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ギルマスやってるゲーム世界  作者: ケルヌンノス
1/3

世界の終わりと夢の始まり

高校生やってます。暇なときに書いてるので不定期連載となっております。ご了承下さい。

俺はギルドを作った。所属人数は俺を含めて24人。

レベルは全員100、つまりはフルカンだ。

今俺が現在進行形でギルドマスターをやっているMMORPG『avant heim』は五年前に日本限定で発売され、ゲーム人口50万人という多さを誇っている。

主職業24種、副職業数百種、武器防具は製作級から神級まで数万種、アイテムに至ってはそれ以上の数があり、取捨選択が出来ないレベルである。

敵の種類も多い。亜人族を筆頭に魔獣族や魔虫類、さらには魔族や龍、神など数十種、名前を出すとすれば有名なものだけで五千は下らない。


俺は今そのゲームのなかにいる。

ゲームをやっているとかじゃなく、実際にいるのだ。

転生とか転移とかいうヤツだ。

簡単に言えばゲームが現実になったということだ。

もちろん全員じゃない。2143年5月18日の真夜中。

この時間にログインしていた人だけがこうなった。

状況からして巻き込まれたのは5万人というところか。

周りにいるプレイヤー?見当たらないね。

多分だけどゲームの中のどこかにランダム転移させられたんだと思う。ゲームの設定が生きてりゃ方向さえ間違わなければ最短10kmで町に着くはずなんだが………

「だーれだ♪」

幻聴だと思いたい。

「まさか、わからないの?ダーリ…」

「お前のダーリンになった覚えはないぞ。リヴィア。」

こんなのをなぜサブマスターにしたのか、今でも後悔している。腕だけ見れば優秀な楽剣士(ハーミット)なんだがなぁ。

「ねぇねぇ、他の皆は?」

「わからない。連絡を頼む。」

「あなたがマスターなんだから自分でやればいいのに。」

「お前を信頼している。」

「わかったわ。あなたのために頑張るわ♪」

これだから騙されたとか結婚詐欺にあったとかギルド集会で泣くようになるんだよ。

「でも、24人中22人には連絡はついてるわ。」

「残り二人は?」

「あなたとわ・た・し…」

何でこんなのと最初に合流したんだか。

「場所はわかるか。」

「カイゼル、鳴神、エリーの三人はアスマの街。玄道、十六夜、アレン、レオネスはシタンにいます。倶利伽羅、ロディー、晴明はイチキシ山の付近だそうです。オッドさん、RAVEN、かえサル、ド佐渡、Mライ、摩天ρの六人はセンセンキョウ橋にいると思われます。水仙騎と伽藍騎、泰山府君はカムイの都。鬼姫とバベル、茜とQEDはスメラギの塔です。」

相変わらずの情報処理能力だな。流石だ。

「そして私とあなたは情熱という名の夜に溶け…」

訂正する。やっぱりこいつはこいつだ。

「コクロの里に集まるように言ってくれ。」

「あ、はい。かしこまりました。」

全員ロック鳥、もしくはグリフォンを持っていたはずだ。

今、俺の頭の中はこの世界のマップと情報で一杯だ。

モンスターが出るところにいるわけにはいかない。

ロック鳥の召喚笛を吹く。少しすれば来るはずだ。

「早く来ないかな~。」

同乗しようとしてるヤツが一人いる。


残念だな。乗せてく気はない。

「ちょっ、乗せてってよ~‼」



一番乗りは俺じゃなかったらしい。もう二、三人はいる。

「遅いぞ、ハリー。」

「何をしていたのだ主殿。」

「な~んだ、もう来たのかハリー。つまんね~の。」

「バベル、鬼姫、QED、ずいぶん早いな。」

「当たり前だろ~。俺のフェニックスは最速だぜ?」

「茜はどうした?」

「フェニックスの羽根千切って怒られて…」

「落とされてグリフォンを呼んだ。」

「そういうわけで今ここにはいないのだ、主殿。」

相変わらずの好奇心だな。

「「やっと着いた~。」」

茜はいいとしてリヴィア、お前もう来たのか。

「フェニックスちゃんいきなり落とすなんて酷いよ~。」

「ハリー、おいてくなんて酷すぎない?」

知ったこっちゃない。悪いのはもともとお前だ。

「鬼姫ちゃ~ん、会いたかったよ~。」

「ウグッ、リ、リヴィア殿、苦しいから、は、離し…」

「あ~、鬼姫ずるくね~!?俺も抱きしめられたいのに。」

「女子限定ですぅ~。QEDは駄目。」

なんだこの茶番劇は。

「なんですかこの茶番劇は?」

誰だ、俺の心の声を代弁してくれたのは。

「おーい、カイゼル~。」

「やっと来たか。」

「失礼、皆さんと合流するのに少し手間取りまして。」

「全員揃ったか。」

「いえ、Mライとド佐渡が少しいつものあれで…」

「…わかったことにしておこう。」

とりあえず今から会議にするか。でも二人いない。

休むか?まだ昼過ぎっつったところだぞ。

いつもの通り冒険…は危険すぎる。

一度全員の主職業と副職業を確認しよう


ハリー・エル・マッドハッター Lv100

狐尾族

主職業 双剣士(クロスセイバー)

副職業 縄士(ロープワーカー)


リヴィア Lv100

森妖精族

主職業 楽剣士(ハーミット)

副職業 奏者(マエストロ)


QED Lv100

人族

主職業 召喚術士(サモナー)

副職業 狂戦士(バーサーカー)


鬼姫 Lv100

鬼族

主職業 暗殺者(アサシン)

副職業 追跡者(チェイサー)


バベル Lv100

竜人族

主職業 守護騎士(ガードナイト)

副職業 盾騎兵(バルドル)


茜 Lv100

猫耳族

主職業 施療神官(クレリック)

副職業 祈祷師(シャーマン)


カイゼル Lv100

人族

主職業 奇術師(トリックスター)

副職業 探索者(シーカー)


鳴神 Lv100

狼牙族

主職業 狙撃手(スナイパー)

副職業 爆発物合成師(ボマー)


エリウリアス Lv100

森妖精族

主職業 魔導師(マジシャン)

副職業 祓魔師(エクソシスト)


倶利伽羅 Lv100

炭鉱族

主職業 武闘家(モンク)

副職業 鍛冶師(ブラックスミス)


戦闘特化の上位十人は変化なしか。

でも全員が少しずつ見た目が変わっている。

リヴィアは森妖精族だからスレンダーだったんだが。

鬼姫が身をもって知らせてくれたから間違いない。

倶利伽羅やバベルなどは身長から変わっているのだ。

女性陣は体型が変わっている。エリウリアスとリヴィアはそれでも森妖精族かと言いたくなるような体型になっている。エリウリアスを同じグリフォンに乗せていた鳴神なんて、グリフォンを急に制止させたがために後ろからしがみつかれ、顔を赤くさせていた。


「さて、全員揃ったことだ。ギルド《cruel'pain》の集会を再開する。」

そう、ギルド《cruel'pain》は金曜日の夜11時半から12時半まで集会を行っている。

それが巻き込まれた原因だ。

「議題はどうする~。変える?変えない?」

「議題は今の状況についてだ。ゲームだったときと今の違い、さらにはアバターの設定などだ。報告などは挙手の後アバター名を言ってから話しはじめること。返事は。」

『了解』

「泰山府君です。カムイのNPCの数が2~5倍です。」

「摩天ρだ。橋が崩落しとった。しばらく通れん。」

「十六夜、シタンの街、モンスター侵入。」

「アレンだ。アバター補正による体力増強を確認。」

「レオネス、モンスターの微強化を確認。」

「晴明です。符術による回復及び攻撃力増加。」

「エリウリアスです。体型の現実補正の確認をしました。体型は元の世界のものが優先されるようです。」

「水仙騎だ。エリウリアス、優先とはどういった?」

「はい。倶利伽羅様、バベル様をご覧の通り恐らくですが元々の体型になると思われます。」

「Mライです。睡眠、食事などの生理的欲求を確認。」

やはりゲームの中ではなかったか。面倒くさい。

これから生きていくには金がいる。

金は依頼を受けるか物を売るしかないしな。

「QEDで~す。女性陣のBWH測定完了しマグベフォッ‼」

こいつはこんな非常時になに考えてる。馬鹿か?

こんなのを参謀にしたのは…俺だった。

「ド佐渡です。痛覚の存在を確認しました。ハァハァ。」

こいつも大丈夫かよ。

「RAVENです。言語が違うようです。音声と口頭の動きが一致していませんでした。」

「カイゼルでございます。付近の地形に関してのご報告がございます。ここより一番近いラザルの街までの距離が30kmとなっております。」

「どういうことだ、カイゼル‼」

「ローディナリーさん、落ち着いていただけますかな。簡単に申し上げますと都市間距離が2倍になっているということです。」


再確認できた。ここはもうゲームの中じゃない。

れっきとした現実(ほんもの)だ。

「おい、伽藍騎、推定現在時刻は。」

「季節・晩秋、時刻・午後6時半程度。」

「リヴィア、付近の索敵を頼む。バベルはその護衛しろ。」

「「了解」」

「摩天ρと晴明は里から食材買ってこい。大至急だ。」

「わかりもうした。」

「謹んで承ります。」

「その他は野営の用意、テントと竈を最優先だ。」

『了解しました。』

「QED、召喚獣を巻き込まれた他のプレイヤーの元に。」

「救援すんの~?」

「情報交換だ。どこの誰とするかはお前次第だ。」

「はいは~い。」

「最大数まで召喚しろ。」

「わかってるって~。」

「全員行動開始‼」

手慣れている。見える範囲には召喚をしているQED以外

見当たらない。

このまま無事に初日が過ぎればいいんだが。

こんな時に限ってなんかが起こるんだよな。



「マスター‼敵探知用設置型音律反応‼」

「数、方角、距離、種類。」

「数20~30、方角西南西、距離200、種類高身長亜人種。」

「リザードマンかトロールだな。」

「なぜこんな真夜中に…」

「リザードマンも人が寝たのが解るのか。」

「!?同規模集団、南東、北西、北北東より侵攻中‼」

「鬼姫、バベル、カイゼル、倶利伽羅を起こせ。」

「了解しました。」

「30、それ以上は待たない。」

音からして西南西が一番速い。接敵まで25秒位か。

その後、10、20、35といったところか。

つまりは30で起きなきゃ蹂躙される。


5、4、3、2、1、見えた。リザード15のトロ8だ。

(ヘルスラッシュ‼)

(闇中の一筋‼)

(ファントムペネトレイト‼)

起きてきたか。思ったより早いな。

「主殿、レベル15近辺と確認した。」

「二人ずつに別れて南東と北西に当たれ。」

「「「了解」」」

「かしこまりました。」

残ったのはトロール全部とリザード2か。

戦闘訓練にもならないな。

(鬼神乱舞‼)

首、手首、肘、脚、肩、腹、顔。

剣の動きに身を任せ、右へ左へ後ろへ上へ。

気付けば周りは血の池に臓物が浮かんでいる状態。

周りには誰もいない。



「やはり、喰い散らかしましたか。」

「凄惨、だな。」

「やはり主殿は強いな。」

血塗れの奴等に面と向かって言われたくはない。

「倶利伽羅、状況報告を。」

「敵は全滅させてやったわい。こっちの被害はないぞ。」

「戦ってみてどうだった。」

「私はあなたがいればこのくらいどうってことないわ‼」

リヴィアは置いておかないと話が進まん。

「まさか普通に死体になるとは思いませんでした。」

「恐さを感じなかったら人じゃないぞい。」

「主殿は血も涙もないのか?」

「残酷、だな。」

カイゼル以外も置いておきたい。

一度死体になり、その後に霧散(リフェイル)する。

それが俺とカイゼルの意見だ。

だがとりあえず、今はもっと重要なことがある。

「リヴィア、他に敵は?」

「はい、ございません。」

「全員、寝ろ。後は俺が見張ってる。」

「主殿、見張りは某が…」

「これは命令だ。」

鬼姫は不満そうだ。性格が完全に忍者だからな。

「………御意。」

睨みながら不満げな声で言ったつもりなのだろう。

だが、鬼族とはいえ元の世界では美少女の部類だ。

身長も140cmもないだろう。一方俺は175cmはある。

美少女が上目遣いをしているようにしか見えないのだ。

俺に特殊な性癖が無かったことが幸いだ。





全員の寝息が聞こえてくる。

「ハリー様…ヴィアをメチャクチャに…むにゃむにゃ。」

悪しき寝言も同時に聞こえてくる。

果てのない未来に備え、始まりの夜は更けていく。

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