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第67話 ……昇るか

「情報ネットワークに産まれた情報生命体」

「ああ」

「……涙覇(るいは)、AIが世に出た時の世間の反応、知っている?」

「うん。

 AIは人の仕事を奪う。

 AIは人より優れているかもしれない。

 もう一つあったな。

 地球は知的生命体を一つしか内包できない」


 最後の一つは数種の思考が地球で共存しようとすると軋轢が生まれ地球を壊す事になりかねないから、が理由だった。

 しかし。


「現状を鑑みるに人とAIは共存できるし地球も問題ない」

「うん。

 ロッケン=オーヴァーの反乱も、人と人の戦争に比べれば短期で終わると思われているからね。

 けどだ。情報生命体については変わってくると思う」

「人より確実に優れているから、かい?」

「あ、気づいてた?」

「ああ」


 リアルとネット双方に存在できる時点で人より上だ。

 成長速度を見ても人より上だ。

 そんな存在が【(はたがしら)】にもマッチする。

 人がAIに後れを取らなかったのは【(はたがしら)】を始め多くの内部・外部装置があったからなのに。


「けど優位性もある。

 数の差だ」

「うん。今のとこ燦覇(さんは)とこの子が産んだ情報生命体の胎児だけ。

 これは大きい」

「燦覇、燦覇以外に成長済みの情報生命体っていると思うかい?」

「ん~?

 いるよ」


 え、そうなん?


「一番近くはね、あそこ」


 あそこ、と言い燦覇が指さすはリトルドームの窓、ではないだろう。その向こう側だ。


「あん中に一人いると思うよ」

「……マジか」


 燦覇が指さしていたのは、天へと続く虹の塔『綾なす塔(カラーズピラー)』であった。






綾なす塔(カラーズピラー)』――世界に七つある虹の塔。オービタルリング【地球(グレート・グローブ)(キャッスル)】に上がる為の宇宙エレベーターだ。

 が、ロッケン=オーヴァーによって【治す世界(クラーツィ・モンド)】が放たれて以来誰もオービタルリングへは上がれていない。

 上がろうとする試みは行われているのだが途中にいると言う強力なコンピュータウィルスによって邪魔されると言う話だった。

 それゆえにどこの国も慎重になっているのだが唯一アメリカだけが毎日挑戦者を募り攻略に勤しんでいる。達成されていないが。


「なんで情報生命体がロッケン=オーヴァー側に?」


 リトルドームにてタコ&リュウレイとの戦闘について警察と必要な機関にあれやこれと説明した後、ジョハと分かれ家路に着いたオレと燦覇。

 空は相も変わらずスタートレイル。が、その向こうにある日が傾いているのだろう、若干街はオレンジ色に染まっていた。もう夕方の十八時だ。

 リトルドームを出ても買い物したりしてたからなあ。


「それは分かんな~い」


 今人気のキャラクターのぬいぐるみを抱えて、燦覇は首を捻る。

 レビテーションバイクを運転中だからあまり余所見はできないが、ちらりと日本にある『綾なす塔(カラーズピラー)』を見る。一対の赤翼を有す虹の塔。日本の首都・京にある虹の塔。

 モンスターに守られる塔。

 冒険心と子供心を刺激されるワードだ。

 だからいつかはオレも攻略に挑戦しようと思っていたのだが……そうか、情報生命体か。

 産まれて間もない燦覇でさえこの強力さ。

 どんな相手が虹の塔にいるのやら。


「……昇るか」


 今日ではないが。

 それでも一度は挑戦しなければなにも分からない。

 日本の虹の塔を守る相手に関する情報は

 一つ、人型である。

 一つ、恐ろしく強い。

 一つ、なにやらひどく怒っている。

 これくらいしか分かっていないから自身の目で情報を得るしかないだろう。

 とは言え「失敗したらまた挑戦すれば良いじゃん?」みたいな気持ちで行ったら敗けそうなので一発で攻略する気でいなければならないだろう。


「マインも行くよ」

「え?」

「おんなじなら、マインの声は届くかも」

「……そうだな」


 怒っているのならその理由を知りたい。会話になるのは人であるオレより同族の燦覇の方が可能性があるか。


「じゃ、一緒に行こう」

「うん」

「まあその前に、燦覇はアイテムとジョーカーに名前をつけないとね」

「あい」

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