自己紹介
野村綾香、今年26歳。看護師になって4年目。
看護師の世界では4年は中堅であり、新人と先輩の板挟みに合うことが多い。
田舎から憧れだけで都会へ出てきてそれなりに充実した生活を送っているように感じる。
そこそこ大きな地域の病院に勤め、アパートは1LDKで家賃8万円。
手取りは23万円。残業をしたり夜勤の回数が増えればその分お給料は増える。
ボーナスはその辺のサラリーマンより多めにもらっている程度。
奨学金も返済しているから実際に手元に残るお金は7万円程度。
看護師の友達しか周りにいないからこれが多いのか少ないのかもわからない。
入職してからNICU病棟で働いている。NICUは新生児集中治療室のことである。
お母さんのお腹から早く出てきてしまった赤ちゃんや病気のある赤ちゃんの治療と養育の場である。
入職してすぐは赤ちゃんの可愛さに癒され、ここで仕事ができるなんて夢のような仕事だと思っていた。
しかし今となっては赤ちゃんの可愛さはいかにミルクを上手に早く飲んでくれるかに比例している。
早く上手に飲む赤ちゃんほどかわいいものだ。
もちろんみんなかわいい。でも赤ちゃんを見すぎるとありふれた個性を感じずにはいられない。
その個性と毎日ぶつかるとちょっとは疲れも出てくるものです。
私が4年目になった春から話は始まる。