お嬢様、授業中
……校庭ーー
「まだ、先生は来ていないようね。」
校庭に着き辺りを見渡す。
既に生徒は集まっているようだが、まだ担当教師の姿は見えない。
「そうとは限りませんよ。お嬢様。」
「え?」
エリアスの言葉を聞き、改めて校庭を見渡そうとした瞬間、凛とした声が校庭に響く。
「揃いましたね。教科書32ページを開いて。」
強い風がビュッと吹くと、そこには
光魔法の担当教師のリアバルが立っていた。
「…光魔法の屈折を利用したのね。
相変わらず凄いわ。」
(さすがは光の貴公子…伊達じゃないわ。)
彼が光の貴公子と呼ばれる理由は2つある。
彼は、大陸の中で一番と言われている魔法国家ベロニア出身にして中でも有数の光魔法を得意とする貴族…ブラントン家の子供だからだ。
もう一つは、彼の見た目だ。
プラチナブロンドの髪を持つ長身のイケメン。
(それだけの物を持ちながら、誰にでも気さくに話しかけるものだから男女問わず大人気の先生なのよね…。)
パンパンッと校庭に音がなる。
「授業を始めます。」
どうやらリアバルが手を叩いたようだ。
「光魔法の力をより高めるにはどうすればいいかわかる人はいますか?」
出来る人ー…とリアバルは辺りを見渡す。
彼の目と私の目が、パチリと合う。
「……。」
当てないでッ‼︎と意味を込め、私はスッと目をそらす。
「キーラさん、お願いします。」
私の無言の訴えは、全く効果がなかったようだ。
(はぁぁ。なるべく目立ちたくないのに…。)
周りに見えないようにフゥと小さく息を吐き、私は答えた。
「光魔法の力を高める方法は3つ。
自身の魔力を上げること。
光属性をエンチャントすること。
太陽の光を取り入れる事。」
私の回答を最後まで聞き、リアバルは深く頷く。
「正解です。
では、この場において一番有効な方法はどれになりますか?」
「太陽の光を取り入れる事です。」
「なぜ、そう思うのですか?
キーラ嬢。」
「自身の魔力を上げる事は、一朝一夕では出来ません。
光属性のエンチャントも同じで、受ける補助効果は術者の魔力量に比例します。
以上を踏まえて私は、太陽の光を取り入れることが一番有効な手段だと考えます。」
「その通り、完璧な答えです。
光魔法の強化はーー……。」
私の答えに満足したのか、リアバルは私の回答に対する解説を始めた。
ふぅ…と一息ついていると背後から声をかけられる。
「お見事でございました、お嬢様。
ただ、1つ。
リアバル様がお使いになられた魔法は、光の屈折ではありません。」
「相変わらずうるさいわね、エリアス。」
光魔法の授業は、そのままエリアスとの口喧嘩で終わっていった。
それ以降の授業に関しても特に変わったことはなく、魔法基礎、経営学と終えた。
「午前の授業はこれで終わりッ‼︎
後は、召喚魔法のみね。
エリアス、昼食のサンドイッチは部屋でとるわ。」
お昼休憩に入るや否、私はエリアスに昼食のリクエストをする。
「さりげなく昼食のメニューをお決めになられるのは、流石でございます。お嬢様。
しかしながら、お嬢様の望む昼食は、お取りになられないかと思います。」
さりげなく、私を馬鹿にする発言をしたエリアスを咎めるところだが、今はそこを聞いている場合ではない。
「どういう意味よ?」
「すぐに分かりますよ。」
エリアスは曖昧に濁す。
(すぐにわかるってどういう事よ。
だいたい、望む昼食を食べられないって、意味がわからないわ。)
エリアスのいう意味が分からず首を傾げていると、向こうの方から女の子達のキャピキャピとした声が聞こえてきた。
女子の甲高い声や、猫なで声が嫌いな私は、くるりと体の向きを変えその場から離れようとする。
「どこにいくんだい?青薔薇姫。
テラスは反対だよ。」
(…ッ‼︎)
背後から聞こえた声に私は、身を硬くした。
嘘だと言って‼︎と心の中で叫ぶ私をよそに、エリアスが返事をする。




