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約3000字漫才集

漫才【クレーム】

作者: 名もなき山田

ボケ=A(エー/小太り)


ツッコミ=B(ビー/細身)

A/B「よろしくお願いしますー」

A「ちょっとビーくん聞いてったら!」

B「あなたの話聞くのが仕事みたいなもんですけどね、どうしたの」


A「この前おにぎり……コンビニでおにぎり買ったらね! コンビニでシャケのおにぎり買ったらね!」

B「こりゃ今日定時無理だな」

A「中身入ってねぇの! 信じられる!? シャケおにぎり中身入ってねぇの!」


B「ま、でもわりとよく聞く話じゃない。クレーム言った?」

A「クレーム?」

B「だから会社にクレーム、何か文句言った?」

A「会社にクレープ何てもんを食いに行った? おいこっちは真面目に――」

B「今日も残業かー」


B「エーくんの耳にも分かるように言うと、苦情ってこと」

A「あっ苦情ね。そんなの言うわけないよ向こうだって一生懸命作ってんだから」

B「消費者の鑑かお前」

A「もしかしてビーくん言う人? わ、引く」


B「いやでも言わないと向こうも良くならないでしょ。っていうか『シャケ中身入ってねぇの!』のテンションよく一人で抱えたな」

A「違う違う『シャッケェ! 中身ィ! 入ってェ!』」

B「帰りてぇなー」


A「え、ビーくん例えばどんなクレーム言ったの?」

B「サビ抜きのお寿司買ったのにワサビ入ってたときは――」

A「ちょ待ってそんな!? そんなことで文句言うの!? ええー(困惑)」

B「別に普通よ。人によっちゃもっと悪質なのいくらでもあるから」


A「いや俺は言えないわ。せいぜいがSNSに『ここのおにぎりシャケ入ってませんでした』って写真入りで書き込むくらい」

B「言ってるね。そっちのが企業嫌じゃないかな」


B「ちなみにそれ何か返信とか来たの?」

A「来たよ! そうだ見てよ!(スマホ)」

B「……えー『嘘乙』、『通報しました』、『ざまあ』また辛辣な意見が並ぶね」


A「でしょ! ほら俺ただコンビニの写真撮っただけだよ!?」

B「うん店舗写真とこの文言は完全クレーマーだね。撮るのおにぎり」

A「えっ中身の入ってないおにぎりの写真に、『具が入ってない』って?」

B「そりゃそうでしょ」


A「や、でもそれは小さい人間……」

B「お前大きな問題になって炎上してんじゃねえか」


A「それでどうなったの? ワサビの件は」

B「菓子折り持って謝りに来たよ」

A「えっ菓子折り!? ワサビが菓子折り!? ……ひらめいた」

B「クレーマー誕生ですね」


A「ちょっと練習しよ? 『そんなこと言われましても……っ!』」

B「もうめんどくさいから一人でやってくれる?」

A「『……ですがお客様……っ!』」

B「…………」


A「『おう兄ちゃん、こっちはクリームパンにジャム入れられて相当キてんだわ。ダンマリで押し通そうったって世の中そう甘かねぇぞ』」

A「『どっちも甘い、だァ!? てめぇいい度胸……面白れぇじゃねぇか』」

A「『分かった、よぉっく見たらジャムパンって書いてあるし、今日は菓子折りで勘弁してやるよ』」


A「で、菓子折りゲット――いける」

B「脳ミソジャムかお前」

A「だって一人でやると分かんなくなるんだもんッ!!(地団駄)」

B「逆切れもここまで行くとお薬必要ですね」


B「もっとちゃんとしないと。『自分が間違っていないか』、『説明書に書いてないか』この辺押さえとかないと逆に恥かきますから」

A「なるほど。そこ間違えるとクレーマーになっちゃう訳か。髪の毛入ってたときとかどうしてるんだろ?」


B「そりゃ謝るでしょ、で取り替えて料金はタダにするとか」

A「えっ無料!? 髪の毛で無料!? ……これが髪の啓示か」

B「僕の啓示だと思います」


A「『あのすいません』」 B「『はい、なんでしょう』」

A「『今イカスミスパ頼んだら髪の毛が入ってたんですけど』」

B「エリアマネージャーでもそうは見つかんないよ」


A「あ、待って。髪の毛が無料で思いついたんだけど、CMで『今なら無料で毛髪1万本!』とかあるじゃん。あれって1万本入髪(にゅうはつ)した後にクレームつけたら無料になってさらにもう1万いける?」

B「そもそもが無料じゃねえか。あとエーくん増毛って言葉知らない?」


A「っていうか髪の毛ぐらいだったら俺は全然平気ですけどね。今の日本人は潔癖過ぎるんですよ。それがまた新たなクレームを生む、この悪循環ね。だから俺はこれから髪を食います。輪廻から続く連鎖を、この口で断ち切るために……っ!」


B「何と闘っているんでしょうか。お前だからちょっとハゲてんの?」

A「そうそう、って何を言わすんだっ! てね、えー……一発ギャグやりまーす」


B「化石(クソ)みてぇなノリツッコミしてる割に言ってることは一理あるよね」

A「でしょ? だからね、ちょっとした事じゃ怒らないように訓練する必要があると思いますよ」


B「ああ、アンガーマネジメントね。よく聞くね最近」

A「はぁッ!? んなもん聞いたことねぇわこのボケカス!」

B「これは急を要する」


B「『はいじゃあね、今から怒りのコントロールの仕方を勉強しますから』」

A「『よろしくお願いしまーす』」 A「『わーい』」 A「『ふむふむ』」

B「『……まず僕がイラっとする行動を取りますから、そこで、そうですね5秒くらい我慢してみてください。いいですか?』」

A「『分かったナリ』」 A「『ったりーなー』」 A「『……ふぅん?』」


B「やめろビリーミリガンかお前、何なのさっきからちょこちょこ……ハッ!」

A「アンガーマネジメ~ン(ゆびをふる)」

B「……では券売機にて。僕の後ろにエーくん並んでいると仮定してください。『どれにしよっかなぁー、これもおいしそうだし……あ、でもこっちも捨てがたいなぁ……』」


A「『今日は29の日なのでこのセットがおすすめ。ほいこれ割引券ね』」

B「『あ、ありがとうございます!』じゃないでしょ! もう……ハッ!」

A「アンガマネィジ(ゆびをふる)」


B「……では横断歩道にて。信号が変わったのにおばあさんがゆっくり歩いています。エーくんの車が先頭。後ろの車からクラクションが鳴り、怒号が飛びます。『オラァ! 早く行けよテメェッ! 詰まってんだよッ!』」


A「『ばあちゃーん! 気にしないで、自分のペースで渡りなよー! ね!』」

B「もう結婚してくれ。そんないい男そうおらん、じゃなくてぇ! ……ハッ!」


A「アンガラマッサァジ(ゆびでおす)」

B「やかましいよ。何最後民族マッサージみたいのしてんの」


A「もう大分鍛えられたね。クレーマ―とは真逆、それこそ正反対の人間ですよ」

B「言うねぇ。じゃちょっとテストしていい?」

A「あ、全然いいですよ、逆に怒らせたらマジでぶん殴りますけど」

B「僕は何も聞かなかった」


B「コンビニのトイレに行ったら、紙がなかった」

A「そんなもん手で拭いてその手でカレー食ってやりますよ」


B「シングルのトイレットペーパーのはずが、ダブルだった」

A「剥がしたら2個にできますからね、怒るなんてとんでもない」


B「小かと思ってトイレに行ったら、実は大」

A「トイレ攻めやめて! 立ってしてたら『便座がねえ!』って? 個室行く!」


B「じゃあ最後。コンビニでシャケおにぎりを買ったら、中身が入ってなかった」

A「嬉々として店舗に持っていきます」

B「ガリガ〇君じゃねえかもういいよ」


A/B「どうもありがとうございました」

アンガーマネジメント辺りから苦しかった。_(._.)_

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