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髑髏騎士と勇者  作者: 灰色人生
第1章 召喚されし者達
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潜入オプスキュリテ聖王国

 


 4


 潜入オプスキュリテ聖王国



 ▼▼▼▼▼


 オプスキュリテ聖王国はこのグリューン大陸西方に位置する大国の一つだ。


 聖光教と言う宗教を国教として居り、その総本山を抱える一大宗教国家でもある。


 聖光教の教えにある人間至上主義を掲げ亜種族を排斥している。


 現在は近隣諸国に対して侵略戦争を行い亜人を一人残らず駆逐している。



 これだけを見ればとても野蛮な国家だとわかると思うが、彼の国は一つ厄介な点を持っている。


 それは治癒魔法士を抱える数だ。


 どの国よりも数が多く更に上位の治癒魔法が使える人数も一番多く、純粋な人間だけが住む国にその多くを派遣している。


 その為に迂闊に挑もうなら派遣されていた治癒魔法士は即座に国元に帰るだろう。


 この世界は治癒魔法士がある弊害か、医療技術が拙い。


 その為に治療と言えば魔法が主筋である。



 そう言った理由もあり、大国であればあるほど抱える人口も多く、それに伴い治癒魔法士の数が重要な要素になる為に迂闊に手出し出来ず、やるとしても経済制裁のみだがそれもあからさまにし過ぎると派遣される治癒魔法士の人数を絞られ逆に脅迫される有様だ。


 もちろん聖光教以外にも宗教があり治癒魔法士もいるがこのグリューン大陸一の治癒魔法士保有数は聖光教が一番だ。



 ▼▼▼▼▼




 ヴァイスはあの後妻と子に訳を話して暫くソレイユ帝国を離れると話した。


 ソレイユ帝国からオプスキュリテ聖王国までは片道3週間程かかる。


 最低でも二ヶ月ぐらいは離れる事になると話して拗ねる彼女を宥めるのに一苦労した。



 ヴァイスが自身の力を使えばもっと早く行けるが、今回は潜入と言う手段もありあまり大っぴらに力を使う訳には行かない。


 万が一それで正体が露見したら事だからだ。



 ヴァイスは自身の黒獅子騎士団から選りすぐりのメンバーを10名選出しソレイユ帝国の情報機関のサポートを受けて船でオプスキュリテ聖王国を目指す。


 陸路でも行けるが船の方が1週間ほど速く着ける。


 その代わりに料金は高いが払えない金額では無い。



 先ずは船がある港町まで行きオプスキュリテ聖王国方面に行く船(ソレイユ帝国とオプスキュリテ聖王国は国交がない為に、国交がある国の港町に行き船を乗り換える必要がある)




 そして船に揺られる事3週間でオプスキュリテ聖王国の北端の港町に到着した。



 此処からオプスキュリテ聖王国の聖王都までは乗合馬車を利用して1週間程の予定だ。



 因みにヴァイス達は流れの冒険者の設定だ。


 ヴァイスはあの目立つ髑髏兜姿では無く何処にでもいる傭兵の出で立ちをしている。


 更に目立つ黒髪黒眼の内髪を魔道具で赤髪に変えて変装もしている。


 黒髪黒眼のセットは珍しく目立つが赤髪黒眼などはさして珍しくも無い。


 確かまだヴァイスも行ったことは無いが極東にある島国は黒髪黒眼が特徴だと聞いた。


 この件が落ち着いたら妻のクレミールと一緒に訪れて見るのも良いかも知れないな。



 ▼▼▼▼▼


 1週間後無事に聖王都まで辿り着いた。


 途中襲って来た魔物にはギルドから依頼を受けて乗合馬車の依頼を受けた護衛の冒険者達が問題なく排除した。



 聖王都には聖光教会の総本山である大聖堂がある為に多くの信者が暮らしていたり訪れたりする活気のある街だ。



 手続きは問題なく終わり遂に聖王都に入る。



 ヴァイス一行はソレイユ帝国の情報機関のオプスキュリテ聖王国担当の諜報員と合流し先ずは情報収集を行う事に決めた。



 暫く行き酒場に入り店主に合言葉を伝えると宿の名前と合言葉を教えられた。



 そして教えられた宿に行きその宿の店主に合言葉を伝えると部屋番号を教えられてまた合言葉を伝えられた。




 合言葉を伝えて中に入ると一人の青年が居た。



 青年は片膝をつき出迎えた。


「シェーデル閣下。お待ちして居りました。オプスキュリテ聖王都担当支部所属のムーデと申します」




 諜報員のムーデからある程度の情報は聞いたが流石に王城だけあり、警備も厳しくあまり詳しくは掴めていないが勇者召喚は間違いなく行われた。との情報は入手出来たようだ。



 近頃何でもその勇者『達』をお披露目するらしい。


 そう『達』だ。


 どうやら複数の勇者が召喚されたとの事だ。



 今迄の勇者召喚では召喚される勇者は一人だけだったのでこれには流石のヴァイスも驚いた。



 それ以外にこれと言った情報はまだ得られて居ないとの事だ。



 諜報員のムーデと別れた一行は先ずはこの街での拠点とする宿を確保してから今後について相談する。



「閣下。この後はどの様なご予定でしょうか?」と部下の一人が質問するのにヴァイスは「何処に耳があるとも知れん。閣下は止めよ。これからはここにあるギルドカードに書いてある冒険者ルークと呼べ」


「は、失礼しました。では口調も砕けた感じの方がよろしいでしょうか?」


「ああ、それで構わん」


「了解です。それで予定としては冒険者の依頼を受けながら街での情報収集と言った所でしょうか?」


「そうだな。後は王城の警備体制のチェックが隙を見つけ次第潜入しようかと思っている」


「わかりました。ではその様に」



「あと、口調は外ではそれを止めろよ?」


「……わかりました」




 ▼▼▼▼▼


 翌日朝早くから冒険者ギルドに向かう。


 ギルドの中に入ると多数の視線が向けられる。


 彼らは新参者の実力を見極める為だ。


 新たなライバルの出現か、それとも腰抜けかなど第一印字が肝心なこの職業上舐められたら終わりだ。



 だがこの聖王都に新たにやって来た者達は格が一目見て感じ取れる程に違った。


 その纏う覇気は一流冒険者のそれだ。


 しかも先頭を歩く目鼻立ちも整った青年はその中でも別格だ。


 思わず跪いてしまいそうな覇者の如き気配を醸し出している。


 数少ない女冒険者や職員はそんな青年に見惚れて居た。


 だがそんな光景を見たら普段の彼らなら絡んだり殺気のこもった視線の一つや二つはするが、この時ばかりはそれをしようと思えない程に実力の開きがあった。



 入って来た6人(他の者は情報収集の為にこの場に居ない)はちらりと掲示板に貼られた依頼を一瞥してから真っ直ぐに受付に行く。



 受付嬢は緊張しながらも応対する「ようこそオプスキュリテ聖王国、聖王都ギルド本部へ」


 ギルドは世界中にありその国の首都に本部が置かれて居る。


 そしてその全てのギルド本部の上にある総本部は独立都市として機能している。



「ああ、今回初めてこの場所に来たのでこの辺りの魔物の情報などを貰いたい」と言い懐からギルドカードを出して渡す。



 ギルドにはランクがあり、ランク毎に得られる情報量は制限される。


 それは高ランクの魔物の場所を知った低ランクの冒険者が、その魔物の討伐報酬または素材報酬に目が昏み討伐に行き返り討ちにあうケースが多発した為だ。


 そうすると今度は低ランク依頼を受ける冒険者の数が減り今迄被害を抑えていた問題を処理する冒険者が居なくなり、被害の拡大が広がった為に冒険者ランクが設定され、それにあった情報開示と立ち入りの制限などを課して被害の沈静化と冒険者の質と量の確保の向上にあたり、見事に成功してこのグリューン大陸以外にも冒険者ギルドは進出して行くことになった。



 ▼▼▼▼▼


 そしてヴァイスこと冒険者ルークのギルドランクは高ランクのランクSだ。


 これは最上位のランクである。



 そして周りの者達のランクは全てランクAの高ランクパーティーである。


 受付嬢はギルドカードに書かれたランクを見て驚愕な目を見開き固まる。


 それほどまでに信じられない事が今目の前で起こっているのだ。


 ここは本部ギルドとは言え、このオプスキュリテ聖王国には現在ランクSは存在せず最高位がランクAである。


 この聖王都本部ギルドにはランクAパーティーが二つ所属しているが彼らも滅多にギルドに訪れず長期間の依頼で出掛けている事が殆どであり、更に運が悪い(ランクSに会えることは殆どないので運が良いとも言える)この受付嬢はまだ一年目の新人のギルド職員であった。



 その為に気絶してしまったのも仕方がないと言えるだろう。



 だが周りは騒然とする。


 何故なら男がギルドカードを出してそれを受け取った受付嬢がいきなり気絶したのだ。


 男に何かされたと勘違いしても仕方がないだろう。


 この新人の受付嬢は幸か不幸か周りから可愛がられて居り、何人かの冒険者は彼女に気がありアプローチなどをしているのだから。



 そして俄かにギルド内が殺気立つ。


 ギルドに併設されている酒場の客達も空気が変わったのを鋭敏に感じ取り己の得物(武器)を手に取り臨戦態勢に入る。



 これには流石のギルド職員達も慌てる。


 気性の荒い冒険者達の喧嘩は常日頃から見て来ているとは言えど、此処までの(刃傷沙汰、下手すれば死人が出る程)殺気に満ちたギルドは初めてなのだから。



 そしてその殺気を向けられた先に居る青年は柳に風と気にしてさえ居なかった。



 そう、彼らは相手にさえされて居なかったのである。



 そしてその態度に憤慨した冒険者の内一人が遂に行動に移そうと一歩足を前に進んだ時に上階から「何事じゃ!」と一喝が入り姿を見せたのがこのギルド本部のギルドマスターであった。




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