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お嬢様、照れる


「どうかなされましたか?お嬢様。」



(ッ‼︎嘘⁉︎エリアス?)


助けを求めたただ一人、エリアスの声が背後から聞こえる。


(でも、ここにいるはずないわッ)


昼食の用意をするように命じたのは紛れもなく私。


だけど、聞き慣れた声を聞き間違うはずもない。


サッと振り返って確かめればいいだけの事なのだが、思うように体が動かずそれが叶わない。


(せめて、首だけでもひねれればッ)


勢いをつけて、首を動かせばなんとか振り返る事ぐらいはできそうだ。


(一気に首をひねったら、痛めてしまうかもしれないけれど…仕方ないわね。)


痛めてしまう事が怖く、躊躇ってしまうが、勇気を振り絞り反動をつけて一気に首を回す。


(?あれ?動かない…。)


誰かに首を掴まれているようだ。



「首を痛めてしまいますよ、お嬢様。」


「エ、エリアスなの⁉︎」


「この学園で、私以外にあなたをお嬢様と呼ぶ人間がいらっしゃいますか?お嬢様。」



(この嫌味、間違いないわ。)



「そんなの知らないわ。

それよりも、その手を離しなさい。」


「失礼致しました。」



エリアスの手が、私の頭から離れる。


(来てくれて、ホッしたわ。

本人には、絶対言わないけれど。)



「ご歓談中に失礼致しました、殿下。」



エリアスは、王子に頭を下げる。


本来、侯爵令嬢付きの使用人が、許可もなく王子の会話を中断させるなんてあってはならない。


(ましてや、王子とその婚約者の間に入るなんて…確かに問題よね)


しかし王子は、それを気に止めることはなかったようだ。



「構わないよ、エリアス。

それよりも、キーラの様子がおかしいんだ。」



王子の言葉に、エリアスは目を細めて私の顔を見る。



「……。」



(何か言いなさいよ。気になるじゃない)


何も言わずにジッと顔を見てくるエリアスの視線に、私は耐えられなくなり目を背けてしまう。



「ああッ‼︎そうなのですよ、殿下。

お嬢様は、今朝より少し体調が優れないようなのです。

授業もお休みするかを悩まれていた程で…」


「なッ‼︎エリアス?私は」



私は、体調悪くないわッ‼︎と続けようとする私の口にエリアスは手を当てた。


(話すなって?なにかしら?)


何故そんな事をしたのかわからないが、私は口を閉じる。


口を閉じた私を見て、エリアスは小さく頷き改めて王子へと向きを変えた。



「私は、お休みするように進言したのですが…お嬢様は、出席すると譲らずお昼の時間になったのです。」


「そうだったのか…。

こちらこそ、すまない。

体調が優れない事に気付かず、昼食に誘ってしまった。」


「いいえ。

殿下が謝られる必要はありません。

全て、私の責任です。」


「いや、私が…

このような話をしている場合ではないな。

キーラを早く休ませてやってくれないか?」


「…‼︎

…ありがとうございます。

それでは、お言葉に甘えさせていただきます。

行きますよ、お嬢様。」



そう言って、エリアスは私の肩を軽く叩く。


(‼︎びっくりした。

少し意識が飛んでいたわ…。)


自分でも気がつかなかったが、本当に体調が悪いのかもしれない。


王子とエリアスが何かを話していたのは、知っているが内容がわからない。


それどころか、足に力が入らなくなってくる。


(やばいッ‼︎

力が抜けちゃう)


足の力が抜け、地面に膝をつきかけた時、体がふわりと浮いた。



「大丈夫ですか?お嬢様。

急ぎ部屋に、戻りましょう。」



すんでのところで、エリアスに抱きとめられたようだ。



「それでは、殿下。

御前、失礼致します。」


「ああ。

気をつけてな。」



その言葉を聞くと、エリアスは王子に背を向け歩き出す。



「僕の可愛い姫、ゆっくり体を休めるんだよ。

次に会うときは、元気な姿を見せてくれ。」



背後から王子の声が聞こえたが、私は返事をしなかった。


王子が気持ち悪いからでは、ない。


(いや…気持ち悪いけどねッ‼︎)


それよりも、今の現状が気になったからだ。


私は、エリアスにお姫様抱っこをされている。


(コイツ、なかなかいい体してるわね…。)


抱き上げられた事で、エリアスの腕の筋肉や胸板の厚さを感じる。


ただ…それよりも気になっているのは、顔が近いッ‼︎


エリアスは、身長が高い。


そのため、女である私との身長差が大きく、私はエリアスの顔を近くで見た事がない。


(なんか照れるわね…)


抱き上げられ、柄にもなく照れ続けていた私は気がつかなかった。


自室に戻るまでの間、エリアスの顔が真剣な顔になっていた事に。



「…。」


「…。」



お互いそれ以上言葉を、交わす事はなかった。





「…。」


「お嬢様、照れで何も言えないのならどうして出てきたんですか?」


「うるさいッ‼︎照れてないわよ‼︎」


「そうですか…。

それなら、最後まで言えますね?」


「当たり前よ。

…コホンッ

ここまで、読んで下さりありがとうございますわ。

ブックマークや、ご感想、評価ポイントいただけますと作者の励みになるそうですの。

私も、とても嬉しいです。」


「流石です、お嬢様。

ですが…。「黙りなさい、エリアス。」」


「一番の喜びは、お楽しみいただける事です。

稚拙な文章ではありますが、私達の最後までお付き合いいただける事が最大の喜びです。

どうぞ最後までよろしくお願い致します。」


「完璧です、お嬢様…。」


「当然よ。」

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