表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/90

第13話 オレは挑戦するよ

「以上がフィフスの詳細だ」

 

 父さん母さんからフィフスがどのようなものなのか聞いてオレとウェディンは息を呑んだ。

 成程、できれば奇跡。それほどの力を秘めている。できればの話だが。

 しかし二人から聞いた話では失敗する確率の方が遥かに高い。挑戦するのが恐ろしい。

 が、ゼロとひと悶着あった以上フィフスを超えねばいつか狩られるだろう。誰かが護ってくれるなんて安心してはいけない。それは信頼ではないのだから。

 そして信頼があったとしてもオレがなにもしなくて良いと言う話にはならないはずだ。

 だから。

 

「オレは挑戦するよ」

 

 三人がオレを見る。心配と信頼が混じった目で。

 

「やらせてほしい」

「……超えられるな?」

「必ず」

 

 父さんの問いに迷わず応える。それに父さんは頷き、母さんは一度父さんを見てオレを見て頷き、続いてウェディンは――

 

「ウェディンは少し待って」

「え?」

 

 ウェディンがなにか言いたそうに口を開きかけたところで母さんが待ったをかけた。

 

「昨日の戦闘でウェディンが日本にこっそり来てパペットバトルに興じているのが御両親にバレたから」

「げ」

 

 げ、って……お姫さま。

 

「けど責める気はないと思うよ。その気ならとっくにしているだろうから。

 昨日のウェディンの参戦がマスコミから出てこないのも御両親が抑えているからだしね」

「え、そうなんですか?」

「うん。帰ったらきちんとお礼を言った方が良いよ。

 で、フィフスなのだけれど、御両親の許可なしで挑戦はさせられない。

 分かるよね?」

「……はい」

 

 身分的にも。家族としても。

 

「ダメだって言われたら説得します。

 私も涙覇(るいは)の横にいたいから」

 

 ん。

 手を握られた。少し震える手、それでも力強く握ってくる手だ。

 父さんと母さんは目を合わせて苦笑するように笑んで。多分だけど自分たちの青春時代を思い出しているのだろう。「ワタシたちもこうだったよねぇ」「まあな」って感じで。

 

「分かった。

 それじゃあ涙覇はオレと母さんが見ている前で挑戦を。

 ウェディンは一度戻って御両親に逢う。

 これで良いかな?」

「うん」

「OKです」

「ウェディンは涙覇の挑戦を見てから帰るかい?」

「はい。見届けたいです」

 

 オレが失敗する可能性なんて微塵も感じていない堂々とした表情だ。信じて、オレの挑戦と成功を自らの勇気に変えようとしているのだろう。

 ますます失敗できないな。いや、失敗する気なんてないが。

 

「じゃ、早速やるよ」

 

 気持ちが上向いている今。

 勇気が溢れている今。

 オレは一歩を踏み出すのだ。

 三人からちょっとだけ距離を取ってまずは。

 

星伽(ほしとぎ)

 

 パペット顕現。続いて。

 

「ウォーリアネーム【星の(さえず)り】」

 

 パペットとの同化。

 フィフスへはこの状態での挑戦となる。

 空気を大きく吸って吐いて、もう一度大きく吸って吐いて、吸って。体の中の空気を新鮮なものにして――

 

「【(トリ)】――エスペラント」

 

オーバーレイ・フィフス、パペットへの『人権授与』起動。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ