一作目 無題
あるところに『何でも叶える』とアバウトな目的を掲げた、いわば何でも屋のような事をしている男がいた。店の名はない。狭く散らかってる部屋の割に腕は一流で、今までに99件の願いを叶えてきている。さぁ100発100中にするぞと意気込んでいる男の店へノックの音が。そこにいたのは一人の少女。男は少女を招き入れ、依頼を聞いた。内容は『もう死んでしまいたい』とのこと。いままで多種多様な依頼をこなしてきた男も、命を奪うようなことはなかった。とりあえず、だ。何故、どうしてそうなったのか。事情を聴くことにした。少女の話は重い、辛いなんてものではない。親に捨てられたことから学校でいじめられた事まで。その小さい体に収まりきらない。裏切り、別れの記憶。少し聞いただけで気分が悪くなる。そりゃ死にたくもなるよな...男にはプライドがある。いままで積み重ねてきたものがある。約束がある。すべての依頼に答える義務がある。...100発100中にするぞ。男は決意を固める。...少女は笑っていた。
あるところに『何でも叶える』とアバウトな目的を掲げた、いわば何でも屋のような事をしている男がいた。
狭い部屋はより狭く。だが少しかたずいたようだ。男は店の前に看板を置いた。内容は、『100発99中!夢。叶えます』アシスタントの女は言った『胡散臭い』と