第105話 涙覇、覗きに来る?
「ん~」
劇場エリアを出て、燦覇は大きく伸びをした。
「緊張したー」
していたのか……。
「そうね。
なにせ相手は『神赦譜術教会』のトップだったのだから」
「サアがいたから最後の方は緊張も解けたけどね」
「ね。良い子で良かった。
これからアメリカに着くまでどうする?」
『天の精』はまだ空を走っている。
下を眺めているのも良いのだが流石にこれが数時間も続くと他になにかやりたくなってくるだろう。
「オレちょっとシャワー浴びてくるよ。
緊張で汗かいたから軽く流しときたい。
二人は?」
「私もそうしようかな。
身だしなみは大切だから。
特にステイさん見たあとだとよ~く理解できる」
「ああ……凄いきっちりしてたな」
「それでいてナチュラル。
憧れるなあ」
うっとりと。どうやら女性として刺激を受けたらしい。
「う~ん、ウェディンは今のままでも良いんじゃないかな?」
「え、なんで?」
「一緒にいて自然体でいられるから」
ちょっと驚き、目を細めるウェディン。
「……うれしい反面複雑でもあるなそれ」
「あれ? 褒めたつもりだったんだけど」
「女心はいろいろあるのよ。
ま、涙覇のこれからに期待しとく」
「?」
「燦覇、燦覇はどうする? 一緒に行く?」
「待ってるの退屈だから行くー」
「ふふ、了解。
さ、シャワー行きましょ」
この船のシャワーエリアには三種類のルームがある。
一つ、女性用。
一つ、男性用。
一つ、男女兼用。
男女兼用があるのは心と体の性が一致していない人の為だ。
「じゃ、私たちはこっち」
「オレはこっち。十分もあれば出てくるから待ってるよ」
「うん。
それじゃしばしバイバイ」
「またな~」
「涙覇、覗きに来る?」
「行かないって燦覇」
そもそも覗けるような形にできてないし。いやどんな形でも覗かないが?
手を軽く振りながらそれぞれシャワールームの扉を横にスライドさせ開けて、中へ。
因みにシャワーは無料で使用できる。
で、オレはまず男性用のシャワーに向かったのだが全て使用中だった。
なので男女兼用の方に向かって、一つの空きを見つけた。早速入ろうと思ってドアを開けたのだが……固まってしまう。オレ、動けず。
なぜか? だってドアを開けたところで裸のサアと対面してしまったからである。




