第18話。ステータス説明。
名前…伐来
生年…145年
性別…男性
属性…勇将
統率…B
知性…B
行政…C
軍事…B
西羌族の氏族王・于闐に服属する傭兵隊長。
私は、私の眷属の応竜から、話を聞いていた。
私は神様で、この世界を救わなくちゃダメで、その為には混沌の勢力に属する魔獣や妖魔や怪異を倒して数を減らさなければならない。
でも、混沌の勢力は、瘴気が濃いと無限湧きする。
瘴気というのは、人間の負の感情だ。
だから、混沌の勢力に勝つには、人間の負の感情が生まれないように、元を絶つ。
つまり、人間を幸せにすれば良い。
その為に、応竜の主神である釈羅って神様は、この後漢末に私を呼んだ。
私が持つ現代(未来)知識で、この世界の人間を出来るだけ大勢幸せにする為に。
応竜とかの眷属は、その仕事を手伝ってくれる。
但し、眷属は神力がないと召喚出来ない。
神力は、魔獣なんかの混沌の勢力を倒せば獲得可能だけれど、安定して徴収するには、私に対して心からの崇敬や信仰や感謝を捧げる人間の数を増やせば良い。
でも、神力は、私が庇護する領域内で暮らしている人間からしか徴収出来ないのだとか。
ふむふむ、大体は分かった。
「応竜。次は、私のステータスや能力について教えて」
今日、色々と試してみたけれど、まだ私が知らない仕様があるかもしれないからね。
「畏まりました」
応竜が言う。
応竜は、私が非接触の時は思念を飛ばしてコミュニケーションするけれど、私が応竜の体の一部に接触している時は、音声で会話出来るそうだ。
応竜は、私の手に触覚みたいな髭で触れている。
私のステータスは……。
・・・
姓諱・字…三国志織(釈羅)
生年…原初
性別…超越
属性…自然
統率…無限
知性…無限
行政…無限
軍事…無限
加護…根源
使役…万象
神力…0
【常時能力】
神威(天位)・啓示(天位)・君臨(天位)
魅力(天位)・言語(天位)・記録(天位)
集配(天位)・看破(天位)・盟約(天位)
解析(天位)・収納(天位)・地理(天位)
【任意能力】
回復(天位)・転送(天位)・召喚(天位)
【加護】
伏羲の加護
肉体強化(天位)
肉体強度・身体能力・疾病耐性・毒物耐性・精神耐性が極限まで向上する。
鎮護国家(天位)
庇護領域の災禍を防ぎ、調和と安定をもたらす。
庇護領民の戦闘力と士気が極限まで向上する。
女媧の加護
天命強化(天位)
天帝から授かった使命の成就率が極限まで向上する。
豊穣肥沃
庇護領域の生産力が極限まで向上する。
庇護領民の寿命・健康・繁殖力が極限まで向上する。
神農の加護
知性強化(天位)
演算能力・記憶力が極限まで向上する。
英知開明
庇護領域の発展力が極限まで向上する。
庇護領民の勤勉性・誠実性が極限まで向上する。
・・・
……これだ。
応竜は、1つ1つ説明する。
生年…原初とは?
私は世界が創られた最初から存在するから、生まれたのは、原初。
性別…超越とは?
最高神の私には、男も女もないから、超越。
属性…自然とは?
属性とは、人間で言えば職業適性みたいなものだが、神である私は、あるがままで全てを兼ね備えているから、自然。
統率…無限
知性…無限
行政…無限
軍事…無限
これはゲームとかの所謂ステータス。
統率…無限とは?
人間に指示を出して動かす能力が無限にある。
知性…無限とは?
思考能力が無限にある。
行政…無限とは?
人間を統治したり、組織を運営する能力が無限にある。
軍事…無限とは?
人間を指揮して戦わせる能力が無限にある。
但し、これは能力があるだけであって、上手に出来るとは限らない。
何故なら、あらゆる事は経験や学習によって上達するからだ。
逆に、どんなに能力があっても全く経験や学習をしなければ上達はしない。
つまり、私は上記の項目のセンスが無限に高いという意味だ。
実施においては、私(三国志織)の知識や経験に左右されるという事なんだろう。
分かったようでイマイチ良く分からないけれど、取り敢えず「へえ、そうですか」としか言えないね。
加護…根源とは?
私は、最高神だから加護を受ける側ではなく、加護を与える側だから、根源。
「ん?ならさ、この伏羲の加護とか、女媧の加護とか、神農の加護って何?私が強いのは、『肉体強度極限向上』とか『身体能力極限向上』とかの加護の影響じゃないの?」
「違います。それら三皇は、主上の従属神です。主上の御力は、三皇の加護など比較にならない程強大です」
「ふ〜ん。なら、三皇の加護は意味ないの?」
「いいえ。それら三皇の加護は、主上が『これは』と見込んだ人間に与える事が可能です。3つの加護をそれぞれ1つずつ3人の人間に与える事が可能です。先程も御説明致しましたが、主上は庇護領域の人間から神力を徴収出来ますが、主上の庇護領域の統治者などに、三皇の加護を与えて庇護領域を実際に統治させる訳です。以前の主上は、天に居て世界の出来事には直接関与なさらなかったので、主上が選んだ人間に加護を与える事で、間接的に世界に恩恵を与えていたのです。しかし、今回は主上御自ら世界に降臨なさり直接御活動なさる決断をなさったので、加護の意味が薄れたのは事実ですが……」
なるほどね。
つまり、誰かに加護を与えて庇護領域を委託管理させる訳だ。
確かに、天から世界を眺めているだけなら、そういう間接統治システムが必要だったんだろう。
ま、今回は自分で世界に降臨しちゃった訳だけれど……。
「という事は、ザックリと言うなら、私は、伏羲の加護で庇護領域の軍事力を上げられる人間と、女媧の加護で庇護領域の生産力を上げられる人間と、神農の加護で庇護領域の知的水準を上げられる人間の、3人の強力なカリスマ・リーダーを獲られるって事だね?」
「概ね、そのような理解で差し支えありません。但し、三皇の加護は強力なので、良く熟慮なさり、加護を御与えになる人間を御選び下さい。過去の世界線で、三皇の加護を御与えになった者自身が積極的に世界を滅ぼしてしまったり、3者で互いに覇を競って世界を滅ぼしてしまったりというような事もございましたので」
「何それ?怖っ!」
「少ない例ですが稀にそういう事もあるので、誰に三皇の加護を御与えになるのかは慎重に御考え下さいませ」
「分かった。で、『今回は……』って事は何回もやっているの?」
私を、タイム・スリップさせられたくらいなんだから、釈羅って神様だって当然タイム・スリップ出来るんだろう。
「はい。過去八百万回の施行において、全て世界は滅びました。なので、今回こそは、いよいよ主上御自らの御降臨なのです」
「は?なら、現代(未来)日本は?」
「あの世界線は、かなり惜しい所まで行きましたね。しかし、第三次世界大戦の勃発による全面核戦争によって滅びました」
「うわ〜、マジか〜。待てよ、私が暮らしていた世界線の日本が滅ぶとしたら、私がこっちで世界を救った後に元の日本に戻ったら、その日本は別世界線だから、やっぱり滅ぶんじゃないの?」
「御心配なく。複数の世界線は枝分かれしておりますが、幹は1本です。1つの世界線の過去において世界が救われれば、枝分かれした未来の世界線も全て救われます」
「その場合は、未来が変わるんだよね?『未来が変わって、私が生まれなくなる』なんて事はないの?私が生まれない未来に戻ったら、私の自我は消滅しちゃうとか……」
「問題ありません。歴史には修正力がございます。未来に起こるべき事象は、過去を少々変えた所で、そう簡単には変わりません」
「でも、この世界線で私の祖先とかが死んじゃったりしたら?」
「その辺りも考慮して主上は、志織さんの自我を御選びになりました。世界が救われれば、志織さんや御家族は皆さん無事でございますよ」
「嘘じゃないよね?『世界が救われて、私がお役御免になったら、後は如何でも良いから適当な事を言って誤魔化している』とか」
「御疑いなら、主上の『看破』で御覧になってみて下さい。『看破(天位)』の前では誰も主上に対して嘘や誤魔化しは出来ません」
私は、看破能力で応竜を観察した。
応竜は、事実を言っていると表示される。
取り敢えずは、信用するか……。
「なら、私が後漢末にタイム・スリップした理由は?」
「主上は、『全ての世界線での滅びの元凶が、この後漢末から魏晋代、そして五胡十六国時代に発生する』と突き止めました。その元凶を摘む為に、主上は、この時代に戻ってやり直す事にしたのです」
「『滅びの元凶』って何なのさ?」
「混沌の勢力が大幅に強化される『きっかけ』でございます」
「その、『きっかけ』ってのは何?」
「残念ながら、それは不明です。それを解き明かすのも、この世界線での主上の目的の1つになるでしょう」
「あっそう。ま、飲み込んでおくわ」
使役…万象とは?
私は、応竜を始めとする神の眷属を全て使役出来るから、万象。
神力…0とは?
私が無駄使いしちゃったから、なくなった。
悪かったね。
【常時能力】。
神威(天位)とは?
威圧(下位)→威風(中位)→王威(上位)→神威(天位)という段階があり、簡単に言うなら相手を滅茶苦茶ビビらせる能力だ。
啓示(天位)とは?
交渉(下位)→調略(中位)→調伏(上位)→啓示(天位)という段階があり、簡単に言うなら強力な交渉力だ。
君臨(天位)とは?
教化(下位)→統治(中位)→支配(上位)→君臨(天位)という段階があり、簡単に言うなら強力な人身掌握術だ。
魅力(天位)とは?
私の魅力が滅茶苦茶高い。
日本にいる時に欲しかったよ。
言語(天位)とは?
あらゆる言語を理解し話し読み書き出来る。
記録(天位)とは?
眷属に、自分の記憶や知識を利用させられる。
「つまり、応竜に私の記憶を勝手に覗かれるって事?困るよ」
「どの記憶を、誰に、どの程度与えるかは、主上の裁量で自由に選べますので御心配には及びません」
「なら良かった」
集配(天位)とは?
眷属から神力を集めたり、眷属に神力を配ったり出来る。
「そう言えば、今日ステータスを弄っている時に、集配を使ったら神力が減ったり増えたりしたんだよね?つまり、あれは応竜との間で神力をやり取りしていたって事?」
「我ではありませんね。主上は、三国志織を御身に宿らせる際に、配下の神獣や瑞獣や霊獣を一旦全て帰還させました。召喚状態でない我々とは神力のやり取りは出来ません」
「なら誰と神力をやり取りしたの?」
「主上の眷属の『仙』でございましょうな」
「『仙』?」
「仙とは、所謂仙人の事です。人間は、昇仙すると仙という種族に変わります。主上は、我ら神獣や瑞獣や霊獣の他に、人間から仙に昇仙した眷属も数多く使役していたのです。連中は、我ら神獣や瑞獣や霊獣より劣る存在ですが、世界に直接働き掛けられるので下僕としては、それなりに使い勝手が良いのです。きっと、眷属の仙の誰かと神力をやり取りしたのでしょう」
「ならさ、その私の眷属の仙達から神力を集めて、応竜みたいな神獣を召喚したら良いじゃん」
「そうですが、おそらく今は仙達の霊力は枯渇している筈です。何しろ、主上が三国志織を御身に宿らせるのと、主上の神の器を世界に降臨させるのに莫大な神力が必要でしたから」
「そうなんだ。てかさ、応竜。私の事を呼び捨てにしないでくんない。何かムカつくから」
「失礼致しました。『三国志織様』と御呼び致しましょう」
「フルネームと『様』は仰々しいから『志織さん』だね」
「『志織さん』ですね。畏まりました」
「頼むよ。で、神力と霊力は何か違うの?」
「同じものです。神たる主上が御使いになれば、即ち神力。神ならぬ者が使えば霊力でございます」
「分かった」
看破(天位)とは?
前述の通り、誰かが私に嘘を吐いたり騙そうとしたら分かる。
盟約(天位)とは?
私と約束した事は守られる。
解析(天位)・収納(天位)・地理(天位)は、既に検証した通り。
既に私は、これらを「物凄く上手に使っている」と応竜から褒められた。
【任意能力】。
回復(天位)とは?
治療(下位)→治癒(中位)→完治(上位)→回復(天位)という段階があり、そのままズバリ、治療能力だ。
「あのさ、心停止とか脳死している人達でも、回復で治せたり、治せなくて亡くなったりするんだけれど、その差は何?」
「以前、主上から御伺いした話によると、生き物には魂魄というものがあり、魂魄が健在ならば相当重篤な負傷や病でも天位の回復なら治せてしまうそうです。なので、治せなかった者は魂魄が弱っていたのでしょう。魂魄は、時間経過で霧散してしまうので単に治療が間に合わなかったのだと思います」
「なるほど」
転送(天位)とは?
迅歩(下位)→飛翔(中位)→転移(上位)→転送(天位)という段階があり、転移は自分1人と自分の所持する物体を遠隔地に送れ、転送は他者や自分を含む集団や多数の物体を一気に遠隔地に送れる。
「この飛翔ってのは飛べるの?」
「はい」
「いやいや、飛べなかったよ。だから、私は高度1kmから墜落したんだから」
「『飛べ』と御命じになりましたか?」
「命じてはいないね」
「だからです。必ずしも言葉に出す必要はなく、頭の中で念じれば良いのですが、『飛べ』と御命じにならなければ飛べません」
「飛べ……」
「任意能力は神力が必要ですので、今は飛べませんね。神力が纏まった単位量集まりましたら、御試しになってみて下さい」
「分かった」
召喚(天位)とは?
神力1を消費して任意の眷属を呼び出せる。
応竜と同格で最高位の神獣(応竜は、「自分が神獣の中で頂点に立つ存在だ」と言って譲らないけれど)でも、最低ランクの下位の霊獣でも召喚の際に消費される神力は1なので、なるべく能力が高い天位の神獣から召喚した方が高効率らしい。
なるほど、ステータスの事は大体理解出来たね。
「あのう……志織様は、我ら羌族の戦女神様ではいらっしゃらないのでしょうか?」
伐来が訊ねる。
あ……。
応竜との話に集中していて、私は伐来達が信仰する女神様って設定になっている事をすっかり忘れていた。
多分、私と応竜の話で、伐来達は「如何やら、自分達の女神様じゃないっぽくね?」と気が付いてしまったのだろう。
「伐来と言ったか?お前達、羌族が信仰する女神とは、女媧の事だ。主上は、女媧の上位神であるから、主上を信仰すれば、それは女媧を信仰している事と同じ事だ」
応竜が説明した。
「おお、なるほど。分かりました」
伐来は、安心したように頷く。
他のメンバーも安心したようだ。
「女媧を呼び捨てにするって事は、応竜は三皇と同格なの?」
「はい。神獣とは、即ち神ですので、主上の従属神という立場で、我と女媧は同格でございます」
「伏羲と女媧と神農は召喚出来ないの?」
「以前は出来ました。しかし、主上を世界に降臨させる儀式で、三皇は主上の神の器となり主上と同化してしまいましたので、もはや召喚は出来ません。しかし、三皇の加護は残りましたので差し支えないでしょう」
「ふ〜ん。三皇は死んだの?」
「いいえ。神は不滅です。三皇は、主上の神の器として今も生きておりますよ」
「あっそう」
「従属神の事を御配慮下さるとは、主上は御優しいですな」
「いや、『私の為に犠牲になって死んだ』とかだったら何か申し訳ないからね」
「問題ありません。志織さんが元の世界に帰った後に、三皇は復活致しますよ」
「なら良かった」
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