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第70話 それはオレが大丈夫じゃないのでは?

 燦覇(さんは)がモンスターの相手を始めたのを確認して【(はたがしら)】のメール機能を開く、オレ。

 えっと。

 まずは燦覇とリトルドームに行った事を書いて、そこでタコ型コンピュータウィルスとバトルになった事、燦覇のパペットがびっくり成長を遂げた事、ジョハと再会した事、リュウレイと戦闘になった事、キュアと一緒に虹の塔『綾なす塔(カラーズピラー)』攻略にチャレンジする事、で今、燦覇がフィフスに挑戦しようとしている事を書いた。


「送信、と」


 アイコンを一つポチっとな。これで送信完了だ。

 すると僅か三十秒後。


「ん? ウェディンから通信だ」


 映像通信をお望みのようだ。断る理由はないので、応答。


「はい」

「私」

「うん」


 でしょうね。違う人が出たらびっくりだ。


「なんか……不機嫌?」

「……いいえ。ちょっと重要な場面に一緒にいられなかったのが不満なだけ」


 それを不機嫌と言います。


「まあ、ただのわがままよ。気にしないで。

 それより虹の塔にチャレンジするなら私も行くわ」

「大丈夫なん?

 勿論勝つつもりで行くけどこれまで誰も攻略できていないんだ。

 危険はあると思う」

「……その様子だとまだ御両親からは聞いていないようね」

「うん?」


 まだ帰って来てすらいないが。


「サイバー関連のガーディアン『星冠(ほしかむり)

 祭事の頂点『神赦譜術(プロミスト・)教会(リリジョン)

 情報のエージェント『シュティーフェル財団』

 国際議連の矛にして盾『世界に立つ銃士軍(エンキ・ナイツ)

 これら四組織が協力してイギリスにある虹の塔攻略に向けて動くようよ」

「!」


 イギリスの虹の塔、黄色い二振りの聖剣に守られた『綾なす塔(カラーズピラー)』。


「どれくらいの戦力で行くのかは教えてもらえなかったけど当然向こうも迎撃体制をとるでしょう。

 となると」

「他の虹の塔は攻略しやすくなる、かもしれない」

「そう。

 だからあなたとキュアが――二人のエリアチャンプが一緒に行くなら、もう一人エリアチャンプを加えた方がより攻略しやすくなるでしょう?」

「……確かに」


 イギリスと日本の虹の塔、二つ攻略できるなら素晴らしい。


「ただ一応質問。

 ウェディン、御両親説得できる?」

「大丈夫よ。

 涙覇(るいは)が別の女の子と遊ぼうとしているって言えば」

「それはオレが大丈夫じゃないのでは?」


 浮気しているみたいな。


「ふっふっ。女の嫉妬は高くつくわよ」


 マジかー。


「まあ、冗談よ。

 単に涙覇との仲を考えてくれているから、協力し合うのに待ったはかからないと思うわ」

「そ、そう。

 んじゃ日程はまた話し合おう。

 燦覇に用意したモンスターもあと一体だ。

 今日はこれで」

「ええ。燦覇のフィフス、うまく行くのを願っているわ。

 燦覇にも“大丈夫”って伝えておいて」

「ああ。それじゃ」

「ええ、また」


 通信終了。

 と同時に燦覇、モンスター最後の一体を撃破。


「涙覇ー終わったよー」

「オッケー。

 燦覇、ウェディンから伝言。

 フィフスについて“大丈夫”だって」

「うむ。頑張る」

「じゃ、行ってみようか」


 まずはこうやるんだよ、と言う意味でオレから。


「【(トリ)】――エスペラント」


 オーバーレイ・フィフス起動。

 同時にオレの手首、足首、胴体、頭頂部に現れる夜空色の円環。

 神の粒子・希望に触れる形態の完成だ。


「良し」

「マインはどうすれば良いの? さっきの言葉を喋るだけ?」

「きっかけはね。

 ただその後頭から全身に衝撃がある。

 とんでもない量の情報が流れ込んでくるんだ。

 それをクリアできればフィフスの完成なんだけど……」


 はたしてこの子に可能だろうか? いくら考えても答えは出ないのだが。

 ならば信じるしかないか。


「じゃ、いっくね」

「ああ」


 燦覇、大きく呼吸を一つ。吐いて、吸って、止める。

 そしてとうとう。


「【(トリ)】――エスペラント」


 言霊と言って良い言葉を口にした。

 すると。


「え?」


 燦覇が倒れた。

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