第6話。男女機会均等法。
作者メモ。
史実では、戯志才の字は不明ですが、本作では「志才」の方をこそ字だと推定し、諱を新しく創作し顓としました。
理由は、戯志才が生まれた頃に在位だった桓帝(劉志)の諱を避諱して「志」の文字は用いない筈だという解釈です。
実際に、作者調べによると三国志で志の文字を諱に用いる人物は見当たりません(いたら、ごめんなさい)。
字の避諱は諱よりは緩いようです。
史渙の字は公劉……ちゃっかり天子の姓を使っていますからね。
そもそも、戯志才は、後に郭嘉をドラマチックに登場させバトンタッチする目的の為だけに創作された架空の人物という説もありますが……。
架空の人物説が事実なら、ファンタジーや小説ではない史書に架空の人物を登場させるのは流石にアウトでしょう……陳寿さん。
「三国王と並ぶ神仙とは、どのような方々なのですか?」
孔融が興味を示した。
私の戦闘力は、それを示威した相手には「口外しないように」と口止めしているけれど、人の口に戸は立てられないから、漢の朝廷内で起きた事に聡い者なら色々な噂を耳にした事があるだろう。
曰く「巨岩を素手で殴って粉々に砕いた」とか、曰く「弓を射られて、生身で矢を弾き返した」とか、曰く「敵対的な人間に対して、雷を落として丸焦げにした」とか……。
その私に匹敵(実際には、私には全く敵わないけれど……)する強者が他にもいると聴けば、興味を惹かれるに違いない。
「塔里木帝国の女帝婉姈と、戦姫と賢姫という者達です」
戦姫と賢姫は、もちろん実名ではない。
塔里木帝国には字を名乗る習慣がないので、帝国民が2人に敬愛と畏怖を表して呼んだ尊称みたいなものだ。
戦姫が麻姑で、賢姫が嬋娟と言う。
私の陣営には、仙姫や戦姫や軍姫の他にも剣妃とか弓姫とか匠姫とか厨姫とか、妃やら姫が色々といるんだよ。
「何と!皆、女士なのですか?」
孔融が驚く。
「私も女ですが、何か?」
「い、いえ……」
一応、儒学には「男尊女卑」という思想はないらしい。
少なくとも、孔丘(孔子)の言葉を記録した一次文献に具体的な言及はないそうだ。
端々に、そう感じるニュアンスは散見されるけれどね。
でも、漢代の官吏は、基本的に男性しかなれない。
漢で最も影響力がある思想体系の儒学で「男女機会均等」が明言されていれば、こんな偏った公務員採用制度にはなっていないだろう。
儒学が「男尊女卑」を積極的に肯定しないまでも、黙認して来たのは間違いない。
そして孔融は、その儒学の宗家の人間だ。
「儒学が悪い思想だ」なんて断言するつもりはないけれど、一部に改善されるべき内容が含まれるなら、孔融は儒学の宗家として批判の矛先を向けられる事もある。
先祖の事績は、本来なら子孫(孔融)には全く責任がない話だけれど、逆の場合に孔融は、「儒学の宗家」というだけの理由で、世間から自らの功績でない事で尊敬され様々な既得権の恩恵に浴しているのだから「行って来い」という訳だ。
ま、男尊女卑的な風潮は、漢を含めて古代世界には頻出する遅れた価値基準であり慣習であり常識なのだから、孔融(孔子の子孫)1人の責任を論って苛めるのも可哀想だけれどさ。
「私も含めて、その4人がおそらく西域最強でしょうね」
本当は世界最強……いや、現代(未来)世界も含めた人類史上最強だと思う。
私が知る限り、厚さ3cmの鋼鉄に拳で穴を開けられる人間なんかいないからね。
私は勿論だけれど、戦姫と呼ばれる麻姑ならば、ティラノサウルスとだって素手の殴り合いで勝つかもしれない。
「荀諝君殿(荀爽)から、塔里木は女性優位の母権制の社会だと伺いましたが、それも塔里木では女の方が強いからですか?そして、男は簪を刺して庖(台所)に立つのですかな?わははは……はは……」
孔融は、「面白いジョークを言ってやった」という様子で笑った後、私が全く笑っていない事に気付いて表情が固まる。
「いいえ。私達4人が強いのは特別です。塔里木帝国の女性達も、漢の女性達と基本的な性質において何ら差はありません。塔里木帝国が母権制なのは、国民の中に元々母権制の習慣があった遊牧民が多い事と、君主が女帝の婉姈だったからです。漢の天子(皇帝)が男性で、漢が父権制だという理屈と同じだと思います。それから、孔大儒殿(優れた儒学者。孔融の事)、生理学的な違いこそあれ男性と女性には本質的に優劣も貴賎もありませんよ。陳神君老師(神のように偉大な君子。陳寔)でも、私の前で『男性だから』とか『女性なのに』というような類の話はしません。私が不機嫌になるからです」
「あ、いや……」
孔融は、冷や汗を流した。
「まあまあ、三国王。文挙殿(孔融)の仰った事には、王の威を貶めるような意図はありますまい」
王允が私を宥めようとする。
「仙姫様。ここは私に免じて穏便に……」
荀爽も間に入ろうとした。
「王刺史殿(王允)、慈明先生(荀爽)。お2人は、ご存知かと思いますが、潁川には『男女機会均等法』という法がございます。これは、男女の扱いや待遇に実害を伴う優劣や貴賎を付けるような事は違法とするものです。潁川の王たる私が潁川法を蔑ろにしていると思われたら、民が潁川法を守ろうという意気を損ねます。もしかしたら、孔大儒殿(孔融)も、朱左中郎将殿(朱儁)のように潁川法をご存知ないといけないと思い、敢えて耳障りな事を申し上げました。お許し下さい」
私は、孔融に対して頭を下げる。
「滅相もない事です。私が浅慮でございました。申し訳ありません」
孔融も頭を下げて謝罪した。
「いいえ。孔大儒殿(孔融)が言った戯言は、実害を伴っておりませんので適法の範囲内です。しかし、そのような戯言を日常的に仰られていると、不用意に適法の範囲を逸脱して、この潁川では罪に問われる懸念もあります。どうか、以後はお気を付け下さいませ」
私は、孔融が口を滑らせた事について、「この場限りの事として水に流し、遺恨はない」という意味でニコリと笑って見せる。
「分かりました。肝に銘じます」
孔融も安心したように笑顔になった。
孔融が自分に非があると認めて謝罪し、私もそれを許したので、腰を半ば浮かせて本格的に仲裁に入ろうとしていた荀爽は「ほっ」と息を吐いて腰を下ろす。
私が、孔融のジョークに嫌味を言って場の空気が少しピリ付いたので、軍議を兼ねた宴席はお開きとなった。
朱儁は、私が用意した高級な宿ではなく、自分が率いる軍が守衛代わりに駐屯している北門に向かって「兵達と一緒に眠る」と言って退室して行く。
なるほど。
グズ野郎の朱儁も、1軍の指揮官として隷下の将兵と寝食を共にする武人の矜持は持ち合わせているらしい。
少しだけ見直した。
「私も、この後長社の地元有力者達との会合に出席しなければなりませんので、お先に失礼致します」
鍾繇も席を立つ。
鍾繇は、地元長社の出身だ。
長社の地元有力者達とは、昔からの縁故があって顔が利く。
長社の住民も「地元の事情を良く知っている鍾県令様は話が分かる」と頼りにするだろうしね。
因みに、漢の慣例では、郡太守や県令に地元の者は就任出来ない。
地元有力者との癒着による賄賂や不正な利益誘導など汚職を恐れるからだ。
でも、私は、その慣例を破って潁川各地の県令には地元出身者を積極的に登用している。
その方が地域事情を把握して問題に対応し易いからだ。
癒着?
汚職?
最強のスパイ組織である禹歩党を配下に抱える私の下で、そんな事が出来ると思うなら、やってみれば良いよ。
そんな命知らずは、私の陣営にはいない。
「私も、そっちに顔を出そうか?」
私は、鍾繇に訊ねた。
「いいえ。『いつまで、この籠城が続くのか?』とか『賊軍に踏み荒らされたり略奪された田畑の損失補填をして欲しい」というような苦情や陳情を聴き、宥める役目です。王が自ら対応するまでもありません」
鍾繇は、首を振る。
「そう?面倒を掛けて済まないね。ありがとう」
「その御言葉を頂けただけで十分でございます。では皆様、私はこれにて……」
鍾繇は、一同に礼をして退室した。
その場には、私と潁川国府の軍団を統率する軍師の荀攸、私専属の親衛隊長の関羽、私付きの秘書の司馬徽、禹歩党の頭領の左慈、豫州刺史の王允と彼の幕僚の孔融と荀爽、右中郎将の皇甫嵩が残る。
この人達は、全員が私の配下や友好的な人達や友人だ。
部外者の朱儁がいなくなったので、この後は機密性が高い話も出来る。
朱儁と入れ替わりで、戯顓と項桓と項鴛が入室して来た。
戯顓は、荀攸付きの参謀で、元は私の食客だった。
現代の人には、「戯志才」という字の方が有名だろう。
項桓と項鴛の兄弟は、関羽配下の卒長(百人隊長みたいなもの)で、元は陽翟の浮浪児だった。
私が潁川王に封ぜられた直後、真っ先に着手した仕事が潁川中から孤児や捨子や浮浪児、それから大人の浮浪者を全員引き取って来て保護する事だったんだよ。
大人達には家と仕事を与え、子供達は私の屋敷に引き取って養育した。
だから、項桓達は、私の養子みたいなものだね。
項桓達は、私を育ての母親か命の恩人とでも思っているらしく、異常に忠誠心が厚くて私を守る為なら喜んで命を投げ捨てようとするから、ちょっと困りものなんだよ。
私は神で不死身だから、守られる必要なんかないのにさ。
いつも私は、「命は大事に」って言い含めているんだけれど、保護された子供達(今は成人しているけれど)は誰も聞きゃあしないんだよ。
項兄弟の卒長という階級は、100人の部隊を指揮する。
漢代の軍の編成は、概して周代の軍制度を踏襲しているみたい。
兵5人で伍……指揮官は伍長。
伍2個10人で什……指揮官は什長。
伍5個25人で両……指揮官は両司馬。
両4個100人で卒……指揮官は卒長。
卒5個500人で旅……指揮官は旅長。
旅5個2500人で師……指揮官は師長。
師5個12500で軍……指揮官は軍長。
軍を統率する軍長は必ずしも将軍ではない。
漢代の将軍は大将軍・驃騎将軍・車騎将軍・衛将軍や、その他雑号将軍など、それぞれ固有の役職名なので、これらの官職に就いていなければ原則として何人の兵を率いていても「将軍」とは呼ばれない。
因みに、関羽が率いる私の親衛隊は総勢500人だから、関羽は旅長格だ。
そして、項兄弟のお兄ちゃんの項桓が関羽の副官という事になる。
親衛隊は人数が少ないけれど、全員がケブラー繊維の防刃ベストの上に軽量高硬度のチタン合金製の全身板金甲冑を装備して、西域名産の汗血馬に乗っている重装騎兵だから精鋭だ。
私の陣営は、騎兵なんか使わないのでは?
ま、親衛隊は私の近接近衛として目立って示威するのが仕事みたいな意味もあるし、実用より漢代の人達向けのアピール度を優先している。
ガチの戦争になったら、私の陣営は騎兵なんか使わずに塹壕からM1ガーランド(のコピー)とブローニングM2重機関銃(のコピー)の斉射で薙ぎ払うけれどね。
「元放。陽翟と許の様子は?」
私は、私の陣営のスパイ組織である禹歩党の頭領である左慈に訊ねた。
左慈と禹歩党のメンバーは、毎日塔里木帝国と潁川の城市や邑や重要拠点、それから漢の各地で情報収集や偵察や内定捜査をしている。
「はっ。許は、少数の賊軍別働隊が偵察に現れた以外、今のところ大きな問題はありません。陽翟は、車や荷駄を牽いた1万余りの賊軍が来襲し城外の田畑で略奪を働いています。但し、被害は菜物が中心で、稲や小麦は賊を討ち払った後に急いで田植え種蒔きをやり直せば、晩稲には間に合うとの事。その他、城外の建物の幾つかに火を放たれているようです。しかし、民は陽翟城に避難を完了し門を堅く閉じており、人的被害は出ておりません」
左慈が報告した。
「人的被害がなければ、作物なんかあげちゃえば良いよ」
漢の人達に、「戦事の文民に対する略奪を禁じたジュネーヴ条約」とか言っても通じないしね。
それに、田畑を全て略奪されて今期の潁川の収穫が0になっても、塔里木から食料を持って来れば誰も飢える事はない。
「陽翟にも敵が現れたとすると、戦姫様(麻姑)が、いつもの悪い癖を出して突撃して行かないか心配ですな」
関羽が髭を撫でながら呟く。
「雲長。麻姑の手綱は麒麟と晶華女士が握っているから大丈夫……だと思うよ。難攻不落の陽翟は、籠城していれば安全だからね」
麻姑は、さっきの孔融との話題で出た私の陣営最強の4人(私の種族は神だし、麻姑達の種族は仙なので、人か如何かは疑わしいけれど……)の内の1人で、現在は陽翟に置いて来て留守番をさせている。
あの脳筋の戦闘狂を前線(長社)に出すと、戦いたがって色々と面倒だからね。
私が統治する潁川の国府がある陽翟は、私が自重なしで現代知識と長年貯め込んだ神力を注ぎ込んで建造した堅牢な城壁と火器で守られている。
塔里木帝国の工廠で生産した火器を優先的に配備しているから、陽翟は砲門が多く、火力は長社より強大だ。
完全なチート火力を擁する陽翟の城塞都市は、長射程の火砲や爆撃機が登場する20世紀になるまでは力攻めをしても絶対に落とせない。
関羽が指摘したように、陽翟に残して来た麻姑が血気に逸って馬鹿をやらかさないか少し心配だけれど、事前に「今回の戦は、専守防衛に徹しろ」と口を酸っぱくして言い含めてある。
流石に、あの麻姑も私の命令には従う……と思うよ。
万が一何かあっても、麻姑は只の仙ではなく、最高級の神の加護を受けた最上位の仙だから、滅多な事では死なない。
今は、陽翟よりヤバい長社の状況に集中しよう。
現在数え15歳になって成人した麻姑は、私の陣営で私に次ぐ2番目の強さを誇るバケモノに育ってしまった。
豪傑の関羽と立ち会って1撃KOする暴力の権化なんだよ。
関羽が「青龍偃月刀」で思い切り斬り込んで、麻姑が「ただの鋼鉄の棒」で弾いたら、衝撃で関羽の腕がボッキリ折れたからね。
あの時は、関羽の折れた骨が肉と皮膚を貫いて露出していたから、直ぐに私が治療してやらなけりゃ、出血多量とか感染症とかで関羽がヤバかった……。
子供の頃から麻姑を鍛えて魔獣や妖魔の狩り方とかを教え込んだ犯人は私だけれど……ちょっとだけ育て方を間違えたかもしれない。
仙の序列は下から、羽士→仙人→飛仙→神仙、女性なら巫女→仙姑→天女→神仙だ。
この4段階の序列は、「地仙」(人間から昇仙した仙)と呼ばれる。
左慈が上から2番目の飛仙だ。
私の陣営には、人間が到達可能な最上位の神仙も居る。
それから、婉姈・麻姑・嬋娟の3人は「天仙」という特殊な仙だ。
天仙は、生まれながらの仙なので、人間が昇仙した地仙とは、全く別系統という事になる。
婉姈・麻姑・嬋娟は元人間なんだけれど、何故か天仙になってしまった。
これには、大分ややこしい事情があるので説明は省く。
そして、私は神。
私の陣営で最強なのは、もちろん私。
というか、私は不老不死で不死身なんだよ。
物理的な方法では殺しても死なないらしい。
何でか分からないけれど、私はこっちに転移した瞬間から神だった。
応竜によると、三国志織の記憶を持つ私の自我は、神の存在に同化しているだけであって、本来この私の「容れ物」は神そのもの。
説明を聞いても良く分からない。
ま、兎に角やるべき事をやれば、私は現代(未来)の日本の三国志織として、無事に戻れるそうだ。
その時は、こっちでの記憶は忘れるらしいけれど、その方が後腐れがないかもね。
なまじ「後漢時代から戻って来た」なんて記憶があると、普通の生活に戻れなくなるかもしれないからさ。
私は、四霊と呼ばれる、応竜、鳳凰、麒麟、霊亀の最高位神獣を4柱全て使役している。
そして、鳳凰を婉姈に、麒麟を麻姑に、霊亀を嬋娟に与えた。
あくまでも、四霊の主は私だから、貸しているだけだけれどね。
神獣とか瑞獣とか霊獣と呼ばれる不思議生物(生物なのか?)は、神である私と仙である婉姈や左慈達、それから神や不思議生物の加護を受けている人間には姿が見える。
でも、普通の人間には見えない。
人間をビビらす為に、応竜の姿を他人にも視認出来るようにする事はあるけれどね。
あれは効く。
私が、応竜の主だと知ると大概の人間は、私を畏怖して何でも言う事を聞いてくれるんだよ。
私は、あまり目立ちたくないから、応竜を顕現させるのは、よっぽどの場合だけれどね。
麒麟は、麻姑の相談役であり、馬の代わりだ。
麒麟は賢いし、足が速いし、空も飛べるから役に立つんだよ。
神の私は、麒麟より足が速くて自力で飛べるから、基本的に乗り物は必要ない。
私付きの四霊の1柱である応竜は、鱗が硬くて乗り心地が悪いし、飛ぶ時に体をくねらせるから乗り難いからね。
四霊達は、「最高位の神獣である我々を、下賤な畜生に過ぎない馬のような移動手段にするなんて……」と愚痴っているけれど、便利なものを使わないのはリソースの無駄使いだよ。
左慈にも饕餮と云う妖魔が憑いている。
ただし、饕餮は、四霊と敵対する側の「四凶」と呼ばれる本来は邪悪な不思議生物(たぶん生物じゃないよね?)だ。
私が饕餮をぶっ飛ばして、依代にしている左慈ごと調伏した訳。
以来、饕餮 は私の下僕になり、左慈は私に絶対服従を誓う忍になった。
私のやるべき事の1つが、この邪悪な魔獣や妖魔や怪異を駆逐する事なんだよ。
邪悪な魔獣や妖魔や怪異は、見付けたら取り敢えずシメておけば問題ない。
因みに、晶華女士というのは、私の陣営の商業活動を一手に取り仕切る政商楊文明商会の会頭である楊璞(楊文明)の奥方だ。
晶華は字で、姓と諱は徐昌という。
この晶華さんは仙ではなく普通の人間の筈なんだけれど、私が脳内で「さん」付けで呼ぶくらいヤバい人なんだよ。
神でも仙でもない一般カテゴリーなら、晶華さんが人類最強かもしれない。
私は、余り「男性だから……」とか「女性だから……」という括りで話したくないんだけれど、晶華さんは一見華奢な女性なのに関羽に何もさせず倒す剣の達人だ。
「撃剣」と云う暗殺剣らしい。
身体能力に頼って愛用の鋼鉄の棒を力任せに振り回すしか脳がなかった婉姈に、曲がりなりにも剣術と呼べる技術を教えているのも晶華さんだ。
晶華さんは、関羽の腕を簡単に破壊した麻姑の渾身の1撃ですら、涼しい顔で去なしてみせるからね。
あれが格闘ゲームとかにある「受け流し」なのかもしれない。
いつも剣術の指導で、膂力がティラノサウルス級の麻姑と普通に打ち合っている晶華さんを見ていると「普通って一体何だろう?」と思うよ。
晶華さんが調教師として手綱を握っていてくれるから、私は怪獣みたいな麻姑を陽翟の留守番に置いて来る事が出来た。
そして晶華さんの甥っ子(弟の子供)が、あの劉備の最初の軍師とも云われる徐福(徐庶)なんだよ。
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