第61話 参加するかい?
エスカレーターと階段とエレベーター、どれを使おうかと悩んだが早歩き状態の燦覇は階段を選んだ。のんびりするのは今は無理のようで。
「おっきー」
三階に入るとドーム内全体が見渡せた。
リトルドームは直径五百メートル。リトルとは言うもののかなりの広さを持っている。巨大なパペット同士のバトルに対応する必要があるからだ。
今、中央ではオレの知らないパペットとユーザー、即ちパペットウォーリアがバトル中。
「凄いね涙覇!」
「ああ」
パペットとアイテムを有すユーザーによるタッグバトルは大いにドーム内を盛り上げていた。
今は一組対一組だが一日一度行われるバトルロイヤルでは飛び入り参加もオッケーだ。今日はそこに燦覇と参加してみようと思う。いきなりの活躍は無理だろうがバトルの雰囲気だけでも味わえればパペットの成長に大いに役立つと思うから。
「涙覇、お菓子」
「はいよ」
売り子のお姉さんが近くを通りかかった。それをしっかり見つけた燦覇にジュースとポップコーンを買ってあげて、オレもジュースを買った。
一つ、バトルが終了した。
別の二組がステージに登壇しバトル開始。終了。
それを何度か繰り返し、お昼の十二時。
ドーム内のレストランに入って軽く食事を。
席に着いてテーブルをタップ、するとメニューが浮かび上がり、そこから食べたいものを更にタップする。するとテーブルから光の粒子が出てきてなんとお皿と料理になった。これでちゃんと栄養も摂れると言うのだから凄まじい。
「燦覇、慌てて食べると太っちゃうよ」
「それは困る」
急いで食べようとする燦覇に落ち着いてもらった。ゆっくりしっかり噛んで食べないとね。
「この後十三時からバトルロイヤルだ。
燦覇、参加するかい?」
「する!」
「了解」
食事を終えてレストランのある二階から一階へ。
もう多くのバトルロイヤル参加者がステージに上がっていてオレたちもそれに加わった。
「星伽」
夫婦獣、顕現。
皓月はずっと顕現状態だからそのまま。
『バトルロイヤル開始まで二分を切りました! 参加ウォーリアの皆さまはステージへお願いします!』
実況のお姉さんの声が響く。
『一分三十秒前! ステージを決定します!』
ステージ上にルーレットが現れ回転を始め――止まった。
『海岸ステージに決定! 展開します!』
お、ウェディンと戦った事のあるステージだ。
光が集まり、海岸線のホログラムが浮かび上がって、オーバーレイ・サードにより質量が与えられて実体化。足が自然と持ち上がる。
「水だ。しょっぱいよ」
「海水だよ、燦覇。塩がいっぱい溶け込んでいるんだ。
今みたいに指につけて舐めるくらいなら良いけどいっぱい飲むと体に悪いから気をつけて」
『一分前です! 参加はここまで! ここまででお願いしますね!』
「さ、始まるよ燦覇」
「うん」
『バトル開始まで――
10!
3!
2!
1!
バトルスタ―――――――――ト!』
さあ、行こうか!