、そのときシルクの体の周りには白い輪っかが見えた

これは詠唱している時に出るものなのかな。


「ウォーターバレット!」


発動した水の玉はコボルトに向かってまっすぐ飛んでいき、当たったと同時にコバルトは消滅した。


「次はファイアーバレットを頼めるかな?」


シルクは同じように詠唱し魔法を放つ


「ファイアーバレット!」


火の玉がコボルトに向かって飛んでいく

俺はその射線に入り、落ちていた木の棒で火の玉に触れてると、木の棒は吹き飛ばされた。

フレンドリーファイアーはあるらしい。

コボルトは焼け、そのまま消滅した。


「うまく戦えそうだね」

「もうMPがない…」

「最初はそんなもんだよ、レベルが上がればもっと楽になるからなるべく温存していこう」

「…わかった」

「でもジークはすごいな、怖くないのかい?」

「楽しいって感情の方が強いかな、ところで素材とかが指輪に収納されるって聞いたんだけどどこで確認できる?」

「ギルドマスター僕たちの時も説明してくれなかったんだよな、受付のシーラさんが後から教えてくれたんだけど【ステータス】って言うと所持品とかが見れるらしいよ」


「ステータス」

指輪から3DのUIが出てくる、これはわかりやすくていいな

所持金やレベルアップまでの経験値も見ることができる、この辺はゲームと同じだな。


「次の敵が来たよ!」


コボルトが4体、正面に現れる。

俺は素早くコボルトの右手切り落とすがコボルトは消滅しない。

次に左手を切り落としてようやくコボルトは消滅した。

ダメージでも倒せるし生物的にとどめを刺す攻撃でもとどめを刺すことができるみたいだった。

試しにコボルトの首をはねてみたところ一撃で消滅させることができた。

この感じならダンジョン攻略もサクサク行けそうだな。


「あ、レベル上がった!」

「…ジークすごい」

「ジーク一人でも遺跡の調査終わらせられそうな気がしてきたよ・・・」


みんなからの称賛の声をもらいつつ、俺たちは前に進み続けた。

今までに遭遇した敵はコボルト、軍隊アリ、ブルーキャンサーの3種類。

ゲームの時と変わらない感じで進んでいく。


木々の間を抜ける細道を歩く、そろそろ序盤の積みポイントが来た。


「みんな一度止まってほしい」

「どうしたんだい?」

「この先魔法を使ってくる魔物たちが柵を作って道をふさいでいるんだ、魔法も3発くらうと俺でも耐えられないかもしれない」

「そんなの勝てるわけないじゃん!」

「シルクとメリッサで魔法を一体に集中させて狙うんだ、MPが枯渇したらそのまま下がっていい、タヤは俺にプロテクションをかける、後ろに流れた敵は三人で持ちこたえてくれ」

「わかったわ」

「よし、じゃあ行くぞ」


俺たちはゆっくりと道を進み、策と周囲の敵を目視した。


「やっぱりいるな」

「見たことない魔物でチョー怖いんですけど・・・」

「攻撃力が高いだけで防御力はないから大丈夫、三人とも頼むよ」


タヤは俺にプロテクション、防御力が上がる魔法をかける。

シルクとメリッサは遠距離からバレットを敵にあて2体削ってくれた。


「よし、これで俺も前に出れるから周囲の警戒をしていてくれ」


俺は柵の前にいるマジックゴブリンを切りつける。

1撃、2撃、3撃、一体のマジックゴブリンは消滅し、もう一体がマジックスピアを俺に使ってくる。

避けようと試みるがあまりの速さに反応が追い付かずマジックスピアが俺の右足太ももを貫通する。


「ぐっ!」


痛みを我慢しつつもう一体のマジックゴブリンの喉元に刃を突き刺す。

消滅と同時に俺は回復針を体にさしてHPを回復する。

プロテクションがなかったらもっと痛いかったんだろうな・・・。

もう少しレベリングをしてから戦ったほうがよかった。



俺は柵を薙ぎ払い奥のいるワイルドボアとワイルドベアの注意を引く。

ワイルドベアが爪を振り回し弧を描くように威嚇してくるだけだがワイルドボアはまっすぐ突っ込んできた。

左にかわしつつボアの首を刎ねる。


「あと一体か・・・」


最後のワイルドベアを倒そうと思ったが体が動かない、というか重く感じる。

HPは満タン、デバフもかかっていない、何が原因だ?

ワイルドベアが真っすぐ突進してきてハッとした時には俺は跳ね飛ばされる。

これ落下ダメージとかもあるのかなぁとか考えていたらタヤが俺にヒールをかけていた。


「ジーク!援護する!」


シルクはなけなしのMPを使ってとバレットを一発ベアにあて、そのまま座り込んだ。

メリッサは俺とベアの間に体を割り込ませレイピアを振り回して威嚇している。


俺のHPは15/55

回復針を刺して少し体力を回復しベアに攻撃を仕掛ける。

ベアの目に短剣をつけたてるとベアは方向を立てて木々に体当たりをした。

前が見えていない様子、今がチャンスと見てベアを後ろから攻撃する。

ベアはそのまま動かなくなって消滅した


「ゲームよりきついな・・・」


俺はその場に座り込んで大きくため息をつく。


「ジーク!大丈夫か!」


皆が駆け寄ってきて心配している・


「思ったより敵が多かった、ナイスフォローだったよ」

「あんた無理しすぎじゃない?今日は引き返したほうがいいよ」

「・・・同意」

「そうだね、こんなに敵を倒すのが大変だとは思ってなかったよ、一度戻って作戦会議をしようか」


俺たちは帰路につき一度ギルドに戻ることにした。

ギルドに戻ってから俺は敵の情報を紙にまとめて書きタヤに渡し、タヤは俺の代わりにギルドに調査報告をしに行ってくれた。


「魔物って強いんだね、あたしたち三人だけだったら絶対やられちゃってたよ」

「・・・ジーク強い」

「最初のダンジョンの敵があんなに強くなっているとは俺も思っていなかったよ」

「・・・昔は弱かったの?」

「そうだね、ちょっと戦い方も考えないといけないかもしれない」


タヤが困った顔で受付から戻ってくる。


「ジーク、疲れているところ悪いんだけど、ギルドマスターが呼んでるんだ、一緒に立ち会ってくれないかなぁ」

「だったら全員で行こう、そのほうが話が早そうだし」


俺たちはギルドマスターのいる会議室に案内された。


「すまないな、詳しい話が聞きたくて」

「いえ大丈夫ですよ」

「不思議なことを聞くかもしれんが、なぜ魔物が倒せる?」


おかしなことを聞く、戦えば普通に倒せるだろう。


「普通に魔物を攻撃すれば倒せますよ?シルクもメリッサも魔法で敵を倒していますし」

「他の冒険者からは攻撃しても倒せないし、魔物に体当たりされただけでものすごい痛みでまともに戦えなくてやむおえず逃走したという報告も入っている」

「・・・状況を確認させていただいてもよろしいですか?」

「うむ、これが彼らからの報告書だ」


さっと目を通しておかしな点はない。

装備も俺たちと変わらずギルドに支給されたものだ。

パーティーのバランスは悪いそうだが、あまり関係ないと思える・・・だとするなら


「おそらくパーティーの人数ですね」

「なに?」

「1000年前は4人の勇者が魔導王を倒したんですよね、5人以上でダンジョンに潜ると味方が弱くなり、敵が強くなる、そういったことはありませんか?」

「確かに・・・調査隊も大人数で全滅していることから考えても可能性はありそうだな」

「他に4人以下でダンジョンに入った人はいないんですか?」


俺たち以外にも少人数でダンジョンに入っているパーティーはあるかもしれない。


「いたんだが・・・まだ戻ってきていないんだ」


ダンジョンの中では他のパーティーに出会うことはない。

分かりやすく説明するとパーティーごとでパラレル世界のダンジョンに侵入している感じだ。

おそらく柵あたりの戦闘で全滅したか、まだレベリングをしているかだろう。


「なるようにしかならないですね」

「うむ・・・」

「魔物の特徴、名前、倒し方を書いてお渡ししたと思うので明日からダンジョンに潜る冒険者にも情報を共有してあげてください」

「いいのか?君たちの進捗具合を冒険者に公開しても」

「僕は王宮にだけ情報を流すというのが納得いっていません、最初に調査に乗り出したのは被害が出たのは王宮の兵士ですが、今命を懸けて調査をしているのは冒険者です、同じ冒険者には渡せる情報を共有したいと思います。」

「渡せない情報もある、ということかな?」

「MAPの詳細、僕たちの能力値、装備、スキルに関してはお教えすることができません、輩に襲われる可能性もあるのでパーティーの情報を公開することはできません」

「もっともな理由だ、少しでも情報を下ろしてくれることはありがたいが、なぜ名前を知っている?」


鑑定スキルで鑑定したから、と言うと面倒に巻き込まれそうだからやめておこう


「勝手に名付けました、わかりやすいと思って」

「わかった、手に入った素材に関してだがこちらで買い取らせてもらえないだろうか」

「理由と用途を教えてください」

「一つは魔物の研究機関に納品しすること、もう一つは素材を加工して武器や防具を作りダンジョンの調査を円滑に進めるためだ」

「・・・俺が決めていいのか?」

「リーダーでしょ?好きに決めていいわよ」


他の二人もうなづいてくれて、俺に判断を任せてくれる。


「今日のところはわかりました、素材はすべてお売りします」

「おぉ、助かるよ」

「ですが王宮、ギルドのやり方に納得がいかなかったときは素材は直接鍛冶師にお渡しして個人的に装備を加工してもらおうと思います」

「わかった、不信感を持たせないように気を付けよう」


俺たちは素材を渡して酒場に戻った。


「ジーク、王宮やギルドは信用できないの?」

「ギルドは信用しているよ、王宮は信用していないね」

「今の王様って平民の評判悪いのよね」

「メリッサ、発言には気をつけようね」


タヤは遠回しに俺にも釘を刺している感じかな、気を付けよう。


「まぁまぁ、素材はギルドに買い取ってもらったけど手に入れた装備は渡してないから装備できるものは分配して明日また挑戦しようか」

「賛成!」


みんなで手に入れた装備を分配して俺は自分の部屋に戻った。

部屋に備え付けられているシャワーを浴びて着替える、そう、今から娼館に行くのだ。

命を懸けた戦闘の後は高ぶる、命の危険を感じると子孫を残そうとするのが自然本能らしい。

部屋のドアを開けるとシルクが立っていた。


「びっくりした、何か用?」

「・・・今からどこ行くの?」

「あー・・・ちょっと外に出ようと思ってね」


嘘がつけないのなら、嘘をつかなければいい


「・・・ダメ、部屋に戻って」


ダメだった。

シルクに押されて俺は部屋に戻される。


「シルクは何の用?」

「ジークとお話ししたくて来た、多分タヤもメリッサも来ると思う」

「もうしばらくしたらでもいいかな?あと一人で男の部屋に入ってきたら危ないよ?」

「知ってる、ジークもムラムラしてるんでしょ」



「だから娼館に行こうかなって思ったんだけどね」


恥ずかしいけど本当のことを言ったほうがよさそうだ。


「ダメ・・・じゃないけどダメ」

「ジークもってことはシルクも思ってることがありそうだね」

「そういうことを女の子に言っちゃだめ」

「パーティーメンバーと寝るつもりはないよ、関係がこじれるのも嫌だし」

「嫌だし?」

「俺Sっ気が強いからね、無理させちゃうと申し訳ないから」

「ジークはエッチ・・・」

「男はそんなもんだよ」


そういいながらシルクの髪に触れてみた、柔らかい。

シルクは恥ずかしそうに俯いているが、よくない。


「ごめん、俺もう行くよ、部屋にいてもいいけど出ていくときは鍵を閉めておいて」


俺はそう言って鍵を渡してギルドを出た。

パーティーメンバーとの関係がこじれるのだけは本当によくない。

今後のためにも少し考えないといけないな。

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