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ガールハント  作者: みやしろちうこ
第二弾 女祭り

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02

 登校途中で剣持が目にしたものは、大半が女子学生服やエプロンやスカートをただはいただけという少年たちのなか、グループをつくってブルマー姿のものたちや、チャイナ服などだったが、学校正門にちかづくにつれ、その女装者たちが群となし、すでにして仮装行列のようだった。

 ちらほら見えた学校の先生も、しっかり化粧をし女装している。

「おはようございまーす」

「おはよう」

 しかしどの乙女からも発せられる声は、低音である。

 運動靴から上履きにはきかえ、セーラー服の集団を避けて三階にあがる、D組のドアをあけると、すでに半数は顔をそろえていた。

「あっらー剣持、剣持先生?」

「あらあら、あちら剣持女医らしいわ」

「まあほんとう」

 成瀬の感化によるものかこのクラスはお調子者がそろっている。

「おはよう」

「剣持先生、あらやだお化粧されてないの? わたしのお貸ししましょうか」

「ま、ほんとう。この晴れの日にねえ」

「おまえら気持悪いぞ」

 近寄ってきたブラと腰布だけの南国の女性たちを押しのけて、剣持は教室の端に立った。クラスの催し物は喫茶店だ。部活そっちのけで成瀬が奔走していた。

 今日のウエイトレスたちは、みんな綺麗に毛をそっている。胸のパットも忘れてない。だれもが一年生のときに指導されたとおりだ。剣持は今年も胸パットだけは断固拒否した。

(これってほんとうに女性追慕になってるのかな)

 教育に悪影響なんじゃとおもわないでもない光景だった。

(……たしかにこんなこといつもしてたとしたら女って仕度が大変だったよな)

 ドアがあいてだれかがはいってくるたびに嬌声と笑いがとんだ。

 豪語していた成瀬が登場しないまま、五十代の顔色の悪い担当教師が、白塗り巫女の格好であらわれ点呼だけして去っていった。


 八時四五分。スピーカーが音をたてた。



「北方高校全教師、生徒のみなさんおはようございます。生徒会長の多田野です。本日ただいまより、第四六回文化祭を開催します。外来客は十時半からの入場です。事故がおこった場合は、生徒会室、または正面玄関エントランス設置の、文化祭執行委員会受付所までお願いします。なお「女祭りメモリー委員」は右腕にピンク色の腕章をはめていますので、みなさま撮影の声にはこころよく応じてください。それでははじめます!」



 校舎から歓声があがった。





 三日前に、文化祭執行委員から当日のプログラムと金券が配られていた。催しの飲食をするばあい、お金ではなく券を手渡すのだ。剣持はその券とプログラムをもち、とりあえずいろいろ見てまわろうかと考えた。



 クラスでの剣持の担当は、十一時から三十分の受付だけだ。部がいそがしかったので、喫茶メンドリにはまったくかかわっていない。

 二年D組の女性生徒たちはメンドリイラストのはいった一面ピンクのエプロンをつけて、テーブルや椅子、教室の飾り付けなどすべてそろっているようだった。メニューが書かれた紙が廊下側の教室の壁にはってあった。

 喫茶メンドリ。おすすめ特製メンドリドリンク朝一番。メンドリコーヒー。メンドリミルクティ。白身スペシャルなどなど。

 しばらく足をとめて見入ってしまう品揃えで、おなじクラスながら剣持はどれも口にしたくないとおもった。



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