第64話 条件は殺害のみ!
タコの全てを食い尽くし『進化竜』はステージへと降りて来る。
「どうせここには贄が多い! む⁉」
贄呼ばわりされた時点で光の星・巡を起動させたオレ。無数の星が『進化竜』へと降り注ぎ――
「なんだ? 光の雨か?」
バトルオーラだけで全て防がれてしまった。硬い。
「よもや余への攻撃か! なんと脆弱!」
やかましいわ。
しかし無意味にやかましいのではない。その声自体に圧があり、人を怖気づかせるには充分だ。その証拠にオレとジョハ、燦覇を含めた数人以外のユーザーもパペットもあいつを恐れ数歩引いている。中には戦意を喪失し立ち去ろうとする人、尻もちをつく人もいた。
「逃がさんぞ!」
口を開ける『進化竜』。まさか!
開かれた口が閉じられる。立ち去ろうとした人、尻もちをつく人、それぞれのパペットの一部・あるいは全てを喰って。
「余の前から逃亡など謀るな! 許すはずがなかろう!
余の名はリュルアルンレン! 愛称であるリュウレイと呼ぶのを許そう! 余はリュウレイ! 捕食の頂! 『進化竜』を束ね指揮する皇帝! 竜帝リュウレイだ!」
名乗りを上げる『進化竜』。
捕食の頂。皇帝。竜帝。
そんな存在がいたのか。
だがそれなら。
「ウォーリアネーム【星の囀り】!」
オーバーレイ・フォース。
パペット星伽との同化を果たすオレ。
今この場でリュウレイを倒せれば確実に『進化竜』に大ダメージを負わせる事ができる。
「ほう?」
リュウレイの目がオレに向く。
「これだけ威嚇してもまだ向かってくる気力があるか!
認めよう!
そして貴様に応えこちらも備えよう!
来い! パペット・メイヤ!」
パペット! イレは特定のパペットを持たなかったがこいつは違うのか。
「贄でも良いのだがな!
それでも充分貴様らを圧殺できよう!
だが余はパペットを持つ! より良く自らの力を上げる為により良い剣を持つ!
そうしてこそ戦士と言うものだ!」
叫ぶように話すリュウレイ。楽しげに話すリュウレイ。
左目に浮かぶ『覇紋』はゴールドの雷撃。
彼の周囲を泳ぐように浮かぶパペットは――魚、か?
シャチほどの白い体躯に翼のように伸びるゴールドの雷のヒレ。
これが、竜帝を名乗るリュウレイのパペット。
戦士である為に獲得した剣か。
更に。
「ウォーリアネーム【鳴れよ】!」
同化を果たすリュウレイ。
翼竜の翼の上に備わるはゴールドの雷翼。眩い『凛凛翼』だ。
「名を聞こう人間!」
「天嬢 涙覇!」
「……涙覇? 聞いた名だ。
少々待て」
ほう、響いてんのかオレの名前。
待てと言ったリュウレイは【覇】を使用しなにやら検索をかけている様子だ。
「そうか、理解した。
パペットウォーリア日本・西京地区エリアチャンプ涙覇!
懸けられた賞金は円にして一億! 条件は殺害のみ!」
「んな」




