第81話 オレたちは手を取り合って! 戦い! 勝つ!
なにやら妙な感情が流れ込んできた。
これは怒気だ。冷たく鋭い怒気。黒い影たちが放つ怒気だ。
――殺されたパペットの恨みを刻み込む――
そうか。オレを圧殺しなかったのは単純に殺すのでは恨みを晴らす事にはならないと。そう言うのか。
「だけど!」
こちらとてやられるわけにはいかない。
人を恨んでいるのは理解したがやらかしたのはオレではない。八つ当たりで反省しろ・死ねと言われても御免被る。
「巡!」
オレのアイテム光の星・巡を顕現。一つ一つを剣にして黒い影の剣を迎い撃てるように配置する。
「なんならパペットたちを殺した連中を探り出し頭下げさせるからさ! 今は戦うぞ! 戦って勝つ!」
――そうして我らをまた殺す――
――恨みはどこまでも続くだろう――
――殺しを続ける限り続くだろう――
――そうして人は皆巻き込まれ、誰かは誰かの仇となる――
――誰もが誰かを殺す権利を持つ――
――それでも人は笑えない――
――それでも人は嗤えない――
――最後に立っているのは【世界の患い】――
――そこでようやく、笑えるのだから――
「笑える? 誰が最後に立っていようと泣いていると思うけどな」
一方を排して笑うなんて、人の戦争のようだ。
「人と同じじゃないか、お前たちも」
戦争は忌避する。けれど、戦争をくだらないと言うつもりはない。だって命を懸けて戦うのだから。くだらないと言ってしまえば命に失礼だ。
ただ。
「恨みを晴らしたければ! 敵を抱き締める勇気を持て! 抱き締め返す勇気を持て!
そうして初めて笑えるんだよ!」
――死ね――
黒い剣が来る。が、ゆっくりと縮まっていくのではない。列を乱したいくつかの黒い剣がランダムに向かってくる。
「心が揺れたな」
向かってくる黒い剣を巡の剣で撃ち落とす。
「今戦うと言うならオレもそうする。
けれど! 忘れるな! これはオレだけの意志じゃない! オレとパペット・星伽の意志!
オレたちは手を取り合って! 戦い! 勝つ!」
スフィアを作る黒い剣の全てが切っ先をオレに向けた。そして一斉に襲い来る。
が。
全てを巡の剣で弾き飛ばす。
黒い剣はすぐに体勢を整えて再びスフィアを形成した。先ほどよりも小さなスフィアだ。
なんだ? ゆっくり削る方に戻ったか?
と思っていたら。
「っつ!」
なんと背にしていたキューブが爆発したではないか。
オレが感知する前の爆発だった。更に腰の盾が動く前の爆発でもあった。だからまともにその威力を背に受けてしまい全身が痺れてしまう。
そうか、スフィアを小さくしたのはオレに爆発の威力を集中させる為か。
確かにいくら同化状態でパペットの持つ防御力が付与されているとは言えきつい。
『凛凛翼』にもノイズが走り、一瞬だけ浮力が弱まった。
そこに下から殺到する黒い剣。
「ムダだったろ!」