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トリニティ・マギカ

作者: 遥 かずら

 気まぐれな皇帝が差し出した聖杯は、時として逃れられない運命を背負わせる。


「……で? その聖水を無理やり飲まされたわたしがなんで、毒魔術士なのか説明してくれる?」


「性格がきつすぎたんじゃねえの? ルシルは毒吐き女だしな」


「ボクは何の特徴も無い弱い奴なのに、どうして焼き尽くしの炎魔術士なの?」


「いや、クリアロは……アレだ。確か「大きくなったらドラゴンになりたいです」って希望してたからじゃねえの?」


「えー!? そんなの子供の頃のことなのにー」


「そういうラファエリは、口の悪い回復術士って何なのソレ? おかしいんじゃないの?」


「俺はこう見えて平和主義。争いが嫌いなんだよ。いつも親たちが口喧嘩してたのを見てたからな。癒しが欲しいな。なんて募らせていたから、癒す人になっただけだ」


 幼き3人の兄妹は、気まぐれな皇帝からの聖水を好きなだけ飲まされた。皇帝いわく、ただの水だから害はないよ。だけど、キミ達が成長したら分からないけどね。などと無責任なことを言っていた。それがまさに今だ。


 長兄ラファエリは癒しの回復術士。その妹のルシルは性格が悪すぎて、毒を作り出せる魔術師。そして末弟のクリアロは、その辺の村をまるごと焼き尽くせてしまう炎魔術師となりました。3人が一体となって行動を共にしなければ、ラファエリ以外は世界を滅ぼしかねないやばい人たちとなってしまう。


「クリアロのその炎……普通は手から出せるはずなのに、何で口だよ! その時点で人じゃねーし!」


「違うー! 違うし! 僕はただ息を吸ったり吐いたりしてるだけなのに。どうしてその威力は半端にならないのか分からないだけであって、好きで村を焼き尽くすなんて思ってないからね?」


「それは見苦しい言い訳だな。お前、いい大人になったんだから自分が人間なのかドラゴンなのかくらい、自覚しとけっての!」


「うぅっ、反論できない自分が情けないよ」


「ラファエリこそ、回復しか出来ないくせに、ウチらのことをバカにする権利なんてどこにあるっていうわけ? いっとくけど、わたしの毒吐きは人を滅ぼす力なんかじゃないのよ? このごちゃごちゃと建てられまくった町や村を一度腐らせて、浄化させるために吐いてるの。その為だけにラファエリがいるってこと、理解してよね」


「お前、その発想と考えが悪すぎるぞ。まぁ、いいさ。お前ら二人は俺のおかげで世界を生きられてるんだ。長兄の俺にしっかり付いて来いよ? そうじゃないと、人間に滅ぼされちまうんだからな」


「ううう、わ、分かったよ」

「ふんっ、いい気になるな! バカ兄」


 3身一体。トリニティの彼らが世界を救う? あるいは滅ぼす側として有名になるのかは誰も分からなかった。

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