(4)
なんて意気込んではいたものの赤ん坊に出来ることなんて、よく遊んで食べて寝るぐらいで、無事に4歳になった。
歩けるようになって、自分の顔を鏡で初めて見た時に思い出したことがある。
小説のユリアが根暗になった原因がこの見た目である。
社交界の妖精と言われている母とは、全く似ていないのだ。
真っ黒な髪に気の強そうな吊り上がった目、瞳の色は赤色寄りの紫色と父の特徴を色濃く受け継いでいる。
顔立ちのはっきりとした美少女だ。
しかし強そうな見た目の反対に、性格は内向的。
容姿をからかわれ何も言い返せずに、内向的な性格に拍車がかかるという悪循環。
どの様なことを言われたのかは、小説には書かれていないが様々なゲームや小説の知識がある私には何の問題もない。
元々、内向的な性格でもないし小説は小説だしね。
と、考えているユリアだが現在絶賛早起き中。
「きょうは、どおしてはやくおきて、おきがえしてるの?」
私の髪の毛を必死で巻いているメイドのサラに眠い目を擦りながら聞いてみる。
そして、サラよ。私の髪の毛はお父様似の鋼の様な直毛で巻くのは不可能だと思う。
「今日は、奥様とお城へ行ってお菓子を食べたりするんですよ。お友達もできるといいですね。」
髪の毛を巻くのは諦めたのか、今度は髪飾りを選んでいる。
「おしろ?」
「お嬢様は、今までずっとお屋敷におりましたから今日はきっと楽しいですよ。はい、終わりましたよ。」
と言われ、鏡を見ていると自分で言うのもどうかと思うが中々の美少女だ。
髪はツインテールでドレスは濃いめのピンク。
少しよそ行きの格好で、さらにはお城でお菓子が食べれると聞いてウキウキしないはずがない。
少し浮かれていたユリアは、お城とお菓子の単語に気を取られ『お友達』という単語を聞き逃していたのだった。