表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/32

第2話。私の蕭何。

作者メモ。


あざなは、成人(数えで男性20歳、女性15歳)になると名乗る通名です。

基本的にあざなは漢字二文字で兄弟・姉妹の長幼が分かる法則があります。(例外はありますが……)

8人兄弟・姉妹の場合は、長子から伯(孟・元・長)→仲→叔→季→顕→恵→雅→幼(稚)という順番になります。

司馬家の8人兄弟(司馬八達)は、この法則通りで司馬懿(仲達)は次男ですし、曹操(孟徳)や孫策(伯符)などは長男だと判明します。


また、馬氏の5人兄弟(馬氏五常)の馬良(季常)・馬謖(幼常)は、それぞれ四男・五男だと判明し、2人には史書に名前が出て来ない(伯常・仲常・叔常)のあざなを持つ3人の兄がいると推定出来ます。


但し男子と女子は別々に法則が適用されるので、例えば女・男・男・女という順番で4人生まれた場合には、長女(伯)・長男(伯)・次男(仲)・次女(仲)という事になります。


伯・仲・叔・季などが全く使われない場合もあります。

兄・諸葛瑾(子瑜)、弟・諸葛亮(孔明)。

 漢の都市は、基本的に周囲を城壁で守られている。

 つまり、都市は城と同義だ。

 小さな集落でも大半は氏族が集住し土塁などの防衛機能を有する(ゆう)と呼ばれるコミュニティを形成する。


 歴史的に様々な異民族の侵入に悩まされて来た中国大陸では、防衛機能がないとコミュニティを維持出来ない。

 また、余りにも国土が広過ぎて地方に目が届き(にく)く、中央集権の(たが)が緩むと反乱が起き易いという難しい事情もある。


 後代にユーラシア大陸を、あと一歩の所で征服し掛けた最強のモンゴル帝国も短期間で四分五裂(しぶんごれつ)した。

 今でこそ滅び掛けているとはいえ、漢が400年も広大な領土の統治を維持して来たのは、十分に偉業と呼んで差し支えないんだよ。


 そういう意味で、四方を海に囲まれた手頃な広さの日本は幸せなのかもしれない。


 現在、私がいる城塞都市の長社(ちょうしゃ)は、黄巾の賊軍(約10万人)による包囲を受けていた。

 私は、長社(ちょうしゃ)県府に仮設された本陣にいる。


 行政区分上、長社(ちょうしゃ)県や陽翟(ようてき)県の上位に、潁川(えいせん)()がある。

 その上が豫州(よしゅう)で、その上が漢だ。


 国と言っても、潁川(えいせん)は漢の一地方自治体に過ぎない。

 本来なら、豫州(よしゅう)の中にある郡という位置付けになる。


 ただし、王の称号を持つ者が郡の統治者に(ほう)ぜられた際には、自治体の呼称が郡ではなく国に変わるのだ。

 従って、漢代の王は、天子(皇帝)の臣下の1人に過ぎない。


 私が統治する潁川(えいせん)の上位行政区分の豫州(よしゅう)内には、他にも(ちん)国や(りょう)国や(はい)国や()国などの王国を称する郡があり、それぞれ漢の皇族の(りゅう)氏が(ほう)ぜられている。

 豫州(よしゅう)6郡で国を称さない郡は、史実では潁川(えいせん)汝南(じょなん)の2郡だが、現在の世界線では私が潁川(えいせん)王に(ほう)ぜられたから、汝南(じょなん)1郡しかない。


 豫州(よしゅう)に王国が多いのは、天子(皇帝)が(おわ)す都の雒陽(らくよう)洛陽(らくよう))に近いという理由もあるけれど、土地が肥沃で人口も多く豊かだからだ。

 豊かだから、漢の皇族が(ほう)ぜられて甘い汁を吸っている訳。


 つまり、潁川(えいせん)は、王の称号を持つ私が統治するから、国を称する。

 そう、私は女王様(SMのではない)なんだよ。


元常(げんじょう)先生。物資は足りている?」

 私は、長社(ちょうしゃ)の県令(知事)である鍾繇(しょうよう)に訊ねる。


 元常(げんじょう)は、鍾繇(しょうよう)(あざな)だ。


「はい。陳真君(ちんしんくん)様から十分な兵糧を送って頂きましたので、この先1年でも2年でも籠城(ろうじょう)に耐えられます」

 鍾繇(しょうよう)は、答える。


 鍾繇(しょうよう)は、日本とも関係が深い。

 史実の鍾繇(しょうよう)は、政治家や官吏(官僚)であると同時に高名な書家でもあった。

 日本語の漢字表記で字体を崩さない楷書は、実は鍾繇(しょうよう)が書いた鍾繇体(しょうようたい)が元になっている。


「そんなに長く籠城する気はないよ。あと数日もすれば、季方(きほう)先生(陳諶(ちんしん))が、(そう)騎都尉(きとい)殿(曹操(そうそう))を連れて戻って来る。援軍が到着して城の内外から挟撃する格好になれば、賊軍は不利を悟って撤退するだろうからね」


陳真君(ちんしんくん)様(陳紀(ちんき))からは、『必要ならば追加の物資も送る』と言われておりますが?」


元方(げんほう)先生(陳紀(ちんき))は、用意周到で万事に滞りがないからね。でも、たぶん追加物資は必要ないよ」


 私は、この黄巾の乱の長社(ちょうしゃ)の戦いの結末が、史実で如何(どう)なるか知っているからね。

 歴史の修正力が働くなら、長社(ちょうしゃ)の包囲は1年も続かない。


「畏まりました」


 陳真君(ちんしんくん)とは、私が漢の天子(皇帝)から諸侯王として(ほう)ぜられた潁川(えいせん)王国相(おうこくしょう)(宰相)である陳紀(ちんき)の敬称だ。

(ちん)さん()(まこと)の徳を身に付けた偉い君子」という意味らしい。


 漢から時代を遡って戦国時代に活躍した四君(しくん)……つまり、(せい)孟嘗君(もうしょうくん)田文(でんぶん))・(ちょう)平原君(へいげんくん)趙勝(ちょうしょう))・()信陵君(しんりょうくん)魏無忌(ぎぶき))・()春申君(しゅんしんくん)黄歇(こうけつ))みたいなものだ。


 陳紀(ちんき)は、曹操(そうそう)に援軍を頼みに行っている陳諶(ちんしん)の兄で、後代に()朝を建てる曹丕(そうひ)の元で「九品(きゅうひん)官人法(かんじんほう)」を起草する陳羣(ちんぐん)の父親でもある。


 (しょう)とは、「補佐する者」の意味だ。

 本来、後漢の王の補佐官は、諸侯相(しょこうしょう)と呼ばれる。

 諸侯相(しょこうしょう)は、漢の封建領主である諸侯王の領地を実質的に統治・運営する役割。


 漢の諸侯王は、基本的に皇族がなるから、能力ではなく血筋が採用基準だ。

 だから、王の中には、とんでもない無能もいる。

 なので、王に代わって政務を執り仕切れる有能な補佐官が必要な訳。


 その諸侯相(しょこうしょう)と、陳紀(ちんき)の官職である王国相(おうこくしょう)との違いは?


 それは、潁川(えいせん)王である私の家門が三国(みくに)氏だからだ。


 後漢では、原則として王は天子(皇帝)の一族((りゅう)氏)しかなれない。

 例外は、別姓でも特別に素晴らしい功績があった者か、漢に朝貢(ちょうこう)して天子(皇帝)から冊封(さくほう)された外国の君主の場合だ。


 私は、()()後者の範疇に入る。


 私は、()()()塔里木(タリム)帝国の女帝の全権代理という立場だ。

 本当は、神様なんだけれどね。


 外国の王の代理である私が、何で漢の国内に領地を持つのか?


 ま、私にも色々とややこしい事情があるんだよ。


 だから、陳紀(ちんき)は、漢の皇族である((りゅう)氏)の王を補佐する諸侯相(しょこうしょう)ではなく、漢から冊封された外国の王の補佐をする王国相(おうこくしょう)と呼ばれて、格式も一段高い。


 三国志の三国……つまり、()()(しょく)の君主達も、皇帝を名乗る前に、それぞれ()王・()王・漢中(かんちゅう)王を名乗っている。

 三国の内、漢の天子(皇帝)から王に(ほう)ぜられたのは、()王の曹操(そうそう)曹丕(そうひ)の親子2人だけだ。


 ()王の孫権(そんけん)は、()王の曹丕(そうひ)が後漢最後の天子(皇帝)である献帝(けんてい)から禅譲(ぜんじょう)を受けて皇帝に即位した後、曹丕(そうひ)の皇帝位を承認して臣下の礼を取った功績で()王に(ほう)ぜられたので、正式な王だけれど任命者は漢の天子(皇帝)ではない。


 漢中(かんちゅう)王の劉備(りゅうび)に至っては、誰からも(ほう)ぜられずに勝手に王を僭称(せんしょう)している。

 劉備(りゅうび)(しょく)王ではなく漢中(かんちゅう)王を自称したのは、漢の高祖劉邦(りゅうほう)が皇帝になる前、漢中(かんちゅう)王だった先例に(なら)ったからだ。

 劉備(りゅうび)は、「漢の天子(皇帝)が、曹丕(そうひ)禅譲(ぜんじょう)したのは脅迫されたからで、曹丕(そうひ)の行いは簒奪(さんだつ)であり、絶対に認められない。私は、この邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)曹丕(そうひ)を打倒する。そして、漢の皇族である(りゅう)氏の自分こそが、漢室の正当な後継者だ。従って、自分は高祖劉邦(りゅうほう)と同じく漢中(かんちゅう)王になった後に、曹丕(そうひ)を倒して漢の天子(皇帝)になるのだ」と喧伝(けんでん)したいんだろう。


 漢中(かんちゅう)王に俺はなる!


 ま、これはプロパガンダで、劉備(りゅうび)が本当に漢の天子(皇帝)の血筋か如何(どう)かは、かなり怪しい話なんだけれどね。

 劉備(りゅうび)が自分の先祖だと主張している前漢の皇族で中山靖王(ちゅうざんせいおう)劉勝(りゅうしょう)は120人も子供がいたらしく、その内の誰かが劉備(りゅうび)の先祖という可能性もワン・チャンあるかもしれない。

 でも、逆に言えば、劉勝(りゅうしょう)は子供が多過ぎて子供全員の系統を完全には辿れないから、劉備(りゅうび)が漢の皇族の血筋を詐称していても事実確認が困難な訳だ。


 DNA検査なんかない時代だからね。


 因みに、一般的に(しょく)と呼ばれる劉備(りゅうび)が興した国の名前は、彼の陣営では季漢(きかん)と呼ばれている。

 ()とは末っ子を意味する言葉だ。

 高祖劉邦(りゅうほう)が建てた漢は、王莽(おうもう)簒奪(さんだつ)して一度は滅亡し、漢王朝の皇族であった劉秀(りゅうしゅう)光武帝(こうぶてい))が再興した。


 王莽(おうもう)以前の漢が前漢で、王莽(おうもう)以後の漢が後漢。

 劉備(りゅうび)は、王莽(おうもう) と同じ簒奪(さんだつ)者である曹丕(そうひ)を倒して漢に戻し、以降は自分の子孫によって永遠に王朝を存続させる事を目指したので、前漢・後漢・季漢(末っ子の漢王朝)という理屈になる。


 ま、それらの歴史的経緯は、今の世界線では未だ起きていない()()の出来事なんだけれどね。


 私が神様として君臨し庇護する塔里木(タリム)帝国の女帝は婉姈(えんれい)と言う。


 私は、彼女の守護神的な、祭神的な何かしらだ。

 つまり、私が女帝婉姈(えんれい)の権威の後ろ盾になっているから、私は婉姈(えんれい)より偉い。


 そして、ぶっちゃけ、私は漢の天子(皇帝)よりも格上だ。

 その事実は、天子(皇帝)自身も認めている。


 実は、私が婉姈(えんれい)の後ろ盾になっているのと同様に、漢の天子(皇帝)も代々九尾狐狸(きゅうびこり)という神獣に後見されていて、九尾狐狸(きゅうびこり)が私の事を「最高神たる天帝(てんてい)(の現人神(あらひとがみ))だ」と認めちゃったからね。

 だから、漢の天子(皇帝)は、私を神として拝礼し始めたんだけれど、私は「私が天帝(てんてい)現人神(あらひとがみ)である事は秘密だ」と口止めした。


 だって、世間に私が神様だなんて知られたら、気軽に出歩いたり出来なくなって不自由でしょう?


 実際に私は、塔里木(タリム)帝国の国民には顔バレしているから、日常的に神様として(あが)(たてまつ)られていて、色々と堅苦しくて面倒臭かったんだよ。

 それが、塔里木(タリム)帝国から、私の正体を知らない漢にやって来た最大の理由でもある。


 話を戻すと……。


 陳紀(ちんき)は、私の陣営の潁川(えいせん)チームで内政面を支えてくれている超有能で忠誠心が厚く最も便りになる重鎮だ。

 そもそも、漢人ではない余所者の私が漢の天子(皇帝)から潁川(えいせん)に封国をもらい、確固たる統治基盤を固められた背景には、陳紀(ちんき)の父で大儒(たいじゅ)陳寔(ちんしょく)と、潁川(えいせん)最高の士大夫(したいふ)(貴族みたいなもの)一族である(じゅん)氏と、青洲(せいしゅう)大儒(たいじゅ)鄭玄(じょうげん)から信任と協力を得られたのがターニング・ポイントだったと思う。


 潁川(えいせん)(ちん)氏の宗主である陳寔(ちんしょく)・長男の陳紀(ちんき)・四男の陳諶(ちんしん)の3人は「潁川(えいせん)の三君」と呼ばれ、その人格・見識において高い名声を博していた。

 陳寔(ちんしょく)が私を認めてくれ、親交のある各地の名士に私の事を褒めて宣伝してくれたからこそ、地元名士の協力が得られて私の潁川(えいせん)国主としての統治が上手く行っている。


 大儒(たいじゅ)とは、儒学の大家の事だ。

 特に、この時代の儒学の二大巨頭と並び称されている陳寔(ちんしょく)鄭玄(じょうげん)は、儒宗(じゅそう)(儒学の第一人者)として民衆から畏敬を()って仰ぎ見られている。

 この2人には、天子(皇帝)も礼を尽くすらしい。


 史実では、陳寔(ちんしょく)の葬儀に国中から3万人もの参列者がやって来て、100人以上の士大夫(したいふ)が官職を辞して喪に服したらしい。

 他人の死を弔う為に公務員が仕事を辞めるなんて、現代では考えられない事だ。


 私と出会って以降、現代世界(漢から見れば未来)の知識を得た陳寔(ちんしょく)鄭玄(じょうげん)、また彼らの学派一門は、儒学だけではなく広範な知識を学び、また門下生にも教えてくれている。


 (ちん)氏と(じゅん)氏は、私が漢での拠点とする潁川(えいせん)が地元だ。

 鄭玄(じょうげん)は、青洲(せいしゅう)から一族郎党・門人らと共に潁川(えいせん)に移住して、今は私の陣営に入ってくれている。


 私は、基本的に陣営の皆を信頼して丁寧に扱っているけれど、一般常識や社会通念上のマナーとしてではなく、心から敬意を払って先生と呼ぶのは、陳寔(ちんしょく)陳紀(ちんき)陳諶(ちんしん)の「潁川の三君」と、荀爽(じゅんそう)鄭玄(じょうげん)の5人だけ。


 5人の中で一世代年長で、尚且つ何処(どこ)の馬の骨とも分からない当初から私を認めて協力をしてくれた陳寔(ちんしょく)は、特に気を使う大老師だ。

 陳寔(ちんしょく)は、好々爺(こうこうや)然とした温和そうな容貌をしているけれど、あの威厳ある眼光で見つめられると、豪傑で士大夫(したいふ)嫌いの関羽(かんう)だって緊張して居住まいを正し、思わず最敬礼をするくらいなんだから。


 私や皇甫嵩(こうほすう)上奏(じょうそう)を受けた天子(皇帝)によって「党錮(とうこ)(きん)」(知識人を公職から追放する政策)が解かれた後、陳寔(ちんしょく)は、真っ先に雒陽(らくよう)洛陽(らくよう))の朝廷に出仕を請われた。

 同じく、鄭玄(じょうげん)荀爽(じゅんそう)も朝廷から招聘されている。


 荀爽(じゅんそう)は出仕したけれど、陳寔(ちんしょく)鄭玄(じょうげん)は高齢を理由に朝廷からの再三の招聘を辞退していた。


 党錮(とうこ)(きん)で散々冷遇しておきながら、国を揺るがす未曾有の大反乱が起きて慌てて天下に名声が知れ渡っている陳寔(ちんしょく)鄭玄(じょうげん)を、その門人も含めて官職に就かせようとしたって今更虫が良過ぎる話なんだよ。

 儒宗(じゅそう)2人には、私が治める潁川(えいせん)国の国府がある陽翟(ようてき)で温泉にでも浸かってマッタリしながら余生を過ごしてもらおうと思っている。


 とはいえ、陳寔(ちんしょく)鄭玄(じょうげん)は、「仙姫(せんき)様のお役に立つ為に、人材を育成致します」と言って、2人共意気軒昂(いきけんこう)

 楽隠居なんかする気はないらしい。

 確かに人材は宝だし、(よわい)80を過ぎた陳寔(ちんしょく)が私の為に張り切ってくれるのは有難い事だよ。


 因みに、仙姫(せんき)というのは、私の(あざな)だ。

 塔里木(タリム)帝国には(あざな)を使う習慣がなかったから、私は本名の志織(しおり)で通して来たけれど、漢では(あざな)が必要だからね。


 え〜と、何の話だっけ?


 あ〜、そうそう。

 つまり、陳紀(ちんき)は、私が治める潁川(えいせん)国の総理大臣的な何かしらで、私の陣営で漢の天子(皇帝)から官職を受けている者の中では私の次に偉い。


 陳紀(ちんき)は、漢建国の功臣で「三傑」の1人蕭何(しょうか)並に有能だ。

 だから、彼に内政を任せておけば間違いない。


 史実では、曹操(そうそう)荀彧(じゅんいく)の事を「我が子房(しぼう)(漢建国の功臣三傑の中で軍師だった張良(ちょうりょう)(あざな))」と呼んだ逸話が有名だけれど、陳紀(ちんき)は差し詰め「私の蕭何(しょうか)」という事になる。

 蕭何(しょうか)は、劉邦(りゅうほう)陣営で領地経営と兵站(ロジスティクス)を一手に引き受けた「内政のバケモノ」だ。


 陳紀(ちんき)にも、蕭何(しょうか)と比肩するくらいの内政手腕があると思う。

 ま、私の陣営には、()()()流通システムがあるから、それ込みでの評価だけれどね。

 物資が足りなくなったら、私の潁川(えいせん)の拠点である王国府の陽翟(ようてき)や、私が神として君臨する塔里木(タリム)帝国の帝都タクラマカンから必要なだけ輸送すりゃ良い。


 私の陣営(うち)は、私が塔里木(タリム)盆地のタクラマカン砂漠に造ったタクラマカン湖の潤沢な水資源のおかげで食糧生産量は膨大だ。

 何しろ、史実ではサハラ砂漠に次ぐ世界第2位の面積を持つタクラマカン砂漠は、私が石油採掘の為に大量の真水を注入したおかげで、一帯の湿度が上がり降水量が増えて、既に砂漠気候ではなくなっている。

 現在の歴史線のタリム盆地は、現代も含めた世界史上で最大の穀倉地帯と豊かな森林が広がる桃源郷に様変わりしていた。


 そして、私の陣営(うち)兵站(ロジ)能力は、21世紀のアメリカ軍のそれすら上回るんだよ。

 私の神力や、配下の仙人達の霊力で転送や転移をすれば、距離や移動時間を無視出来るからね。

 例え、この先何年、黄巾軍に包囲されても、城門を破られたり城壁を崩されたりしない限り、長社(ちょうしゃ)は永久に籠城を続けられる。

お読み頂き、ありがとうございます。

もしも宜しければ、いいね、ご感想、ご評価、レビュー、ブックマークをお願い致します。

作中の時代背景上、人名・地名などに非常用漢字を多用しておりますので、文字化けなどが起きるかもしれません。


・・・


【お願い】

誤字報告をして下さる皆様、ありがとうございます。

心より感謝申し上げます。

誤字報告には、訂正箇所以外のご説明ご意見などは書き込まないようお願い致します。

ご意見ご質問などは、ご感想の方にお寄せ下さいませ。

何卒よろしくお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ