表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/63

第57話 とても……恐ろしい感情だけが湧いて来た

涙覇(るいは)


 夕食の準備の手を止めて、父さん。


「それに、燦覇(さんは)


 同じく手を止めて燦覇の傍へ、母さん。足を曲げて燦覇の目線に自分の目線を合わせる。


「まず、初めまして。涙覇の母の涙月(るつき)です」

「初めまして。父の(よい)だよ」


 燦覇の右手を母さんが、左手を父さんがとって握手。

 燦覇はオレの顔を見上げて、オレは一つ頷く。大丈夫だ、と言う意味を込めて。


「えと。燦覇。です」

「はーい良くできましたー」

「わぷ」


 ぶんぶんぶんぶん握手した手を大きく振りハグをする母である。フレンドリー。


「涙覇、この子についてだけど」

「ああ、うん、父さん」

「しばらくはオレたち家族と『星冠(ほしかむり)』最高管理、それと【王室エポック・リンク】だけの秘密にしよう」

「え、良いの?」


星冠(ほしかむり)』――父さん母さんの所属するサイバー関連のガーディアンだ。


「ああ。広めれば燦覇を利用しようとする連中が絶対に現れる。

 それは望まないだろう?」

「うん」

「バレて誰かから非難されてもその時は父さんが矢面に立とう」

「ワタシもだよ、宵。ワタシは宵の横にいるから」

「あ、ああ。そうだね」


 少し照れて、父さん。

 相変わらず少年少女のように愛し合っている二人である。


「だから涙覇は普通にこの子、燦覇と一緒にいれば良いさ」

「もちろん燦覇が望んでくれるなら、だけどね。

 燦覇? どこにいたい?」

「涙覇のとこ!」

「オオ良い返事だ。息子がモテる、母冥利に尽きるわあ」


 モテ……。


「さて、夕食の準備は後五分くらいかかる。

 その間にウェディンにも教えてあげな。涙覇の報告を待っているんだろう?」

「うん、そうする。

 あ、そうだ。

 ひょっとしてなんだけど『たすけて』って声、聞いた?」

「そうか、涙覇も聞いたか」


 今のセリフだけで全て理解したと言う事はやはり父さんたちも聞いていたか。


「すぐに色んな機関の分析が入ったんだけどね、声が響いたのは日本だけじゃなくて世界の各地。

 人に聞こえるように発せられて、パペットにも届いている」

「え? そうなん星伽(ほしとぎ)?」


 母さんに言われオレのパペット星伽、オスの(せき)とメスの(きょく)に聞いてみる。

 問われた夫婦獣はと言うと。


『聞いてたよ』

「そっか。てか言ってくれよ」

『震えていたから』

「震えていた?」

『とても……恐ろしい感情だけが湧いて来た』

「え?」


 そんな風には聞こえなかったんだけど。少なくともオレの耳には。

 人とパペットで受け取った感情が違うのか?


「ワタシたちのパペットも同じ反応だったよ。今も震えている。

 だからパペットにも関連する事象だと思って分析中」

「父さんたちの方でなにか分かって、共有の許可が出たら教えるよ」

「ん。分かった。

 んじゃ一先ずここまでの流れをウェディンに伝えて来るね」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ