なろう作家I 1
intenです。
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なろう作家I 1
「さてと、始めるか」
現在時刻は午後6時20分。
とある駅の一番ホームで、電車を待つ男の姿があった。
「行きの電車でアニメを見直したし、設定の練りなおしも完璧。今日はプロローグの1つ目だから、気合いを入れないとな……」
駅のホームには電車が止まっているが、男はその前に立って乗ろうとしない。
彼はこの次に来る直通電車……それも座れる電車を待っているのだ。
「OPと挿入歌のリピート準備完了。これでスイッチONだなっ」
プシューと言う音とともに、電車が発車する。
そしてそのまま待つこと数分、男の待っていた電車が来た。
「待ち列先頭右。おりるお客さんの波終了。三個椅子ドア側奥右端確保完了」
男がいつも座るのは、優先席になっていない三個椅子の進行方向側右端。
背負っていたリュックを足の間ではさみ、耳かけ式のイヤホンを装着。
そのまま集中していく。
「タイトルは……そうだな。運命の日 | 天才と天才(?)なんてどうだろう?」
彼は今日書く一話目のタイトルをそう決めると、執筆作業を開始した。
………………
…………
……
『まもなく○○~。○○~。お出口は右側です』
「おっと、もうそんな駅か。降りるべき最寄り駅までは後三駅。書き上げてやるッ!!」
男は気合いを新たにすると、イヤホンから流れる音楽の音量を上げ、更なる執筆を開始した。
………………
…………
……
『まもなく△△~。△△~。お出口は左側です』
「なん……だと!?」
執筆が終わり、男が顔を上げる。
しかしおかしなことに、そこは男がおりるべき駅ではなかった。
「の・り・す・ご・し・たぁぁぁぁッ!!」
そう。
男が本来おりるべき駅は1つ前。
男は執筆に集中しすぎて、おりる駅を乗り過ごしてしまったのだった。
「……仕方ない。このまま次を書き始めて、終点から折り返す電車で戻ればいっか」
どこまでも前向きな男はそう決意し、新たな執筆を開始する。
「二話目のタイトルは……そうだな、入学式 | 二人の天通限無。これでいこう」
早速二話目の執筆を開始した男はしかし、この後訪れる悪夢をまだ知らなかった。
そう、この後折り返した電車でも乗り過ごし、乗換駅で折り返すことになるとは、思っても見なかったのだ。
「でも二話もかけたし、良しとしよう。んじゃ次は、息抜きのゲームだな」
そう決めた男は、最近はまっているカードゲームアプリを立ち上げ、今日のミッションに挑むのだった。
こちらは不定期です。
書けたらその都度あげていきます。
よろしくお願いいたします。