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6日目①ー罠ー

昨日はシルクが何を言い出すかと焦りはした。

シルクとは体の関係を持った。

俺の性癖は超弩級とまでは言わないがノーマルには受け入れ難いものだろう。

娼館ですら出禁を食らった俺がシルクにやったこと、それは言えないけれどシルクは受け入れた、というより喜んで受け入れてくれた。

要するに相性は良かったのだ。

シルクが相手の嘘を見抜けるというのも…ある意味都合が良かったのかもしれない。


それはさておき、メリッサが他の冒険者をちょろまかして(はいないが)手に入れた肉は、幾つ食べても俺たちのステータスは上がらなかった。とあるゲームのきのみバグみたいなことは出来なかった。


俺とシルクが運動会をしている間にロンドイとサリュと錬金婆さんが訪ねてきたらしいが取り込み中の為と帰ってもらったらしい。

アンナが言いにくそうに教えてくれた。

せめて渡しておいてくれと荷物を預かったらしく、それとみんなの持ち物を合わせて装備を整えたという訳だ。


メリッサが装備しているライフガードは【火龍の洞窟】で見つけた物で、ダンジョンの後半レベルの装備ではある。

俺が装備しても良かったがメリッサがフロントとして、俺が遊撃に回る方が安定するのでメリッサに譲った。


「じゃあ廃鉱山に行く訳なんだけど、湖畔の遺跡と違って罠が多いからちゃんと気をつけること、お互い声を掛け合うこと、わかった?」

「わかったわ!」


お前が1番心配なんだよ。


「メリッサは僕が見ておくよ」

「じゃあ隊列なんだけど、前から俺、シルク、タヤ、メリッサで行く」

「その心は?」

「別に何にもかけてないけど視界が悪い」


入り口付近は明るかったが、中は真っ暗だった。

俺は罠の索敵と遊撃の両方をこなす必要がある。

メリッサは後ろからの魔物の警戒、自ずとタヤとシルクに松明を持ってもらう必要が出てくる。

緊急時はタヤがサポートに、シルクには光魔法を覚えてもらうまで松明係をしてもらうしかない。


「ってことでいいかな?」


俺はシルクにも確認する。


「…いいよ」

「いつもはうん、それかわかった、なのに今日はなんだか僕の首が違う方向に曲ががががが痛い痛い!」

「あんた本当に無粋よね」


シルクは俯いたまま帽子を被り直す。

守りたい、この照れ顔。

それにしても日に日にタヤが空気読めない奴になっているのは気のせいか?


「バカやってないで行くぞ」


俺たちは【廃鉱山】に飛んだ。

事前に持ってきた薪に油を染み込ませた布を巻きつけ火をつける、タヤとシルクが持ち俺たちは進む。

入り口の光が完全に見えなくなり敵が現れる。

魔法陣が光を放っているお陰で魔物が現れることが分かりやすくてありがたい。


「思ったより暗いね、鉱山だから電気とか多少引いてあると思ってたんだけど」

「…1000年以上前の鉱山だから」

「確かに、ジークは道がわかるのかい?」

「大体の道は覚えている、落石とかで道が塞がっていたら他の道がないか探す必要がある…って早速だ」


本来のルートに大きな岩があり通行止めになっている。


「動かせそうにないな、ドワーフが入れば粉砕できそうな気もするんだが…」

「おりゃ!」


メリッサが岩をグーで殴るとバラバラに粉砕された。


「あはっ!やるじゃんあたし!」

「タヤ、メリッサには逆らわない方がいいぞ」

「逆らう時はプロテクションをかけてからにするよ」

「ひっどーい!ジークだってできると思うけど?」


出来るかもしれないけどやろうとは思わないだろ。


「隊列崩さないでーいくよー?」


俺たちはどんどん進んで行く。

魔物は現れるが俺は知っている敵、特にトラブルもなく倒して行く。

地下3階、ここは落石エリア。

しかし落石はなくただの道になっている。

ゲームは無限落石だが落ちてきた後の岩はどこに行くのか、なんであんな丸い岩で落ちてくるのか、現実ではあり得ないからそれはそうか。


「ねえ、ここに看板があるよ?」

「おい、不用意に触るなって…」


カチッ

だから言っただろバカエルフ!!

後ろからゴロゴロと音がする、今は坂道、お約束の展開だ。


「みんな走れ!」

「…タヤが見てないのが悪い」

「メリッサは僕の後ろだよ!?監視にも限度があるって!」

「いいから走れ!」

「ごめーん」


俺たちは全力で走る、しかし一本道が長い。


「追いつかれちゃうかなぁ」

「あたしがパンチで壊そうか?」

「あんな勢いがついてる岩やめとけ、骨が折れるで済まないぞ」

「それもそうかぁ」


前方に窪み、4人は入れそうだ。


「シルク、ちょっとごめんな、松明は俺がもらうよ」


松明を受け取り右側に放り投げ、シルクの背後に回ってお姫様抱っこをした。

シルクは驚いた顔をしたまま固まってしまった。

許してくれ、緊急事態なんだ。


「左にある窪みに入ってくれ、俺とシルクは右に行く」

「おっけー」


俺は一足先にシルクを抱えたまま右の窪みに飛び込んだ。

シルクを下ろし、入り口を背にするように岩から守る。


岩が通り過ぎた後、シルクは俺にキスをした。

死亡フラグを立てないでほしいというか、ドキッとしたというか、なんかいいようにされてる気がして悔しくなった俺は舌を絡ませてやった。

数秒堪能した後、口を離しタヤとメリッサの安否を確認する。

2人とも無事みたいだ。


「シルク、イタズラはほどほどにな」

「…はい」


返り討ちにしてやったり。


「松明で少し照らしてくれー」

「わかったー」


タヤとメリッサが駆け寄ってくる。

俺は落ちている松明を拾い、火を分けてもらいシルクに渡した。


「メリッサ、次は気をつけてくれよ」

「はーい」

「…メリッサ」

「は、はい!」


緊張しているメリッサにシルクは


「偉い」

「え?」


かける言葉が違うだろ。

ツッコミはせず先を進み地下4階に降りた。

ここからは光源があった。

何が光源になっているかは分からなかったが松明を持つ必要がないのはありがたい。

火を消してポーチにしまい、先を目指す。

現れる敵がレベル90前後になり、俺ばかり相手にするのも良くないと思って前衛をメリッサに、後衛を俺が務めることにした。


「楽勝楽勝!」

「ジークと違って避けないから回復するこっちの身にもなって欲しいよ」


相変わらずの2人である。

光源がある+広くなったことにより魔物が後ろにも湧くようになった。

俺は回避に専念して敵を倒さないくらいまで攻撃し、とどめはシルクの魔法でさす、いい連携の練習になる。


「ジーク、あの宝箱は?」

「あれ、鍵がかかってるんだけど…一応確認しておこうか。」


鍵がかかっていてその鍵を手に入れるときに魔物が湧くという罠だ、中身がゴミだったこともありゲームではスルーしていた。

石板がない今は万が一を考えて、開ける選択肢をとった。

鍵がかかっていなくてあっさり開いた。

中身はヒールストーン、タヤがいるから錬金婆さんに渡して役立ててもらう方が良いだろう。


「いい物なの?」

「いや、俺たちは要らないかな」

「残念」


そしてたどり着いたのは地下5階。

降りてすぐ目の前にコカトリスの時と同じように柵がある。


「もうボス?早すぎない?」

「ジークが罠を看破してくれたからじゃないかな?」

「それもあるけど、戦闘がスムーズだったのが大きいかもね」

「…ボスは何?」

「小さめのドラゴンかな」

「ドラゴン!?伝説上の生き物じゃないか!」

「って言っても子供だから大丈夫だよ」

「1000年経ってるのに?」


言われてみればそうだ。

1000年経った今ならレッドドラゴンになっていてもおかしくない。

レッドドラゴンだった時、間違いなく全滅する。

火龍の洞窟にいるやつですらレベル500を超えているのだから。


「さて、困ったな」

「考えてなかったんだ…」

「ねえ、あそこに見えるのってそのドラゴンじゃないの?」


奥の方にピンク色のしっぽがチラチラ見える。

あの色はパピードラゴン、幼体は幼体のままみたいだ。

柵の手前から石を投げて注意を引いてみる。

姿を現したのはパピードラゴンレベル50

なんか弱くなってないか?


「可愛い!あれほしい!」


メリッサには召喚獣として魔物と契約できる力があるみたいだけどボス相手ではハイリスクだろう。

というか契約の仕方がわからない上に召喚に必要なものすら持っていない。


「今回は諦めてくれ、あとあいつを倒した後何か起こるかもしれないから気を引き締めてくれよ?」

「わかった」


俺たちは柵の向こうに入る。


パピードラゴンと対峙して圧を全く感じない。

自分たちが強くなったからだろうか。


「キュイ、キュイ?」


敵対しているという感じですらない。


「ねえ、この子が何しにきたの?だって、敵じゃないんじゃない?」

メリッサには言葉がわかるらしい。


「メリッサ、俺たちの言葉は通じるのか?」

「やってみる!キュイ!キュイ!」

「そんな猫にニャーみたいにして通じるのか?」

「…ジーク可愛い」

「ジークは猫にニャーなんてしてるのかい?」


裏目ったらしい、余計なことを言わなければ良かった

メリッサとパピードラゴンはキュイキュイやり取りをしている、言葉は通じているらしい。


「キュ?キュー…」

「なんか最近生まれた?みたい。自由に動けないしここがつまんないって言ってる」

「言葉が通じて友好的なんだ、じゃああんまり戦いたくないなぁ」

「馬鹿か貴様らは」

「誰だっ!」


まったく気配を感じなかった。

後ろを振り返ると、ダークエルフが立っていた。


「まったく、人の物と勝手に仲良くしないでほしいな」

「あなたのドラゴンなの?」

「貴様のような半端ものとしゃべるつもりはない」

「何よ半端ものって!失礼ね!」

「ん、貴様は・・・我らの根城に土足で踏み込んだ人間か、いきなり消えるから驚いたぞ」


この声、ダークエルフの塔で聞こえてきた声か。

鑑定

エルフ種 リリア レベル180

今の俺たちじゃ倒せるかも怪しい強さだ


「私が直接手を下しては叱られてしまうからな・・・貴様らがここにたどり着くのがこんなに早いとは思っていなかった私の落ち度だが、仕方ない」


そういうとリリアはパピードラゴンの隣に行き、体にそっと手を当てる。

その瞬間判断が遅れたことに後悔した。

こいつが手を出せないのであればすぐに攻撃にかかるべきだった。


「キュイイイイイイ!」


パピードラゴンの色がピンクから青紫色に変わっていく。


「やめて!嫌がってる!」

「言葉は理解できるようだな、半端ものでもそのくらいはできるらしい」


つるつるしていた体表にうろこが生え、幼龍とは言えない見た目になった。

鑑定

ケイブドラゴン レベル140 


「ふむ、中途半端だがなんとかなるだろう」

「グルルルル・・・」

「言葉がわからない・・・なんで!?」

「こいつが理解されようとは思っていないからさ、じゃあ楽しんでくれたまえ」


そういうとリリアは影に沈んで消えていった。


「待って!」


影に飛びつこうとするメリッサをタヤが止めた。


「気持ちはわかるけど先にこいつを何とかしないと」

「・・・やだよ!戦えないよ!」

「無理に戦わなくていい、戦いたくないなら下がってろ」


今回メリッサは戦力として当てにできないだろう、純粋すぎる。

判断に遅れた俺にも非があるが、いまさらどうこうできない。

俺はダガーを構える。


「プロテクション!リデンプション!」

「シルク、強すぎる魔法は崩落の危険があるから駄目だ、魔法で牽制するくらいにしてくれ」

「・・・わかった」


俺はパピードラゴンの正面に立って回避の姿勢をとる。

本来であれば背後を取るがこの狭い空間で遊撃に回ればタヤとシルクが標的になる恐れがある。

ケイブドラゴンは尻尾で薙ぎ払ってきた。

俺はジャンプでかわし背中にダガーで切りつけるがうろこが硬くて弾かれる。

鱗がないところを攻撃しないとダメか。


「・・・ストームブレイズ」


シルクの放った魔法に対してケイブドラゴンは大きく息を吸い込み吐き出した。

火柱は一瞬でかき消されてしまった。

その隙を逃さない、バックステップでケイブドラゴンの腹にダガーを突き刺す。

ダメージは入っている、この感じなら倒せないことはなさそうだ。


「グオオオオオ!」

「ねえやめてよ!傷つけないで!」


メリッサが俺とケイブドラゴンの間に飛び入りケイブドラゴンを守るように手を広げる。


「危ない!」


ケイブドラゴンが鋭利な詰めでメリッサを薙ぎ払おうとしたところをタヤがかばった。

タヤとメリッサは壁にたたきつけられ崩れ落ちる。


「意識はあるか!」

「なんとか・・・でも動けないかも」

「メリッサ!お前は動けるだろ!タヤに回復を!」

「あ、あたし・・・」

「早くしろ!お前をかばったタヤを殺す気か!」


混乱するメリッサは当てにならなかった。

俺はヒールストーンを使って全員を回復する、これで今すぐ死ぬことはない。


「シルク、何か策はあるか?」

「龍には逆鱗があるはず、そこを狙えば」


龍の逆鱗

神話であれば81枚の鱗のうち1枚だけ逆さまに生えているという鱗。

それに触れると激昂することから龍の逆鱗を言われているらしいが・・


「こんなに鱗があるのにどこかわかるか?」

「顎の下に生えてるらしいけど、私には見えない」


注意深く鱗を見ると確かに一枚だけ逆さまに生えている。


「見つけた、俺がとどめを刺すから少しだけ動きを止めてほしい」

「任せて、アイスストーム!」


詠唱を無視した魔法、本来であれば威力が落ちるが【魔力の波動】で補っている。

しかも魔法の発生はケイブドラゴンを中心としているためかき消せていない。

シルクの戦闘のセンスは俺より上かもしれない。

動きの鈍ったケイブドラゴンの喉元に生える鱗に【バックステップ】を叩きこむ、もちろん【ガードブレイク】を使用して。


逆鱗が割れ、ケイブドラゴンは倒れこんだ。

色が元に戻り、パピードラゴンは消滅した。

これで戦闘は終わりだ。

急いでタヤのもとに駆け付け様子を見る。


「僕は大丈夫、敵の気配はないよ、ここで休んでいこう」

「わかった、俺は周囲を見てくるからシルクは何かあったらすぐに声を上げてくれ」


今はメリッサと顔を合わせたくなかった、少し気まずい。

本来であればメリッサに注意するところだが、タヤが怪我をしてメリッサも思うところがあるはず、俺からではなくタヤから言われたほうが本人には効果的だろうと思った。


俺たちの到着と同時に現れたあのリリアというダークエルフは何者なのか。

直接手を下せないということは間接的に仕掛けていた可能性が高い。

もしかしたらボート小屋で呼び鈴を鳴らした後、ドアが開いたのもリリアの仕業かもしれない。

クマドリが鍵を開けるなんて不自然だからだ。


他にも叱られると言っていたということは、上位の存在がいるということ。

確かにゲームの時のダークエルフの最期は役に立たないとの理由でダークエンジェルに消滅させられていたが、またあいつと戦うことになると思うと億劫だった。

なんせ魅了、魅了、魅了の連続でしっかり対策をしていないと味方を攻撃して全滅するからだ。

タヤの聖魔で状態異常無効になっても5分だけだ、長期戦闘になれば不利になる。

今は考えなくてもよさそうだ、それより次の探索に向けて一度休暇を取ったほうが良い。


転移ゲートの魔法陣が刻まれている床を見つけた。

アーティファクトの数も足りない、石板もない、ダンジョンの後半への道はまだ閉ざされたままだ。


「ここではもうすることがない、戻ろう」


俺たちは一度町に戻ることにした。

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