プロローグ
とある裏路地を大きい紙袋を抱えた一人の男が必死で走っていた。その様子はまるで化け物から逃げているようだ。
(やべえ、なんでばれた。俺は一般人に完璧に紛れていたはずなのに。紙袋が大きすぎたか?買い物帰りだと考えれば普通にありえる大きさのはず、だったら何故ばれた。紙袋を捨てればいいのか?)
男は考えた、自身の正体がばれた理由やこれからどうやって逃げるか。
しかしそんな努力も虚しく男の頭は次の瞬間地面に落ちた。
「何が起こった…」
コツコツと奥のほうから男の頭を切り落とした人物のものであろう音がする。その音はどんどんと近づいてきた。
音は止まった、その代わりに声がした。
「私の顔を見た瞬間逃げるなんて、それも化け物を見たような顔で、とても悲しいわ。」
その人物は言葉とは裏腹にとても楽しげに答えた。その声には幼さがあり、年齢で例えるなら16歳くらいの少女だろうか、ともかく大人でないのは確かだ。
またしても少女は楽しげに話はじめた。
「ごきげんようおじさん、死ぬ前にお時間いただいてもよろしいかしら?」
その問いに男は頭だけになった状態で少女に問い返した。男の能力は、再生。時間を稼げば逃げれる、それどころか少女を倒せるはずだ。
「俺も聞きたいことがある、お前は誰だ」
少女は一瞬驚いた顔をしたがすぐに先ほどの顔に戻り、
「あら、私としたことが、自己紹介がまだでした。はじめまして、私は琴乃葉 零と申します。」
答えを聞いた瞬間男は理解した。勝てないと。
それはそのはず、なぜなら少女は、琴乃葉 零は世界に5人しかいないといわれる最強のランク「S」ランク能力者の一人なのだから。
はじめまして、春夏と申します。
初連載なため至らぬ点もあると思いますがよろしくお願いします。