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第76話 さあ行くぜ!

 虹の塔、正式名称『綾なす塔(カラーズピラー)』は光の塔だ。

 浮遊(レビテーション)機能を持つ光、塔の中に入ったものを浮かせる、またはゆっくりと降ろす機能を持つ光である。

 パッと見が虹色に見えるから虹の塔と呼ばれる事が多い。


「大きいな」


 その虹の塔の根元に来て、もう一度見上げるオレ。

 直径五十メートルの虹の塔。人を送るだけならこれほどの大きさは必要ないのだが物資を送るのにも使われるからこの大きさだ。

 虹の塔の根元には浮遊光を発する白い機械があって、決して壊れてはいけないこれを守る為に耐火・耐震・耐水などあらゆる災害を想定した防御機能が備わっている。


「立ち入り禁止にはなってないのね」


 ウェディンの言う通りに通行は許可されている。

 世界に七つある虹の塔だが、【治す世界(クラーツィ・モンド)】が放たれて以降積極的に攻略に向けて人を募る塔もあれば一切の利用を禁止している塔もある。

 虹の塔を解放するか、それとも人の安全を優先するか、対応は地域ごとに任せられているからだ。


「日本は許可しているんだ。ただ条件があって、偉い人自身か偉い人が認めた人しか入れない」

「あ? んじゃあたしらダメなんじゃねえか涙覇(るいは)?」

「大丈夫」


 虹の塔の根元の白い機械、これには東西南北に門があり、それぞれに男女一組のヒューマノイドが陣取っている。本来は通行チケットを確認するだけのヒューマノイド、緊急時には門番としても機能するヒューマノイドだ。

 そのヒューマノイドにオレは父さんから預かった通行証を見せた。

 通行証をスキャンしたヒューマノイドは頷き、笑顔を見せ、


「「お気をつけて行ってらっしゃいませ」」


と声を揃えて言うのだった。


「オオ、便利だな親のコネ」

「コネ……」


 いやまあそうなんだけどはっきり言われると複雑なんだがキュアよ?


「良いんじゃないかな。

 気に入らなければそれに恥じぬ自分になれば良いだけだ」


 と、門を潜り終えアウサン。

 その通りだ。常日頃から偉大な両親を持ったオレが思っている事、同じ事がアウサンの口から出てちょっと驚いたが、同時に複雑に感じた気持ちも飛んだ。

 だからオレはアウサンに笑顔で頷いた。が、当のアウサンはハテナ顔。普通の発言だったのだが? って感じかな。まあ良いや。


「さて、こっからはなにがあるか分からないから同化状態で行こうか。

 星伽(ほしとぎ)

 ウォーリアネーム【星の(さえず)り】!」


 まずは言い出しっぺのオレが夫婦獣を顕現し同化。衣装も戦闘用のそれに変える。


「ウォーリアネーム【産み育む奇跡の庭】!」


 続いてウェディンが水の獣メイド・オブ・オナーを顕現、同化。こちらも戦闘用衣装に変化させる。


「ウォーリアネーム【世界は愛に満ちている】!」


 燦覇(さんは)皓月(こうづき)に抱きつきつつ。


「行くぜ千五百魔(ちいおうま)

 ウォーリアネーム【砥がれた月は鮮血を浴びて】!」


 小さなサムライ型のパペットとキュアも意気揚々と続き。


「ウォーリアネーム【糸結びの隣人】」


 真架(まか)と彼女のパペットであるジョハも手を繋いで同化。


「出番だ、トレリオン。

 ウォーリアネーム【溶け熔け融け】」


 金色の蜂を指の先に乗せ、アウサン同化完了。

 全員の同化が成功したのを見てオレは、


「さ――」

「さあ行くぜ!」


キュアにセリフを盗られるのだった。くっそ。

 とは言え腐っていてもしようがないので先頭を往くキュアに続いてオレも歩み出す。

 キュアが光の中へ、虹の塔の中へと入った。

 オレも他の面子も続く。

 短い光線が上下する中に入ってみると外の様子がクリアに見えた。ここは中からは外が見えるが外からは中を見られない。スカートで昇る人とかいるから覗き防止で。

 全員が中に入ったのを確認し、上へと昇る為の言葉を口にする。


「エア・アップ」


 一人、また一人と言葉にしゆっくりと上昇していく体。

 速度は次第に上がっていき時速六十キロメートルで固定される。

 順調に昇っている。上を見ても誰もいない。下を見ても誰もいない。今日の挑戦者はオレたちだけか?

 雲が浮かぶ高度になった。


「――!」


 なって、景色が一変する。

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