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お嬢様、特別授業を受ける



コンコンッ。


特別授業を担当する講師の待つ教室の扉を叩く。



「どうぞ。」



中から聞こえた、入室の許可の声に従い扉を開ける。



「今日から、しばらくよろしくお願い致します。

リアバル先生。」



部屋に入り、扉を閉め、リアバルに向かい頭を下げる。



「こちらこそ、よろしくお願い致しますね。

キーラ嬢。」



私の挨拶にしっかりと頷き、リアバルも軽く頭を下げ挨拶を返してくる。


(相変わらずの、貴公子っぷりね。)



「いいえ、こちらからお願いしたのですから。」


「そう言ってもらえると嬉しいですよ。

これから少し顔を合わせてお教えするので、少し言葉を崩させていただいてもよろしいですか?」



突然のリアバルからの申し入れに、私は軽く驚く。


(言葉を崩す…?普段の話し方と授業中は違うということかしら。)


不思議に思うも、特に問題はないので頷く。



「先生のお好きにしていただいて、大丈夫です。」


「それじゃあ…お言葉に甘えて。

キーラ嬢も、崩してくれて構わないからね。

それと…キーラとお呼びしても?」


「…‼︎」



突然の敬称を外しでの名前呼びに心臓が少し、ドキリとした。


(異性の方から、敬称を外して呼ばれたのはいつぶりかしら。

最近では、お父様やお兄様以外に呼ばれた事は無いから…少し照れてしまうわ)


幼い頃から、婚約者がいる私は異性に免疫がない。


王子の婚約者なのだから、当然と言えば当然。


(誰も、王族に睨まれたくは無いもの。

私に声をかけてくる人なんて、女の子か既に婚約者がらいる男の子ぐらいだった)


何も言わない私に、リアバルは慌てて答える。



「あ…いえッ‼︎無理強いをしたいわけでは…。

ただ、これから色々と君のことを知らないといけないので少しでも距離が近くなったらと思って…

‼︎‼︎ごめん‼︎ 変な意味ではないんだ。」


「ふふッ。あ、すみません。」



リアバルの慌てように、思わず笑ってしまう。


私が笑った事で、リアバルも少し安心したのか落ち着きを取り戻している。



「いや、いいんだ。気にしないで。

それよりも、キーラと呼んでも大丈夫かな?」


「もちろん大丈夫…ですわ。」



私の方からも距離を近づければと思い、言葉を崩してみようとしたが失敗してしまった。


(やっぱり、男の方に突然言葉を崩すなんて…)


はしたない…と、顔を手で隠す。



「ごめんね。キーラさんと呼ぶよ。」



私の態度に勘違いした、リアバルが申し訳なさそうに謝る。



「いえッ‼︎違います。

キーラと、および下さい。リアバル先生。」


「本当に、大丈夫?

僕は、君に嫌な思いをさせたくはないんだ。」


「本当に、大丈夫ですわ。

さっきは、私も少し言葉を崩してみようとしたのですが…失敗してしまって。」



それで、照れてしまったのだと暗に匂わす。


恥ずかしい気持ちを持ちつつリアバルの様子を伺うと、なるほど…納得してくれているようだ。



「君も、なれたら崩してくれたらいいよ。

さあ、授業に入ろうか。」



そう言ってリアバルは、背筋を伸ばす。



「では、改めて…。

ご指名いただき、ありがとう。キーラ。

君の特別授業を担当させて貰う、光魔法講師のリアバルだ。

今回の特別授業では、君の望みでもある【光魔法における細胞の活性】について教えさせて貰う。

ここで一つ、聞いておきたいんだが、なぜ【活性】のみに絞ったんだ?」



私はこの質問に震えた。


(この先生、凄いわ。

私が活性に絞った事を的確に理解してくれてる。)


何故【活性】のみに絞ったかには理由がある。


(それはもちろん…婚約破棄後の未来のためよ‼︎)


私は婚約を無事破棄した後、農業を始めるつもりなのだ。


そして、ロベラティ家をさらに繁栄させてみせる。


先生の優秀さを改めて感じ、私は特別授業がとても身のある1週間になる事を確信して喜んだ。



「私は、将来作物を育てたいのです。

そして、そこから事業を立ち上げ市場を拡大したい。

その為には、細胞の活性化に的を絞り極めたい。

それが理由です。」



嬉しそうに語る私に、リアバルは柔らかく笑う。



「親の力に頼らず、自分の道を歩く。

いい心がけです。

この1週間出来る限りの知識をあなたに授けましょう。」



こうして、私の婚約破棄への一歩が始まった。





「…お嬢様。

学年試験の、お勉強も忘れないでくださいね。」



遠くから聞こえる、空気の読めない声は聞こえないふりをした。



「気のせいか、数話ほど乙女ゲーのような展開を見た気がしました…。

お嬢様のあのような面を見るのは少し、クるものがあります。」


(先程食べた、ドリアが…上がってきそうです。)


「そっちなの!?

クるって、吐き気って意味だったのね。」


「お嬢様…。

いらっしゃったのですね。」


「ええ、先程から。

とっても失礼な事を見聞きして、気分は最悪だけどね。」


「申し訳ありません…。」


「そこは、謝るところではないわ‼︎」


「そうですか。

ところで、お嬢様。

お聞きしてもよろしいでしょうか?」


「何かしら?」


「このような展開はいつまで続くのでしょうか?

私の出番も少ないですし、いいとこ無しです。」


「本当に、失礼なやつね。

心配ないわ。ここまでよ。」


「安心しました。

では、次からはどのようなお話に?」


「次は、1週間後からはじまるわ。」


「1週間後…ですか。

と言うことは…。」


「ええ。

【学年試験】よ。

あぁ…嫌だわ。」


「それでは、皆様。

次のページでお会いしましょう。」

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